本記事はK3AdventCalendar20239日目、法政大学理工学部AdventCalendar202310日目の記事です
サークルと研究室のアドカレで記事を使いまわそうという浅はかな考え
弊研究室、幻のGreek班に所属するトランス古代ギリシア人skip(またの名をライチ)です。機械学習に関する論文より古代ギリシアに関する論文の方が読んだ数多いとの噂
皆さんは古代ギリシアと聞いて何が思い浮かぶでしょうか?パルテノン神殿?アテナイの民主政治?ギリシャ神話?高校の世界史眠くて何も聞いてなかったわって人もいると思います。ぶっちゃけ、僕も授業で取り上げる分野そんな好きじゃない。でもいろんな史料嚙み砕いてみると、地中海の美しい風景、ハーブ香る暖かな風を感じられて結構面白い!テストがある訳でもないし、歴史アレルギーの人も気軽に読んでね
今回僕が注目するのは飯!本記事では叙事詩や壺に描かれた絵などの史料から分かる約2500年前の古代ギリシアの食事をレシピサイト風にまとめてみます
現代日本では入手困難・不可能な食材があります⚠
本記事で紹介するレシピでは材料の横に()で現代でも入手可能な代替品を書いておきます。代替品はいくつかの書籍や研究を参考に選出しています
本記事で紹介するレシピは実際に僕が再現を試みたものではありません⚠
レシピは『The Classical Cookbook』を中心に様々な文献や史料を組み合わせて考案しました。あくまで史料や文献から読み解いたものであり、その味を保証するものではありません。まずくても知らん
二人のために髪の美しいヘカメデが飲物を用意する。(中略)女はまず二人の前に、青黒い琺瑯張りの脚のついた、よく磨かれた美しい四脚机を据え、それに青銅製の籠と、飲物に添えてつまむ玉葱と、新鮮な蜂蜜とを載せ、またその傍らに聖なる大麦の粉と、実に見事な盃とを置く。
ホメロス『イリアス』(第11歌 638-641)
神話『イリアス』や『オデュッセイア』をはじめ、多くの詩に登場する大麦+蜂蜜+チーズ+ワインのお粥!"お粥"とよく訳されけど、実際は食べ物と飲み物の間、スープのようにすするものであったとされています。最後に薬草を加えることで宗教的、魔術的なバフをかけることも可能な古代ギリシア飯の代表ですね~。エジプトからパンが伝わってくるまで、古代ギリシアではこのお粥を主食としていたみたい
大麦 | 120g |
赤ワイン | 適量 |
蜂蜜 | 大さじ2 |
羊乳チーズ(フェタチーズ or リコッタチーズ) | 375g |
卵 | 1/4個 |
お好みの薬草(ハーブなら何でもOK) |
ステップ1で加えるの、全部ワインは流石に量やばい。おそらくベースは水で、そこにワインを加えたと思われる。スープのようにすするものとのことなので、結構水多くてもいいかも
研いだ鉄のナイフでキャベツをスライスし、水洗いして水気を切り、大量のコリアンダーとヘンルーダと共に細かく刻む。ハニービネガーと混ぜ合わせ、最後にシルフィウムを少々加える。
ムネシテウス, オリバシウス『Medical Collections』(4.4.1)
かの有名なパルテノン神殿が中心に聳え立つ都市国家アテナイで食されたもので、美味しいうえに頭痛や胃病に効く最強のレシピでした!キャベツにコリアンダー(パクチー)、ヘンルーダ、シルフィウムといった様々なハーブを加えたものなんですが、ヘンルーダは毒性があって現代では食べられません…。また、"悪魔の糞"と呼ばれるハーブ、シルフィウムはもう絶滅してしまいました…。でもアサフェティダ粉って言うくっさい奴で代用できるっぽい。実はどこかにこっそり生えてたりしないかな…
キャベツ/td> | 小1個 |
パクチー | 1束 |
ヘンルーダ ※ 毒性があるため現代では食用とされない |
1束 |
シルフィウム(アサフェティダ粉) |
1束 |
塩 | 少量 |
蜂蜜 | 1/2カップ |
赤ワインビネガー | 大さじ2 |
トロネではサメの腹の切り身を買いなさい。切り身にクミンと塩を少々ふり、新鮮なオリーブオイルをかけた後は何もかけてはいけない。次に、野菜を刻んでステーキにまぶす。このステーキを焼くとき、焼き鍋に水やワインビネガーを加えてはいけない。ただ油を注ぎ、クミンと香りの強いハーブを入れるだけ。強火ではなく弱火で調理する。絶えずに揺り動かして焦げないように気を付ける。
アルケストラトス(23)
神話では英雄が動物の肉を食らう描写が多いですが、古代ギリシアではシーフードも楽しまれました。シーフードは贅沢品で、特にサメはウナギと並ぶ高級魚!このステーキはサラダと一緒に食べたりしたみたい。サラダのドレッシングはオリーブオイルと赤ワインを1:1で混ぜ合わせ、魚醤を少々加えて作る感じ。魚醬はよく使われる調味料です
サメの切り身(マグロ) | 4枚 |
オリーブオイル | 適量 |
クミン | 小さじ2 |
パセリ | 小さじ2 |
オレガノ | 小さじ2 |
パクチー | 1束 |
ミント | 数本 |
塩 | 少々 |
小麦粉で作るケーキについて語ろう。テガニタイという油で簡単に焼いたものだ。燠火の上にフライパンをのせ、油をひく。熱くなったら水で溶いた小麦粉を注ぐ。籠の中につくりたてのチーズを入れるとすぐかたまるように、すぐに焼けてくる。そこで上に出ていた面を下にし、下側の焼けた方を上にする。下にした方が焼けてきたらひっくり返すが、二~三回これをくり返して両面をまんべんなく焼く。ハチミツや塩を加えることもある。
ガレノス『On the Properties of Foods』(1-3)
今も昔も人々に愛される朝食、パンケーキです。かの冥府の番犬ケルベロスの大好物でもありました。当時のパンケーキは我々が一般的に知るものよりもかなり厚く、多めの油で揚げるような感じだったとされています。ゴマ入りのもの、ぶどうのシロップを掛けたもの、女性器型のもの(史料にそう書いてあるのだから、これは不可抗力な下ネタ。むしろ結構濁した方)などアレンジレシピも多々あったようです
また、パンケーキの他にもクッキー、ナッツのビスケットなど様々な甘味が古代から楽しまれていました
意外と可愛いケルベロス🐶🐶🐶「蜂蜜ケーキ美味しいワン!」×3
セモリナ粉(中力粉) | 180g |
水 | 300cc |
オリーブオイル | 大さじ4 |
蜂蜜 |
古代ギリシアのワインの飲み方は現代とは違っています。ストレートで飲むのは野蛮人のすること!食事中に飲むのも野蛮かな。イケてるクールな古代ギリシア人なら食後にワイン:水=2:3で割って飲め! 超酔いたいときでも1:2。水の他、海水で割ったり蜂蜜を入れたりして嗜みます
ちなみに、ギリシャの少し北にあるマケドニア(Gentさんの故郷アルバニアの少し東)ではストレートで飲むので当時は結構蔑まれてました。でも結局最後はマケドニア出身のアレクサンドロス大王が世界を牛耳るんですけどね
ワインを飲みながらする遊戯、コッタボスについても触れようかな。当時のワインはブドウの皮やへたなどのカスが残ってるんです。これを投げて的あてして遊びます。野郎どもで集まって、デリヘル呼んで、哲学を語りながらワインのカスを投げるのが古代ギリシアの哲学者。歴史の教科書にずいぶんと偉そうに書いてある人たちの実態なんてこんなもんです。いや、実際すごい人達ではあるんだけど
まだまだいっぱいレシピが語られてる料理あるんですが、オタク語りが止まらないのでこの辺でやめときましょう。てか記事公開当日にこれ書いてるのでもう時間がない。暇で勇気ある人は本記事で紹介したレシピ作ってみてください。大麦+ワイン+チーズ+蜂蜜のお粥とか美味いのか?って感じですが、知り合いの試した人曰く結構いけるらしい
あー楽しかった。隙有らばギリシア語り。略して隙希語。サークルではよくわーわー語ってるんですが、ウケがよくてありがたい。いや、みんな優しいので付き合ってくれてるだけかも。これを読んでいる人の9割くらいは最先端の技術の中に生きてる情報工学徒だと思うんですが、たまには過去を振り返ってみるのもいいのかも。365日ずっと語れるくらいには引き出しあるので、今後は研究室でも定期的に出していこうかな(ごめんなさい。自重します)。オタク語りがしたかっただけで、伝えたいことも特にないので最後うまくまとまりませんが、この辺で筆を置こうと思います
ところで、2300年位前のギリシャ神話には鍛冶の神ヘパイストスが作った自律型ロボットが出てきます。最近のLLM見てると数千年の時を超えてやっと人類の夢が達成できそうな雰囲気。古代ギリシア人の夢見たAI搭載アンドロイド、僕が生きている間にできたらいいなぁ。デトロイトビカムヒューマンのコナーとか、アイアンマンのジャーヴィス的な