# RUNNING LEAN(第Ⅳ部②) ## 10章 計測の準備 ### 10.1 行動につながる指標が必要 **行動につながる指標**とは、監察結果を**具体的で反復可能な行動に繋げる**ものである。 反対に、数値から次の行動目標が見えてこない意味のない指標が虚栄の指標である。 (リーン・スタートアップ第7章:行動につながる評価基準と虚栄の評価基準を参照) #### 3つのしやすさ * 行動しやすさ * 分かりやすさ * チェックしやすさ ### 10.2 指標は人が重要 * 指標自体は何も説明しない。誤った箇所は分かるが、なぜなのかについては指標は教えてくれない。 * ユーザの方からはやってこない。不信感を持つとすぐに離れてしまう。 * 全ての指標は等価ではない。リリースすると、予想とは異なる客に指標を歪められることも考えられる。 ### 10.3 単純なファンネルレポートでは十分でない ファンネルレポートは、獲得・アクティベーション・収益の実績・増減をグラフ化したものである。 理解しやすく、コンバージョンダッシュボードには最適だが、長期的な視点(マクロレベル)の分析には不向き。 長期的なライフサイクルの指標(収益等)と短期的なライフサイクルの指標(獲得・アクティベーション)が混ざると、 不正確なコンバージョン率や、トラフィックや進捗の変動等、**様々な長期的変化に対し正確な指標を得られなくなる。** ### 10.4 コホートによろしく そこで、決められた期間に**共通の特性や経験をした集団に分けて分析**を行うのが**コホート分析**である。 コホート分析では、「新規顧客」「利用プラン」「性別」等で分けて分析でき、ユーザやライフサイクルの追跡に便利である。 指標の変化が目立つため、トラフィックや進捗の変動に対応でき、ファンネルを分割しやすい。 ## 11章 MVPインタビュー ### 11.1 学習すべきこと * 製品リスク:製品の魅力は何か(独自の価値提案) * 顧客リスク:十分な顧客はいるか(チャネル) * 市場リスク:価格は適正か(収益の流れ) ### 11.2 反証可能な仮説 リーンキャンバスのうち、独自の価値提案、チャネル、収益の流れの3項目について検証する。 ### 11.3 MVPインタビューの実施 最初のMVPインタビューは直接面会して実施するのが良い。いずれはリモートでも良い。 以下の流れで進める。 1. 歓迎(場の設定:2分) あいさつ→インタビューの理由→流れの説明 2. ランディングページの表示(UVPの検証:2分) ランディングページに対し、顧客の反応を検証する。 何の製品か分かるか。次に何をするか等。 3. 価格ページの提示(価格の検証:3分) 顧客に自由に操作させ、価格のページで価格モデルを提示し、顧客の反応を検証する。 4. 登録とアクティベーション(ソリューションの検証:15分) 実際に触ってみて、利用したいかどうかを尋ねる。利用の意思があれば登録を行ってもらう。 5. まとめ(フィードバックループの維持:2分) 貴重なユーザとの関係をつなぎとめられるよう、連絡を取れるようにしておく。 6. 結果の文章化(5分) 文章にしてまとめる。 ## 12章 顧客ライフサイクルの検証 ### 12.1 フィードバックを楽にする 顧客インタビューで顧客から学習するには、まず顧客に直接話しかけると良い。以下のようなメリットがある。 * こちらの意思・気配りが伝わる。 * 問い合わせが殺到するようなことは無い。 * テクニカルサポートは、製品の継続的フィードバックループに繋がる。 * テクニカルサポートは、顧客開発であり、マーケティングである。 * 投票ツールのフィードバックよりも信頼性が大きい。 ### 12.2 試用期間中に問題を解決する 製品の試用期間は、顧客ライフサイクルの時間を制限でき、成果がすぐに行動につながる学習を得られる。 試用期間の問題を解決するには、顧客ライフサイクルの道筋をたどると良い。 カイゼン目標は、ユーザの離脱を減らす、定着・エンゲージメントを増やす、80%のアーリーアダプターに購入してもらう等… #### 着目ポイント 獲得とアクティベーション * ファンネルを掘り下げて、どこかでユーザが離脱していないかを確認する。 * 離脱者の多いとこから調査を始める。 * 離脱者のパターンを探る。 * ユーザに連絡する。 * 予期しないエラーをキャッチして通知する。 #### 着目ポイント 定着 * 丁寧なリマインダーメールを送信する。 * ドリップマーケティング(あらかじめ決まった時間にメッセージを届ける)やライフサイクルマーケティング(ユーザステージを考慮に入れたマーケティング)を行う。 * アーリーアダプターに最後まで付き合ってもらう。 #### 着目ポイント 収益 * 決済システムを実装する。 * 有料ユーザーへのインタビューを実施する。(購入動機や製品を知ったきっかけ、改善点等) * 売り損ねた人々(試用期間を終えて離れていく者)にフィードバックをもらう #### 着目ポイント 推薦 * 推薦の声を頂戴する。 ### 12.3 ローンチの準備はできましたか? #### ローンチ前の確認事項 1. 結果を頻繁にレビューする。 2. 最も重要な話題から着手する。 3. 可能な限り小さなことをやる。 4. 確実にカイゼンする。 5. コンバージョンダッシュボードを監視する。 #### ローンチ条件 アーリーアダプターの8割以上が以下の価値観を持っている。 * 独自の価値提案(UVP)を明確に理解している。→利点、言語、感情のフックをつかむことで、良い反応を得られる。 * 本サービスに登録するつもりがある。 * 価格モデルを受け入れている。 * アクティベーションの流れをうまく通り抜けている。 * 好意的な推薦の声を提供してくれる。 #### ローンチ開始 MVPができ、ローンチを開始したら、製品に適したチャネルで顧客を呼び込む。 学習に丁度十分なトラフィックを獲得するために、他のチャネル等も検討する。 ## 13章 機能の押し売りはやめよう ### 13.1 機能は押し付けずに引っ張ってもらう MVPからのフィードバックは、機能要求が殺到しやすい。 しかし機能を作りすぎてしまうとUVPの価値を薄めてしまい、また、開発の質が下がって魅力が減ってしまう可能性がある。 顧客には本当に欲しい機能は分からないので、単なる意見と捉え、あくまでも追加機能は実験的にとどめる。 あくまでMVPに賭けるつもりで。 ### 13.2 80/20ルールを理解する 既存の機能改良80%、新機能20%の割合がベストである。 優先順位をつける時はこのルールに従う。 ### 13.3 機能の流れを抑制する 新機能を抑制しつつ着手するには、カンバンを用いる。機能の追跡を行う。 #### カンバンの項目(1) バックログ MMF(市場価値最小限の機能→顧客に価値を提供できる最小限の機能)を作成するタスクをバックログに用意する。 タスクのバッチサイズはできる限り小さくする。 #### カンバンの項目(2) 作業中 目標の優先順位に基づいてタスクを実行する。 #### カンバンの項目(3) 完了 リーンスタートアップの完了は、機能の顧客の検証による学習ができることを本当の「完了」とする。 ### 13.4 機能要求を処理する #### GTD(Getting Things Done)ワークフロー 以下の問に順番に答えていき、最善策を見つける。 1. 正しい行動で適切な時期か。(Y→質問2へ、N→無視する) 2. 小さな機能orバグか。(Y→質問3へ、N→かんばんのバックログへ) 3. 緊急に行う必要があるか。(Y→即時対応、N→タスクボードのバックログへ) ### 13.5 カンバンボードで機能を追跡する #### カンバンの工夫 * 目標を明記する。 * 作業中の項目(仕掛け品)数に上限を設ける。 * バッファーレーン(作業中と終了・待機の上下2つに分かれる) #### 着目ポイント バックログ * 優先順位を決定する。 * 解決に値する課題であるかを検討する。値しなければ中止。 * 顧客の要望は、直接会って(電話で)話を聞いて判断する。 * 内部からの要望はチームメンバーで話し合って判断する。 #### 着目ポイント ソリューション * モックアップ→デモ→コードの順番で検証による学習を行えるようにする。 * デモによるインタビューを実施する。 #### 着目ポイント 定性的検証 * まずは部分的にデプロイを行う。 * ユーザビリティインタビューを実施する。 #### 着目ポイント 定量的検証 * 全面展開を行う。作業量の上限値を無くす。 * 定量的検証を行う。 * 機能の種類によっては、スプリットテストを行う必要がある。 ## 14章 製品・市場フィットの計測 ### 14.1 製品・市場フィット マーク・アンドリーセンのブログによると、**「製品・市場フィットとは市場を満足できる製品のある状態のこと」** である。 製品・市場フィットが無いと製品の価値が顧客に伝わらず、売れない、口コミが広がらない、利用が加速しない…と散々なことになる。 逆に製品・市場フィットがあると、製品の価値が顧客に伝わり、購入、口コミ、利用顧客数が飛躍的に拡大し、収益で次の開発に繋げられる等のメリットを受けられる。 効果は分かったが、いったい製品・市場フィットとはどのように計測するのか? ### 14.2 ショーン・エリスのテスト ショーン・エリスの会社は、スタートアップに特化した支援活動を行う。 彼らは製品の初期のトラクションを図る次の質問で、企業の向かう道が正しいかを判定している。 Q.「製品名」が使えなくなったらどうしますか。 1. 非常に残念 2. 少し残念 3. 残念ではない(役に立たなかった) 4. すでに「製品名」を使っていない エリスはこの質問に対し、「1. 非常に残念」が4割以上いるかどうかで企業の判定を下している。 40%以上ならば継続的に拡大可能。大きく下回れば苦戦している。 このテストでは、トラクションの判定はできるが、どうやって達成するかまではわからない。 製品・市場フィットの直前に行うべきである。そこに近づくためには何が必要か? ### 14.3 「適切な」マクロ指標に集中する 製品・市場フィットの達成=人が欲しがるもの(UVP)を作る。 製品・サービスには大きく2つある。 1. 一度きりの「価値」を届けるもの 2. 何度も繰り返し利用してもらい、繰り返し「価値」を生むもの どちらもサービスの体験はとても重要で、その満足度はアクティベーション指標に現れる。 両者のうち後者の方が本当の成功(繰り返し→定着)を生み出す。 定着率もエリスのテスト同様に、成功の基準値は4割以上となる。 ### 14.4 収益について 収益が上がるかどうかは最初の検証で、定着は永続的な検証である。 以下の指標が収益性良好の基準値となる。 1. 一度きりの製品を提供する場合:適切な課金&アクティベーション指標が良好である。 2. 繰り返し利用してもらう製品を提供する場合:適切な課金&定着率が良好である。 ### 14.5 人が欲しがるものを作ったか 初期のトラクションを達成するため、反復プロセスを行う。 1. コンバージョンダッシュボードを毎週レビューする。修正が必要なバケツの特定。 2. 目標とバックログの優先順位をつける。新機能と既存機能の開発優先順位をつける。 3. 大胆な仮説を作る。局所最適化の実験は避け、仮説のテストできる最小限のものを作る。 4. 機能を追加・削除する。機能が価値を生み出すかどうかを確認して、追加・削除する。 5. 価値指標を監視する。定着のコホートのレビューを行う。 6. ショーン・エリスのテストを行う。定着率が4割を超えたら初期のトラクションはOK。エリスのテストへ進む。 7. エリスのテストでは「非常に残念」が4割以上で合格。初期のトラクションを終了する。 ### 14.6 製品・市場フィットにおける市場 #### 成長のエンジンを特定する リーンスタートアップで扱った、3つの成長のエンジンを用いる。 * 粘着型:高い定着率。顧客獲得率>解約率が目標。 * ウイルス型:高い紹介率。ウイルス係数>1が目標。 * 支出型:高い利益率。顧客生産価値>顧客獲得コストが目標。 これらのエンジンをどのように選択し、成長するかはケースバイケース。 以下に成功のためのガイドラインが存在する。 1. 価値指標の検証から着手する。 2. 顧客に対する態度を理解する。 * 口コミの多様はウイルス型の成長をもたらす可能性がある。 * 自動更新は、最初に解約率を下げて顧客生涯価値を挙げる。(SaaSはある時点で収穫逓減が始まる→ピボット) * ウイルス型でない場合は、支出型成長エンジンに投資するしかないが、持続的な成長にはつながらない。 3. カギとなる成長エンジンを選択する。 しっかり杭を打って達成したい指標やカイゼン点を宣言する。 #### 起業家の情熱と問題点 1. 起業家(アントレプレナー)は、より良い製品を世に出そうと努力するが、情熱をソリューションにしか傾けられないのはむしろ問題である。クリエイティブ中毒の誘惑にハマり、自分しか見ずに顧客や情勢を見ていないと失敗する。 **差別化は、その違いが重要な時にしか意味がない。** 2. 競争を乗り越えていける資金が無ければ、開発は進まない。また、自身の成長と共に検証による学習が身についてくると成功軌道に乗り収益も得たが、「顧客と課題に対する情熱」が大きく欠けていた。 **お金もうけは最初の検証だが、それだけでは不十分である。** 3. 情熱を欠いたスタートアップの維持は困難で、会社を売却するかを迫られた。また、著書がきっかけで再びスタートアップの気概が芽生えた。 **スタートアップは人生を消費する。解決に値する課題を選択すべし。** ### 14.7 まとめ ここでは製品のデザインパターンについて以下のようにまとめている。 #### ネットワーク効果のあるデザインパターンの場合 * 注目を浴びる。アクティブユーザー数を資産として計上する換金可能な指標が必要である。 * 定着は王様である。 * 成長エンジンはウイルス型である。 #### マルチサイド(マーケットプレイス)製品のデザインパターン ビジネスの取引を目的としたマーケットプレイスは、買い手と売り手がお互いに十分集まらず、構築が難しい側面がある。 * 両サイドのキャンバスを作る。売り手と買い手で別々のキャンバスを作って整理する。 * アーリーアダプターのマーケットプレイスで価値検証を行う。 * 仲介処理は自動化しない。 * 両サイドに適切な成長エンジンを選ぶ。 ## 15章 結論 ### 15.1 そして拡大へ 製品・市場フィットの達成はスタートアップにおける最初の重要なマイルストーンである。 重点は学習から拡大に移行する。 あらゆるプロセスは、人を増やすまではうまくいく。そこから新たな問題に直面する。 継続的に学習の文化を作ることで乗り越えられる。 トヨタの流儀「トヨタの人間は「働き」に来てるわけではなくて「考え」に来ておるんだ。」 ###### tags: `読書`
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