# キノコ新聞 ## 独歩の森/極悪害虫、コナラに被害/11本に及ぶナラ枯れ発生 武蔵野市境4丁目にある境山野緑地、通称「独歩の森」。その独歩の森で11本ものコナラがカシノナガキクイムシによる「ナラ枯れ」の被害を受けている。しかもその内4本はすでに枯れていた。このまま放置しておくと、コナラがなくなり雑木林らしい生態系はくずれ、さらに、ナラ枯れは他の雑木林や公園にも伝染し被害を起こす。 ### ナラ枯れ、一か月で山赤く 「ナラ枯れ」とは、クヌギやコナラなどのナラ科の木にカシノナガキクイムシという虫が穿孔して、木を枯らしてしまう現象だ。木は一気に枯れ、夏にもかかわらず紅葉したかのようになる。 6月頃になると、オスのカシノナガキクイムシは、新しい巣を作るためにほどよいナラ科の木を探す。そして、いい木を見つけると、フェロモンを出してたくさんの仲間を呼びよせる。そこで結婚し、夫婦で住むために木の中に迷路のような巣を作る。メスは巣の壁にナラ菌と酵母菌を塗る。オスは、巣作りで出た木くずを爪楊枝ほどの太さの穴から外に捨てるため、木の根本には木くずがたくさん溜まっている。 一方、木はやられるだけでなく抵抗もする。若い木は樹液をたくさん出しカシノナガキクイムシを住めなくする。しかし、年寄りの木は少ししか樹液を出せず、やがて水を吸い上げる管(導管)が詰まり枯れてしまう。 カシノナガキクイムシの夫婦は巣の中で育てた酵母菌で子どもを育てる。そして春になると、子どもたちは蛹になり、羽化し、6月頃に巣立っていく。 ### 8月現在の状況 独歩の森のコナラは、樹齢70年くらいの木なので、キクイムシが穿孔するとすぐに枯れてしまう。8月に確認したときには、穿孔された木が11本あり、そのうち4本の木は葉が茶色くなり、枯れていた。 写真1にカシノナガキクイムシの穿孔を示す。直径は2ミリメートル程。穿孔からの木くずが写真2のように根元に溜まっている。木くずは写真3のように非常に細かい。独歩の森の外、西側にある道から見ると写真4のように枯れてしまっている。  写真1 カシノナガキクイムシの穿孔  写真2 穿孔からの出た木くず  写真3 木くずのアップ  写真4 森の外から見たナラ枯れ ### 今後どうなってしまうのか この後、何もしないまま放置しておくと、以下のようなことが考えられる。 * コナラに依存するカブトムシやクワガタなどがいなくなる * カエンタケ発生の危険性 * どんぐりが拾えなくなる * 倒木や落枝の危険がある * コナラの遺伝子が途絶える ※生物多様性 * 他の林・公園への拡散 * 常緑樹の林になり、武蔵野の雑木林では無くなる ### 結論 独歩の森は70年も放置され若い木がなくナラ枯れに負けてしまったが、そもそも若い林はナラ枯れなんかに負けない。独歩の森はこれからでもまだ若くできると思っている。コナラの木は、どんぐりを落とすので、実生自体は生まれている。実生が生きていける環境を作ることが若い林を作り、ナラ枯れに負けないことにつながるのである。 ### コラム〜生物多様性※〜 枯れてしまったら「他のところから苗木を持ってきたらいいじゃない。」と思った人もいるだろう。木を増やす目的ならいいのだが、独歩の森の伝統を受け継ぐことが大切なのだ。この場合の伝統とは何だろう。その答えは遺伝子だ。遺伝子とは、その生き物の情報であり、特徴である。皆同じ人じゃ面白くないだろう。独歩の森には独歩の森の遺伝子があるのだ。だから、独歩の森の遺伝子を守る必要がある。 遺伝子の多様性は生物多様性の3つの要素(生態系・種・遺伝子)の1つである。 ### コラム〜独歩の森〜 独歩の森は、二中から直線距離で東に約500メートルの所にある。独歩の森には、コナラやイヌシデの林、竹林、2019年に皆伐更新をした二小ゾーンなどがある。皆伐更新とは、一定の範囲内にある木をすべて伐って、新しい芽を生やして林を若返らさせること。伐ると、空が空き、下草が生え、新しい環境(生態系の多様性)が生まれる。そしてその環境に合った生き物たち(種の多様性)が集まる。 ナラ枯れを調べに行ったときには写真5・6の昆虫が見られた。  写真5 ハイイロチョッキリ  写真6 サトキマダラヒカゲ
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