# UHF パッシブタグとは何者ぞ > UHFのRFID、RFタグの規格にいろいろな表記があるんだけど、実際には何が正解なの? > ISO/IEC 18000-6? > EPCglobal/GS1 GEN2準拠?? > そして ISO/IEC 18000-63 はなにもの? > > RAIN RFIDで検索すると、ISO/IEC 18000-63とEPC UHFGen2v2ってのが出てくるけど、これはそれぞれなにを意味してるの? > > それと物理的なタグの規格、書き込むデータのフォーマットの規格とかって分かれてると思うんだけど、この辺りもちゃんとまとまった資料がない!! ## ISO/IEC 18000-6 と 18000-63 の関係 実用上はまぁ変わらないのでエンドユーザーはほとんど気にする必要なし。 ISO規格の命名規則などの関係から、当初 ISO/IEC 18000-6「Type C」として規格されていたものが、2013年に ISO/IEC 18000-63、つまり Type C = 3番目ということで「63」と名称変更。事務手続き上の問題だと思うんだけど、多分これで正しいはず。 こういう事務系の話はあまり興味がなかったので、他の人が説明資料を作ってくれてたはずなんだけど、オープンになってないのか?そもそも存在しないのか?なかなか難しい問題だ。 ### Type C?他の規格もあるの?Type A? そもそもISO/IEC 18000シリーズは、物用のRFタグの物理規格として定義されていて、周波数毎に規格番号が割り当てられている物理層の規格。 リーダーとRFタグの間のエアインターフェースとRFタグのメモリ構造。 データフォーマット・エンコード方式は別の規格で規定。 * 1:全体の説明 * 2:135kHz以下 * 3:13.5MHz * 4:2.45GHz * 5:存在しない * **6:860〜950MHz** * 7:433MHz 18000-6/UHFの場合、Type AとBとCでそれぞれエアインターフェース・変調方式やアンチコリジョンの方法が違ったりするので互換性はなし。 ISO/IEC 18000シリーズは2008年に全体の規格化されて、その後、随時改訂作業が行われていて、ISO/IEC JTC1の運営規定通り数年毎に規格の見直しも行われている。 ISO/IEC 18000シリーズに関する一番正確な情報はこれ。公式サイトにはきちんと資料が残っているので、下手にネットを探すよりは公式サイトで検索するのが一番かな。 https://www.iso.org/news/2008/12/Ref1184.html ちなみに物に関する規格は「SC31」で議論される一方で、人に関する規格は「SC17」で規格化されるので注意が必要。 国内でもメンバーは大きく異なるけど、形式上は国際・国内ともに連携している(ことになっている)。 RAINではNFCフォーラムと連携しているけど、この辺りも色々人が違ったり思惑が違うかもしれず。こういう政治ゲームも僕は無頓着なのでダメなんだよね。 ISO/IEC JTC 1/SC 31 Automatic identification and data capture techniques https://www.iso.org/committee/45332.html ISO/IEC JTC 1/SC 17 Cards and security devices **for personal identification** https://www.iso.org/committee/45144.html でもってNFCというかFelica/SUICAに関連した混乱はSC17での規格化がうまくいかなくて、別のグループ SC6で規格化したからだとも。 なぜ、規格化しないといけなかったのか?それはモトローラに提訴されたから。概要はTTCのこの資料が良いかと。 > モトローラがJR東日本の仕様がWTO政府調達協定に違反しているとして「政府調達苦情検討委員会 (内閣府) 」に提訴 https://www.ttc.or.jp/application/files/5015/5298/1410/1_Standard_text_chapter1_v4.0.pdf ちなみに、マイナンバーカードでも使われているICカード系の規格 ISO/IEC 14443も、Type AやType B、Type C(Felica?)みたいな表現があるのは 18000シリーズと一緒。 ISO/IEC JTC 1/SC 6 Telecommunications and information exchange between systems https://www.iso.org/committee/45072.html 結果として、30年後の決済系でQRやバーコードなどの1D/2Dシンボルとネットワークの組み合わせになってしまったのはなんとも皮肉というかなんというか。 なんとなくの経緯を知っているだけに辛い。 下手に色々隠そうとするからこうなるんだよなぁ・・・とも思うけど、当時は色々あったんだろうとも。 ちなみに、JR東日本のSUICAの基本コンセプトは、先輩というかラボの先輩のお父様がされていたらしく、亡くなる前にお喋りしてみたかったなぁ・・とも。 ## EPC/GS1 GEN2 と ISO/IEC 18000-63 UHFのRFタグは、63/Type C の他にもType AやBが存在して、実際に商品として販売された実績も。 レジなどで使われているEAN/UCC/JANコードの発行管理団体であるGS1が作成した規格、正確にはGS1の関連組織であるEPCglobal(2008年 当時)が作成した規格 EPC GEN2(2004)をISOに持ち込み国際標準化されたものがISO/IEC 18000-6 Type C(2006)。 正確には、Type AとBが先行して標準化された後、既存ISO規格との整合性の調整などを行った上で「Amendment 1: Extension with Type C」として規格化されたという流れ。 https://www.iso.org/standard/43923.html EPC GEN2というのは第二世代・Generation 2 ということで、GEN1/第一世代のUHFタグもあったりしたんだけど、今は規格としてはどこにも残ってないかな。 EPCglobalはその後GS1に吸収され今に至るものの、EPC/Electric Product Codeという名称は今でも残っているので余計に混乱しちゃうんだとも。 基本的には EPC GEN2 = ISO/IEC 18000-63 で、GEN2に関しては、2022年現在、規格の拡張に関しての会議が行われており、それらが規格化された上で、ISO 18000-63 にマージされていくんだけど、実際の議論に関わっているメンバーは、GS1とISOでほぼ同じなので、それぞれの会議におけるそれぞれの立場に応じて各社が対応していくというのが現実。 じゃあ、なんでEPCはISO化しなくちゃいけなかったのか?それはFelica/NFCと同様で、国防総省がこのRFタグを使うにあたって国際標準になってないものが採用できなかったから・・だったはず。 ## RAINとは? 無線LAN/IEEE 802.11 におけるWIFIアライアンス、Bluetooth/IEEE 802.15.1 におけるBluetooth SIGと同様、ISO/IEC 18000-63のための業界団体。 https://rainrfid.org/ AIDC/Automatic identification and data capture techniques の国際団体であるAIM Globalの関連組織の下部組織で、UHFパッシブタグであるISO/IEC 18000-63のプロモーションに特化した別組織がRAIN。 https://www.aimglobal.org/ 本来は、このRFタグはGS1がプロモーション団体ではあるものの、GS1は自社が発行するID・コードが収益であり、自社発行以外の商品コード、店舗のレジとは無関係の工場のパーツなどのサプライチェーン向けに対して、GS1と連携してプロモーションを行う・・・はず。 リールの時もヘルシンキの時も、こういう全体方針が末端まで伝わらないのがなぁ、まさにそういう質問があったわけで、そろそろどうにかしないとなぁ。  (2022.6 RAINヘルシンキ会議より) ## データフォーマット メモリ領域内のヘッダ領域(PCbit)の8bit目のToggleビットを利用して、GS1とISOのデータフォーマットを区別。 「UHF 帯 RFID 標準コード体系ガイドライン(JAISA)」P.25あたりに上記の記述があるので要確認。 https://www.jaisa.or.jp/pdfs/170531/002.pdf?v=1.3 ちなみに、このトグルビットに関してEPC GEN2ではEPCエンコードとそれ以外を識別と記載される一方で、ISOではEPCエンコードとISOエンコードを識別と記載されるなど、両者のポジションの違いがわかって興味深くもあり。 そういう視点でちょっとした表現の違いを見るのも学生とかにはいいんじゃないかな? ### GS1/EPCのエンコード TDS/Tag Data Standardとして規定されている。 2022年に久しぶりに改訂、結果としてISO風のエンコード方式を規定するなど、内部でどんな議論があったのか興味深くもあり。 https://www.gs1.org/standards/tds ### ISOのエンコード ISO/IEC 15962として、産業系のコード体系を包括するために規定されている。今は、バータスがエディタかな? https://www.iso.org/standard/76643.html # 特許と国際標準 このRFタグは、IoT社会実現のためのツールとしてGS1が主体となり開発されたツールであって、誰もが自由・勝手に使えるものではないことを理解できてる人が少なすぎるのがなぁ。  > GS1 | The Global Language of Businesshttps://www.gs1.org GS1? EPCじゃないの?というような話は歴史的経緯の話で、すでにあまり本質でなくなってきているんだけど、この辺りも、時間がある時に追加しないといけないのかなぁ。 当時の主要関係者が書いてくれるのが一番いいんだけど、ユビキタスコードとかも含めて。 ### **どちらにしろ・・・・** この辺りの事情を本当の意味で知っている人はかなり限られるので、まずはNHKアーカイブズにこの番組がアップロードされることを期待して待ちましょう。 本当じゃないけど嘘でもないこと、それこそ世の中の常ですしね。 https://www.nhk.or.jp/special/detail/20050828.html ## RFタグはタダ??? 大きな誤解の始まり ``` GS1®, under its IP Policy, seeks to avoid uncertainty regarding intellectual property claims by requiring the participants in the Work Group that developed this EPC™ Radio-Frequency Identity Protocols Generation-2 UHF RFID Standard to agree to grant to GS1 members a royalty-free licence or a RAND licence to Necessary Claims, as that term is defined in the GS1 IP Policy. ``` https://www.gs1.org/sites/default/files/docs/epc/gs1-epc-gen2v2-uhf-airinterface_i21_r_2018-09-04.pdf そもそも現在流通しているRFタグである「**EPC™ Radio-Frequency Identity Protocols Generation-2 UHF RFID Standard**」は、当時のGS1/AutoIDラボ関係者が多くの知識・経験に基づき作成したものであり、誰もが自分勝手に使って良いものではない。 **できることとやっていいことは別なのよぉ** GS1のメンバーでない人たちは、このRFタグに関連した訴訟に巻き込まれる可能性があることをまずは十分注意する必要があるはずなんだけど、経済産業省やGS1Japanが正式見解を示していないのも問題なんじゃないかなぁとは思うけど致し方ないところも。 というか・・・この辺りの話、IPプールの話は当時かなり問題になったのに、みんな忘れちゃったのかな? お役所の担当官は数年ごとに変わるからいざ知らず、この話を知らないでRFタグを使っているとしたらほんと泣けてくる。 あの頃、このせいでどれだけ死ぬような思いをしたのか?まぁ誰も知らんか、交通費が出ただけよしとしないとね。
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