# 心理的安全なチームってどうやって作るの? ## 2021/08/05 細川 貴広 ## 書籍情報 心理的安全なチームってどうやって作るの? ## 興味を持ったきっかけ ボランティア活動で子供に勉強を教えている中で、わからない問題をやりたがらなかったり解けないまま質問をしてくれない生徒がいることに気づきました。同じ生徒でも塾ではできるのにリモートで自宅からになると変わってしまうことがあります。わからないことを表明することに対しての恐怖のようなものあるのではないかと思っていたんです。 子供にとって勉強は仕事ですね。大人が仕事をするときだって根底には同じところがあるのだと思います。大人だったらうまくやれると思いますが、障壁は少ないに越したことはないと思います。なので、心理的安全性というものを紹介したいと思いました。 ## どんな本? - 心理的安全についてと、筆者の経験によるチームの作り方についてポイントを絞って解説してくれている本です。 - 39ページしかありません。十分な情報に絞られていると感じました。 - 前回紹介した本と同様にkindle unlimitedで読むことができます。 - 心理的安全性が注目されたきっかけである「Googleのプロジェクトアリストテレス」のレポートも簡単に紹介したいと思います。 ## 参考にすべきトピック ### 心理的安全性が注目されたきっかけは「Googleのプロジェクトアリストテレス」 プロジェクトアリストテレスのレポートはWebに公開されています。チームの生産性を高めるためのリサーチプロジェクトなのですが、どのようなチームが対象だったのかをこちらで知ることができます。 [Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る (rework.withgoogle.com)](https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/) また、心理的安全性というのは調査の結果見つかった5つの重要ポイントの中のNo1です。ということは、ほか4つがあるんです。所感として簡単に紹介したいと思います。 ### 心理的に安全な状態とは? - メンバーが安心して自分をさらけ出せる状態、仕事用の仮面をかぶらずに本来の自分をさらけ出して何かを言っても、怒られたり馬鹿にされたりしない安全な雰囲気 - チーム内でメンバーが**リスク**をとったとしても、対人関係上の亀裂や破壊が起こらないであろう、とチームに信念として共有された状態 ### リスクとは - チャレンジに失敗すること - 人に助けを求めること - 質問をすること - 言いにくいことを正直にいう 等によって恥をかかされたり、馬鹿にされたり、罰せられる可能性 ### 心理的安全性の必要性 - チャレンジを促進できる - リスクをとる行動を行うにあたってのハードルが下がる - チーム全体として成長できる - メンバーそれぞれがチャレンジすることにより学習・成長につながる - 互いに協力し合うことで学びあうことができる - 正解のない時代に成果を出すチームに代わる - 失敗すら過程の一つとして捉える、チャレンジ力と成長性を備えたチームに代わることができ、正解のない時代に対して結果を出していくことができる ### 心理的安全性の誤解 - 「チームのメンバーが傷つかないこと」までがゴールではない - 「心理的安全性≒チームのメンバーが傷つかないこと」は「必要なこと」であり、それにより「新たな活動が生まれること」こそが心理的安全性によるゴール - 安全になって何をしたか?までがゴール ### 心理的安全性は協力の得やすい取り組みである - 心理的安全性は成長や成果に結びつくだけではなくメンバー個人が幸せになっていく取り組みでもある - 個人と組織に効果をもたらす為、協力を得やすい取り組み ### 具体的にやること #### リーダーのマインド ##### 行動基準を「全体最適」に 自分のため、上司のため、自分のチームのためだけではなく、会社全体のためになる決定をする ##### 言い訳せずに言動に一貫性を ミスをしたときは素直に認め問題解決に取り掛かる ##### 三毒追放 怒らない、愚痴らない、妬まない 部下をコントロールする手段として攻撃をしない ##### 明るく楽観的で原則ご機嫌であること 健康に気を使い、タイムマネジメントを行い、自己犠牲の考えはやめる。自分が不幸なリーダーはチームを幸せにすることはできない ##### 自己受容 まず自己受容を行い、強みで人の役に立ち、弱みで周りに助けを求める心の余裕を持つ ##### チームのミッションステートメントを作る メンバー参加の上でチームの行動基準であるミッションステートメントを作りましょう メンバーに参加してもらうことでメンバーの自律を促すことができます。 こちらを参考にと紹介されています。 [人と共同でミッション・ステートメントを作るときの5STEP]( https://jmatsuzaki.com/archives/13160) #### メンバーとのコミュニケーション ##### まずは信頼 だれしも他人からの評価には敏感。自分のことを承認するように他人のことも承認にすることが信頼関係を築く出発点 ##### 適所適材 メンバーの強みが生かせる仕事を任せる ##### メンバーのGood & Newを引き出し肯定する メンバーのGood & Newを引き出し肯定することでポジティブな行動を促進できる 前向き感情になってもらうとパフォーマンスが高まる 信頼関係構築のためにも日々の会話から意識する ##### 自律を支援する 自律して行動できるチームは生産性が高く、 自律的に考えることで新しいチャレンジが生まれる 自律的に行動できることは人間の本質的な欲求を満たすことでもあり全体最適化でもある ##### 責任ある自律の促し方 自分で行動する「自律性」とやってはいけないこと「制限」のバランスのとり方 リーダーは次の3つの要素をもってかかわるとメンバーは自立性を損なわずに制限を守れるようになる - 共感 - 相手の主張に同意できなくても、理解し受け止める - 相手の主張をブロックするとこちらの主張もブロックされる - 説明 - リーダーは自分の主張について具体的で合理的な理由を説明する - 一旦理解したことに対する自分の意見として述べることがポイント - 自己決定 - 管理は最小限にする。制限とやってほしいことを伝えて、あとは本人に決めてもらう ## 所感 ### 心理的安全性にとどまらず、読者の視野を広げてくれる、切り口が面白い本 心理的安全性・全体最適化・自律・チームの生産性向上がつながったものとして捉えられるように解説されているのでとても興味深い内容です。心理的安全性を高めたいと思ってこの本を手に取った人には視野を広げること、それ以外の3つの要素を高めることを目指す人にとっても心理的安全性の必要性を訴える本になっています。 ### 筆者の伝えたい内容が簡潔にまとまっていて、ポートフォリオのように使える本 最初に読んだときは、心理的安全性以外の章は省略して紹介できると思いましたが、 心理的安全性・全体最適化・自律・チームの生産性向上がつながったものだという筆者の意図に気づいてからは、要らない章がない簡潔によくまとまった本だったのだと気付きました。 この本を読むと筆者のマネジメント手法やその根拠、背景にある考え方を簡潔に理解することができます。39ページなので一読するぐらいなら一回の会議の時間があればできるページ数です。 自分の考えを伝える媒体としてもよくできていて、筆者がマネジメント手法を伝える、ある種のポートフォリオのような本だと思いました。 ### プロジェクトアリストテレスとは? - 生産性の高いチームの特徴を見つけるリサーチ - チームとは同じ目的を共有する集団 - 調査の対象はエンジニアとセールスのチーム - 生産性の高さの測定にはGoogle独自で検討を重ねた独自の指標が使われた。(様々な立場からの定性的な評価と定量の組み合わせ) - 残り4つの特徴(No1が心理的安全性で、上がより重要) - **2.相互信頼**: 相互信頼の高いチームのメンバーは、[**クオリティの高い仕事を時間内**に仕上げます](http://amj.aom.org/content/53/3/535.short)(これに対し、相互信頼の低いチームのメンバーは[責任を転嫁します](http://www.jstor.org/stable/pdf/258490.pdf?acceptTC=true))。 - **3.構造と明確さ**: 効果的なチームをつくるには、[職務上で要求されていること、その要求を満たすためのプロセス](http://www.jstor.org/stable/1556372)、そしてメンバーの行動がもたらす成果について、個々のメンバーが理解していることが重要となります。目標は、個人レベルで設定することもグループレベルで設定することもできますが、具体的で取り組みがいがあり、なおかつ達成可能な内容でなければなりません。Google では、短期的な目標と長期的な目標を設定してメンバーに周知するために、「[目標と成果指標(OKR)](https://rework.withgoogle.com/jp/guides/set-goals-with-okrs/steps/introduction/)」という手法が広く使われています。 - **4.仕事の意味**: チームの効果性を向上するためには、仕事そのもの、またはその成果に対して目的意識を感じられる必要があります。仕事の意味は属人的なものであり、経済的な安定を得る、家族を支える、チームの成功を助ける、自己表現するなど、人によってさまざまです。 - **5.インパクト**: [自分の仕事には意義があるとメンバーが主観的に思えるかどうかは、チームにとって重要なことです](http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18211139)。個人の仕事が**組織の目標達成に貢献していること**を可視化すると、個人の仕事のインパクトを把握しやすくなります。 具体的なアクションをサポートするチェックシートやワークシートを提供をしています。 [Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る (rework.withgoogle.com)](https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/help-teams-determine-their-needs/) ## お勧め度(☆☆☆☆☆) ★★★★★ ## 質疑応答