# チャットモンチー ## きっかけ チャットモンチーとの出会いは鮮明に覚えている。ただ、鮮明に覚えてる割に、特に良い印象だったわけではない。 SCHOOL OF LOCKというラジオ番組、ご存知の方いらっしゃるでしょうか? 2000年代後半の多くの中高生は、このラジオ番組を通していろんなJROCKのバンドを知っていったような気がする。多分この番組がなかったらのちの夏フェスブームはなかったんじゃないかな、と個人的には思っている。チャットモンチーとの出会いは、そんな番組が始まって間もない頃であった。 番組内で、チャットモンチーがニューカマーとしてほんのちらっとだけ紹介された。そこで紹介された曲は『恋の煙』であった。多分サビだけが流れたんだと思う。「二人ぼっちに慣れようか」そんな歌詞から始まるサビ。とても秀逸な歌詞だと思う。「二人ぼっち」という言葉は発明だと思う・・・が、その歌詞が秀逸すぎたがゆえに、アイドルっぽい曲と感じた。「所詮アイドルっぽいガールズバンドでしょ」。ファーストコンタクトはそんな感じで、厨二な当時の僕はあまり興味を惹かれなかった。 ・・・が、その印象はすぐに打ち消される。 それからどれくらいの期間が空いたかは忘れたけど、ある日、地元である高知唯一のタワーレコードの店の中に入ると、チャットモンチーが大々的に紹介されていた。どうやらこのバンド。徳島の出身らしい。 四国のバンドというなら、とりあえずもっかい聴くだけ聴いてみよっか、そう思ってヘッドフォンをして、再生ボタンを押す。キックドラムの音だけで曲がスタートする。ベースが入ってくる。なんだかすこしおもしろいベースラインだ。ギターが入ってくる・・「わああああ!!かっちょええ!!!」(今思えば単純だなと思います笑)。 「アイドルバンドなんかじゃない!かっこいいじゃん!!でもかっこいいんだけどかわいう!!かわいいんだけどアイドルバンドなんかじゃないじゃん!」 そう思った。それはとても素晴らしいことに思えた。 今考えてみれば、等身大の女子がかき鳴らすロックと表現すれば良いんだと思うんだけど、この時の僕はどう表現すればいいのかわからないままとりあえずなんだか衝撃を受けて、CDを買わずにはいられなかった。シングルCDを買ったのはこれが人生で初めてだった。『シャングリラ』というシングル曲だった。 ## メモリー 『シャングリラ』は、僕が初めてシングル盤CDを買った曲であるとともに、チャットモンチーの名を世に知らしめた曲であった。僕が周りに紹介するまでもなく、程なくして周りも聴き始めたような記憶がある。 そうして、00年代後半のJROCKシーンの中心のバンドとなっていく。シーンにあまり興味がなくとも、チャットモンチーというバンド名は知ってるという同級生がほとんどだったように感じる。だから当時好きな異性にチャットモンチーのCD貸した、みたいな人は大勢いると思う。CDの貸し借りをするにあたって、ちょうど良い知名度とポップさだった。そういう意味でも、平成3年生まれあたりの世代のバンド音楽好きの人間にとって、チャットモンチーは誰しもにとって青春を彩るバンドであろう。 僕の記憶に色濃く残っているのは、2009年発売された3rdアルバム『告白』である。 完全に進学校の落ちこぼれ学生であった当時の自分にとって、このアルバムはそんな自分を肯定して共感してくれ・・かつ、絶妙に現実を見させてくれる、そんなアルバムだった。 "長い目で見てよ、でもたまにはおしり叩いていいよ"(「長い目で見てよ」の歌詞より) "明日だめでも明後日だめだめでも私を許して それがやさしさでしょ"(「やさしさ」の歌詞より) 高校3年生の1年間、受験勉強から現実逃避をするにあたって、このアルバムが果たしていた役割はかなり大きい。笑 そして、時は過ぎ2018年。 チャットモンチーは、自身が主催している『こなそんフェス』での演奏を最後に、チャットモンチーを解散する。 そのこなそんフェスに僕は参加した。 2日間あったうちの1日目だけ参加したんだけど、そこでとあるサプライズがあった。そのときの様子がYouTubeに上がっているので、ぜひ下記の動画を見てほしい。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/sudQILov9P4" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe> やはり誰がどんな楽器で鳴らすかで全然違うんだと思った。簡単なはずのキックドラムを聴いただけで「ああ、これがほんとのチャットモンチーだ!!チャットモンチー復活した!!」って思った。多分涙出たんだろうと思うけど、でも覚えてない。この景色と音を焼き付けようと、興奮状態の中ただただ集中していた。一生自慢したい思い出である。 ## ランキング 個人的に好きな楽曲ベスト10を中心に紹介。 とはいえ、僕にとってのチャットモンチーって、満遍なくどの曲も好きで、ベスト3の候補になるような曲が20曲以上ある感じなので、なかなか選ぶのが難しかった。。。 <iframe style="border-radius:12px" src="https://open.spotify.com/embed/playlist/3bx6rX4lOdqqLrW7jzHv5a?utm_source=generator" width="100%" height="352" frameBorder="0" allowfullscreen="" allow="autoplay; clipboard-write; encrypted-media; fullscreen; picture-in-picture" loading="lazy"></iframe> ### ツマサキ 恋する女の子の心情が、身長のギャップを軸に展開されていく可愛らしい曲。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/K9hj4DSpbt8" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe> 「喉仏」のことを歌った恋の歌って、この歌以外に存在するんでしょうか。 「しゃなりしゃなり」っていう聴きなれない言葉(ずっと造語と思ってたけど京言葉にあるらしい。体をくねらせ気取って動く様を表すらしい)も登場する。そんあくすって笑っちゃうような恋の歌。可愛らしい歌はチャットモンチーにはいっぱいあるけれども、このツマサキという曲は可愛らしくもどこか変態。 ### 湯気 雪の降らない地域の冬の名曲。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/ZxaPnyOevOo" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe> 以前にもWHRMで紹介したことのある曲ですが、やっぱり雪の降らない地域出身の人間として、この曲は外せない。名曲ってのは、何か印象的な歌詞のフレーズがあるとか、かっこいいギターリフがあるとか、ベースラインが変態とか、そんなのだけじゃなくって、景色や匂いあるいは感情に完璧にマッチする、他の曲と替えが利かない、そういう部類ってのがきっとあって、まさにこの曲はそんな感じ。四国のリアルな冬の日常にピッタリとマッチする。そんな名曲だと思う。 ### ウィークエンドのまぼろし この歌詞の意味の分からなさこそが青春。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/XWl6QtR0638" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe> この曲のサビの終わりは1番も2番も3番も、「最悪な日曜日」という歌詞で終わる。 でも、全体の歌詞をどう解釈しても、冷静に考えてこれが「最悪な日曜日」だとは思えない。いま社会で働く人間の立場からすると、どう考えてもこれより「最悪な日曜日」というのは確実に存在する。 だが、バスケットボール枕にして空を眺めている10代の少年の立場で主観的に考えてみれば、彼にとってはこれが「最悪な日曜日」なのだろう。いつまでも空はきれいで、いつまでも風はこの目に見えなくて、いつまでも春の次は夏で…。そんなつまり繰り返されるだけの日常が「最悪な日曜日」なのだろう。せっかく学校が休みなのに何も起こらないこの日曜日が「最悪な日曜日」なのだろう。少なくともそう思っていたい気分なのだろう。 多分青春って、一言で言葉にできない。青春という言葉のなかにはいろんな矛盾が孕んでいる。 まあ、歌詞の中に「黒板」とか「チャイム」とか「授業」とか「制服」とかそんなワードを用いちゃえば青春っぽい曲になるんだろうけども、でもそんな固有名詞だけでは表現できない、青春の匂いというか温度というか、そんな感覚的なものがあって…。 とにかく僕はこの曲が、10代の頃うまく説明ができないけどたまらなく好きだったし、今聴いても10代の頃の自分の面影やその体温を感じます。