# 武力行使の政治学 個人的メモ 9/8~ # 第2章 紹介する仮説は2つの分類軸に分けられる。 1. 軍事行動をの形態を決定づける要因について(1)長期的変動要因を重視する立場、(2)短期的変動要因を重視する立場 2. (1)国際関係に起因する決定要因と(2)アメリカ国内に起因する決定要因の違い これらの2つの軸を組み合わせると4つの類型が出てくる ![0](https://i.imgur.com/OyHRNL1.png) 先行研究では'第四類型'である'短期変動要因に着目し、アメリカ国内の諸条件'を重視する仮説を重視してこなかった。 - 第一類型 アメリカのパワーに着目して多角的な政策が選択される頻度を説明しようとする。 国際機能におけるアメリカの影響力や国際規範の変化を関連させて時代背景の影響を指摘する - 第二類型 政権の違いに着目する。 - 第三類型 軍事行動の規模や動員された兵力の量に着目する。また国際法を重視し、各武力行使の目的の違いに着目する。 - 第四類型 アメリカの経済情勢、選挙日程、議会と大統領の緊張関係などに着目して軍事行動の形態を議論する。 以上のような4つの類型から考察することは先行研究が要因を列挙し、形態選択に関係する要素を断片的に取り出そうとしてきたのと対照的である。 仮説を個別に説明していくが、あくまで本書の関心は、個々の要因の因果効果を比較することにある。 ### 1. 長期変動要因を重視した仮説郡:パワー、影響力、規範 4種類の仮説 1. アメリカの覇権的パワーを単独軍事行動の増加とつなげる研究 覇権的なアメリカのパワーが単独軍事行動の促進要因と認識する研究 (=パワーがあるゆえにアメリカは国際協調から離れて独断的な行動に訴える。 パワーをもつほど、アメリカが単独軍事行動を選択できる能力は高まり、同時に単独軍事行動を選択しないことによる損失(機会損失?(直接的な経済的、人的資源的な損失はないはず))が大きくなるという (もっとも、ケーガンは、欧州のパワーが減退しアメリカと共同して国際危機に有効な手立てを講じる能力をもたないため、単独軍事行動を希望していないのにも関わらず...というようにも指摘) リアリズムの議論からすればことさら新しい観点ではない `仮説1. アメリカは、そのパワーが大きいほど単独軍事行動を選択しやすい` 2. アメリカの覇権的なパワーが多角軍事行動の増加とつなげる研究 議論の背景には、単独軍事行動を含む覇権国の単独主義が国際秩序の維持に非効率な方法であるという前提がある。 `仮説2. アメリカは、そのパワーが大きいほど多角軍事行動を選択しやすい` 3. 時代背景の影響: 1970〜1980年台におけるアメリカの孤立 植民地の独立と、国際機構への加盟ラッシュはアメリカが国連で多数派を形成するため、説得しなくてはならない、あるいは取引をしなくてはならない国の数が増え多数派工作の費用が上昇した。 `仮説3. アメリカは、その政治的影響力が限られ、望むような決定をしない国際機構を迂回する傾向があり、多くの国際機構において少数派に転じた1970年代から1980年台にかけて、単独軍事行動を選択しやすかった。` 4. 時代背景の影響: 規範の変化によって生まれた特徴 国際協調を選択する基準が戦略的な利害の追求から、集団安全保障体制に象徴される国際社会の共通り駅の追求へ変化した。 すなわち、冷戦期は勢力圏の論理に従って軍事介入が行われ、軍事行動の形態は国際規範と別次元で決定されていたが、冷戦が終わる頃までには国際機構を通じて多角的に人道介入、国家建設、平和構築を行うことが当然と受け止められるように変化したという `仮説4. アメリカは、国際規範が他国間の枠組みによる国際問題の解決を望ましいと考えるようになった冷戦終結後、多角軍事行動を選択しやすい` ## 2. 長期変動要因を重視した仮説郡: 政権の違い 外交史研究: (少々`ジャーナリズム`チックな説) ###### tags: tag 疑問 制作変更の余地 とあるけど、本当? 川名先生が以前おっしゃっていたように、軍事・外交分野というものは簡単には変更できず、お題目程度は変更できても国と国との関係である以上細部までの変更となると簡単に政権が変わったからとはいかないのでは? また、この説は、政権が変更されたから軍事行動が変わると結論づけるわけではないので、とても逃げ道が用意されていて、実質的には何も言っていないのでは?と勘ぐりたくなる。 `仮説5. アメリカは、政権ごとに異なる軍事行動の形態を選択しやすい` ## 3. 短期変動要因を重視した仮説郡: 軍事行動の規模と目的 1. 負担共有の必要性と軍事行動の規模 ベトナム戦争における韓国軍の事例など `仮説6. アメリカは軍事行動の規模が大きいほど、または危険性が大きな武力行使ほど、負担共有を同盟国に求めるべく、特に実施形態について多角軍事行動を選択しやすい` 2. 国際法と軍事行動の形態 ## 4. 短期 ## 仮説の整理 # 第3章 計量分析 ## 2. 回帰分析のセッティング - マルチノミアル・ロジットモデル : セレクションバイアスを加味できない。(なぜ? 東大出版の理工系の統計入門読むべし)、3つの選択肢を1つのモデルによって分析できる。 - ヘックマン・プロビットモデル : セレクションバイアスを加味できる(なぜ?)、 3つを同時にできないなぜ? 従属変数は4種類存在する。 1. $Y_1$は実施形態の選択: $1:=$(多角軍事行動(=多国籍軍)), $0:=$(単独軍事行動) 2. $Y_2$は手続形態の選択: $1:=$(国際機構において何らかの決議を得た場合), $0:=$(単独軍事行動) 3. $Y_3$は$Y_1,Y_2$の組み合わせであり、$2:=$完全な多角軍事行動、$1:=$部分的な多角軍事行動,$0:=$完全な単独軍事行動 4. $Y_4$は、軍事行動の発動の有無についての従属変数($1:=$(軍事行動発動), $0:=$(なかった)) 注: ダミー変数: > ダミー変数とは、数字ではないデータを数字に変換する手法のこと。具体的には、数字ではないデータを0,1だけの数列に変換する。 NBER(: National Bureau of Economic Research)のデータについて詳しく検証したわけではないが、好景気と判断される基準がもしもプラス成長であれば良いだけならば、ほとんどが0とコード化されてしまう。また、好景気という判断が株価指数などに強く依存している場合は、実体経済(有権者の多くが感じる景気)とは異なっている可能性がある。 ## 3. 回帰分析による仮説検証 有意水準がどれくらいなのか、またこのような回帰分析の場合は確率分布は何を想定しているのかで標準偏差と係数が持つ意味がかわってくるのでその辺りについても調べてグラフにしないと ### アメリカのパワーに基づいた説明 支持されない。(係数が何を表すのかについて、回帰分析に関する知識が不足しているためかよくわからん。) ### 1970-1980年代のダミー変数 統計的に有意(どれくらい?値がどこにあるの?) でも、本文中でも指摘されているように、単に時代をコントロールしたに過ぎないという指摘は十分ある。 ### ポスト冷戦ダミー変数 統計的に有意な差は得られなかった。 (筆者は、先行研究との差異について、先行研究においてはコントロールされていない変数が本研究に含まれており、その影響でポストダミー変数が有意にならなかったのではないか?と述べている。) (これについても、どれくらいのレベルで帰無仮説が棄却できなかったのかについて調べたい。) ### 上陸部隊ダミー変数 予想通りの結果: 上陸部隊が動員された武力行使の場合、アメリカは部分的な多角軍事行動なし完全な多角軍事行動を選択しやすい。 ### 危機の激しさに関するダミー変数 完全な多角軍事行動の生起確率を増加させる。(これを、筆者は仮説6から意外という。) ちなみに仮説6: `アメリカは軍事行動の規模が大きいほど、または危険性が大きな武力行使ほど、負担共有を同盟国に求めるべく、特に実施形態について多角軍事行動を選択しやすい` なので、そんなに意外ですか? 筆者は、本当に仮説6が正しいのならば、`完全に多角`な軍事行動だけでなく、`部分的に多角`な軍事行動も増加しなくてはならず、武力行使容認、支持決議との関係は期待されていないからといっているが、 それは、激しい戦闘が予想される場合->広く負担共有を求める->国連などの何かしらの錦の御旗があると負担共有スムーズ->完全な多角 という構図が背後にあるからだと説明されればいいのではとか思ってしまうが... ### 非NEOsダミー変数 民間時の退避を目的とする武力行使は単独の形態で実施される。また、民間人退避作戦を目的としない軍事作戦は単独軍事行動ではなく、多角軍事行動になりやすい。(これって、そもそも上陸部隊がいるかどうかとか、危機の激しさとかと間接的に関係している気がするけど、これって回帰分析上okなの?) ### アメリカの景気悪化 アメリカの景気が悪化すると多国籍軍が編成されやすい。これは仮説8と整合的な結果である。 ただし、筆者は、`景気情勢ダミー変数`が`完全な多角軍事行動`の生起確率を高めていない点に着目している。 ### 選挙サイクル 大統領選挙ないし中間選挙が間近になってから、選挙後一定期間の間には単独軍事行動に比べて多国籍軍が編成される意味で多角軍事行動が選択されやすいことを示している。(ここについて、そもそも選挙区間に中間選挙を計量分析の説明のところで含めていたっけ?->ちゃんと77ページでのコード化のところでもしている。整合性ok!) ### 分割政府 仮説10の予想したように、`分割政府の場合、アメリカは多国籍軍だけを編成するのではなく、国際機構から授権決議を得ようとし、その結果として完全な多角軍事行動が選択されやすい`という仮説が成立する。 ### パーセンテージについての記述 このような〜%という表記は確かに直感的で分かりやすいが、統計的に有意かどうかについて論じている前章と比べると、少々ミスリーディングな気がする。 - 知見の整理という部分について 確かにそのように書くのはわかるが、あくまで、有意な差は得られず、帰無仮説が棄却できないだけなので、`無関係である`と断言するのは私の貧弱な統計学の知識のうちではマズイ気がする。 - 政権の差異について これは、トルーマン政権という大戦の最中に誕生した政権と他の政権を比べるのがいかがなものかという主張も飛んできそうだし、そもそも、戦争は外部要因というか、挑戦してくる国の存在も関わってくるから、政権の特色とかいうのはかなり危うい気がする。これを訂正的に述べるならばまだしも、定量的に考えるのならばそれはどうなの? # 第4章 事例分析1: 第一次湾岸戦争 109ページでも触れられているように、それぞれの仮説が有効なのは時間軸によって異なっている。このとき、戦争に至らなかった事例の場合は、どこかの段階でもっとも効いている仮説が棄却されかねないのではないか?もちろん、それは複数の分析手法によって軽減されているというが、このあたりについて本当にセレクションバイアスは存在しないのかについて綿密な分析が待たれる。 # 第5章 事例分析: キューバミサイル危機とドミニカ介入 ## 小括 国際レベルの仮説(仮説3,6,7)だけで軍事行動の形態を説明可能な事例があることがわかった。従来の研究が高く軍事行動と単独軍事行動のの国際起源を特に重視してきたのは、このような国際変数だけで十分に説明できてしまう事例が存在することと無縁ではないかもしれない。 これに対する解釈として3つの可能性が存在し、(必ずしも排他的ではない)、1つ目に`短期間で軍事行動そのものが終了するような危機状態であると国内変数が大統領に影響を与えにくい`という先行研究があるようにプロセスが短期間で終了した事例であるからというものがある。 2つ目に、突発的に始まった事例であることが原因である可能性である。キューバミサイル危機もドミニカ介入も、問題発生が国民に伝えられたのは米軍が前線に展開してからであったこと、すなわち選択が既成事実化してから国民に情報が伝わっている場合には、国内レベルの条件が影響を与えにくいのかもしれないということ。 3つ目に、規模の大きさという点が考えられる。 # 第6章 事例分析: 第二次湾岸戦争(イラク戦争) 9.pdfの5ページ左側 `この一連の経緯は仮説10との関係で重要である。分割政府では...`の箇所について、ここはいささか、仮説10の拡大解釈がはいっているきらいがある。 仮説10はあくまでも`分割政府では大統領はアメリカ議会を迂回して国連安保理から支持を得て集団的正当化を試み、統一政府では国連安保理の支持よりもアメリカ議会の支持を獲得する。`というものであり、第二次湾岸戦争では`国連と議会`が`上院と下院`に変化している。もちろん、支持が得られそうな団体の支持を得ようと画策するという点では、同じだが、それでは`あたりまえ`のことをさも真理のように言っているだけに過ぎない。 ただし、本文中には、`〜大統領には国連から明示的で直接的な容認決議を獲得するインセンティブはなくなった。...`の箇所のことを踏まえて、`仮説10との関係が重要である`と述べたのであれば、それはその通りであると言える。 つまりは自分のこじつけだね... # 第7章 結論 170ページ `本書の事例分析の示唆は次の二点に集約できる。第一に、どの事例についても軍事行動の形態は一つの要因で説明できるものではなく、複数の要因を組み合わせて論じる必要があるということである。第二に、国内変数(仮説8,9,10)について、それが形態決定に強い影響を与える場合もあれば、与えない場合もあると指摘できる。危機が突発的に発生した場合や、秘密裏に軍事行動の発動が決定されていた場合には、国内変数の影響は限られている。形態選択の決定プロセスが一般国民にも広く早期に公開され、政治問題化するほど、国内変数の影響は重要になると考えられる。` - 敷 衍(ふえん) 1. 延べ広げること。 2. (文章,談話などに)趣旨や意味を押し広げて詳しく説明すること。 政治的波乗り: [参考](https://www.jstage.jst.go.jp/article/pcs1981/1993/22/1993_22_105/_pdf/-char/ja) # 方法論に関する付属資料 [ホームページリンク](https://a-tago.github.io/) 本文と変わっていたので [データセット](https://dataverse.harvard.edu/dataverse/harvard/?q=Atsushi+Tago) 上記のどれが武力行使の政治学にあたるのか判別できていない...すみません。