# 無担保ローンリサーチ ## 本レポートの目的 - tofuNFTでの勉強会資料として利用 - リサーチ結果をhiyamadから説明 - その後の議論を通して、勉強会参加者のクリプト無担保ローンへの理解を深めることが目的 - 抜けている所や、ここって間違ってない?とかもぜひご指摘ください! `NFA & DYOR! 本レポートは上記の目的においてのみ作成されており、いかなる投資も推奨するものではありません。` ## 参照 - リサーチ機関 - [Crypto Adventure Article](https://cryptoadventure.com/a-guide-to-undercollateralized-loans-in-defi/) - [3six9 Research Paper](https://3six9innovatio.gitbook.io/documentation/3six9-collective/what-is-3six9-cognitio/cognitio-research) - 各プロダクトのWhitePaper/LitePaper - [Maple](https://maplefinance.gitbook.io/maple/) - [GoldFinch](https://docs.goldfinch.finance/goldfinch/) - [Atlendis](https://docs.atlendis.io/atlendis-v1/) - [TrueFi](https://docs.truefi.io/faq/) - Credora [1](https://credora.gitbook.io/credit-methodology/SbLmTxogePkrzsF4z9IK/) [2](https://credora.medium.com/) - [RociFi](https://blog.roci.fi/rocifi-protocol-litepaper-12bd2c67e5ed) - [Gearbox](https://docs.gearbox.finance/) - [AAVE](https://aave.com/) - [Aoba](https://medium.com/@aobaprotocol/aoba-protocol-litepaper-4ad4c913d242) - VC系 - [a16z investing in Goldfinch](https://a16z.com/2022/01/06/investing-in-goldfinch/) - https://www.coindesk.com/business/2021/09/13/zero-knowledge-credit-risk-platform-x-margin-raises-8m/ - 概念提唱者系 - Vitalik氏の[ブログ](https://vitalik.ca/general/2022/06/12/nonfin.html) - DeSocの[論文](https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4105763) - Crypto Lendingとは、を理解したい人向け - [BNB Academy](https://academy.binance.com/ja/articles/what-is-crypto-lending-and-how-does-it-work) - [分散型金融システムのトラストチェーンにおける技術リスクに関する研究研究結果報告書](https://www.fsa.go.jp/policy/bgin/ResearchPaper_qunie_ja.pdf) ## 背景 - 伝統的金融でのLending(所謂”ローン”) - 仕組み - 担保付ローン(=有担保ローン) - 担保資産: 個人向けの場合は家や車、ビジネスローンの場合は設備、不動産、株式、債券等が多い。ほとんどの場合は、比較的流動化し易い「安全な」資産が選ばれる - 担保比率: 担保価値の70~90%がデポジットされるケースが多い - 金利: 2~8%が多い。 - 無担保ローン - ユースケース: クレジットカードや個人向けローンなど - 金利: 3~36% - 借り手の信用度(≒クレジットスコア)によって融資の承認/非承認、金利が決定 - KYCを実施し、信用度の管理を扱うゲートキーパーが存在 - TAM - 年間70兆ドル前後の市場が存在  *出典: Board of the Governors of the Federal Reserve System(US) - CryptoでのLending - 仕組み  - 特徴: - スマートコントラクトにより、貸し手の資金提供/借り手の担保差出/貸し手への金利支払いなど動作のみならず、担保資産価値下落時の清算までもが自動執行される - 清算によってレンディングプール全体の資産価値が維持される為、レンディングプール全体が貸し手に対してデフォルト(=債務不履行)に陥るリスクが比較的少ない - 借り手にとっての要件が担保資産額のみである為、即時の資金調達が可能 - 課題点 - 伝統的金融でのLendingと比較して担保比率が高い(=過剰担保)スキームとなっている為、借り手にとって資本効率が低い - 伝統的金融でのLendingにあるような無担保Lendingのユースケース(個人向け無担保/低担保融資、クレジットなど)が実現できない - 市場規模  - 過剰担保スキームが前提となっている理由 - 借り手の信用度を評価する仕組みが確率されていない - 伝統的金融の世界では、信用度を評価するゲートキーパーが一定の判断基準(今までの金融システム利用/返済履歴、収入、所属企業等々)でもって機関や個人の信用度を評価する。 - 一方、現在のDefiエコシステムでは、その匿名性も相まって、借り手の信用度を評価する仕組みが確立されていない。 - 無担保ローンの場合、返済する十分な動機がない - 伝統的金融の世界でローンを返済しなければ、行政による財産差し押さえ執行や、クレジット情報の毀損による他金融サービスの利用の大きな制限などが発生する為、ローン返済への十分な動機が存在する。 - 一方、Walletと個人が紐づかない(≒複数のWalletで運用し、必要に応じてWalletを使い捨てるケースが存在する)現在のDefiエコシステムでは、借り手にとってローンを返済することが支配的な戦略ではない。 - 過剰担保ローンに比べて借り手の金利が高い - 無担保ローンは、過剰担保ローンと比べて貸してのリスクが高い為、貸し手はより高い金利を期待し、借り手はそれに応じてより高い金利を支払うことになる。 - 融資審査スピード - 現在の過剰担保ローンでは、担保のデポジットが借り手にとっての唯一の要件である為、融資の審査が極めて迅速に行われる。これに比べ、無担保ローンの実行に際して借り手に対する何らかの追加審査が必要な場合、融資の承認タイミングが大幅に遅くなる。 - 課題解決によってもたらされるであろう世界 - 伝統的契約でサポートされている無担保/低担保Lendingのユースケース(住宅ローン、クレジット支払い、低担保事業融資など)の、Crypto Lendingでの解放 - より資本効率の高いCrypto Assetの運用 ## Undercollaterized Lending 概要 -  - 主に以下の点が共通 - 誰か/何かによって、何等かの方法で借り手の信用度を評価する - 信用度に応じて担保比率/金利を調整する - 貸し手側は、責任に応じて借り手が債務不履行に陥った際に負うリスクが変わる ### 特定機関によるクレジット評価 - Maple  - 信用度を評価: Pool Delegates - BorrowerからのLoan Requestを受け、Borowwerへの厳格なプライベートデューデリジェンスを実施 - Protocolに対してStrategyの提案と共にプールを開設 -Point: プールはBorrower毎に開かれる - 報酬: 利息、プール開設費 - 高リスクを受容: Pool Cover - 借り手が債務不履行に陥った場合、Lenderから提供される流動性の前に、プールカバーの資本が清算され、プール内の債務不履行額が補填される - プールカバーは、MPL(Maple発行トークン)とUSDCの両方をバランサープールに預け、獲得したBPTをカバーするプールにステークする - 報酬: 利息 - 低リスクを受容: Lender - プールを選択して自分のCrypto Assetを預ける - 報酬: 利息 - Borrower - 現在は特定機関のみに限定 - 特定機関によってクレジット評価を行う他プロダクト - TrueFi, Clearpoolなどが存在 - クレジット評価に特化したプロダクト: Credora - 旧名: X-Margin - 機関投資家のデューデリジェンスの際、ゼロ知識証明を利用し、機密データの開示をせずにリスク評価を行う - "クレドラは、借り手が利用するすべての取引所から暗号化された情報を取得し、基盤となる機密データを見る必要なく計算を行います。暗号化された証明書が計算を検証し、データのプライバシーを確保します。" - "暗号の信用を評価する従来の方法は、財務諸表や貸借対照表のような静的データを分析することです。これらは重要ですが、特定の時点における企業の財務的健全性を表しています。これらは標準的な書式に従わない傾向があり、特に暗号では詳細が欠落していることがあります。財務諸表は通常、社内で作成されたものであるため、その正確性に対する信頼が損なわれる可能性があります。 Credoraを使えば、貸し手は信用評価にリアルタイムの指標を使うことができ、プール管理者は借り手の流動性を迅速に検証し、潜在的なエクスポージャーを評価できるので、市場がパニックになっているときにも自信を持つことができます。" - Maple, Atlendis,Clearpool等で利用されている ### コンセンサスによるクレジット評価 - GoldFinch  - 信用度を評価: Auditor/Backer - AuditorはBorrowerからのリクエストを踏まえ、Borrowerへの信頼度評価をオンチェーン/オフチェーンで行う。 - BackerはAuditorからもたらされた情報を元に、どのプールへ貸し出しを行うかを決定 - 高リスクを受容: Backer - BackerはAuditorからもたらされた情報を元にプールへの融資を決定 - 貸し手が債務不履行に陥った場合、彼らの資金(Junior Tranche)が優先的に清算される - 報酬: 利息 - 低リスクを受容: Liquidity Provider - Liquidity Providerはプロトコル全体のLending Pool(Senior Tranche)へ資本提供を行う - Senior TrancheからどのBorrower Poolへ資金が配分されるかは、資金配分を行ったBackerの数によって計算され、配分される - [レバレッジの計算式](https://docs.goldfinch.finance/goldfinch/protocol-mechanics/leveragemodel) - シビル耐性を持たせる為、Borrower/Backer/Auditorはそれぞれ"Unique Entity Check"をパスする必要がある。 - ["Unique Identity"](https://docs.goldfinch.finance/goldfinch/unique-identity-uid)という譲渡不可NFTを使用。KYC/KYBプロセスが必要(以下) - "米国外の個人および米国内の非認証個人向け ユーザーがKYCプロセスを完了すると、Personaはそのユーザーが有効なIDを持ち、他の人と重複していないことを確認します。Personaによって確認されると、そのユーザーはUIDを取得することができます。" - "事業体向け(米国外および米国内) ユーザーがKYB情報を送信すると、パラレルマーケッツは、有効な事業体文書と有効な事業主がいることを確認します。Parallel Marketsによって確認されると、その事業体はUIDを取得する資格を得ます。" ### オンチェーンデータによるクレジット評価 - RociFi - NFCS(Non Fungible Credit Score): 特定のWalletの活動履歴から信用度を自動でスコアリングし、譲渡不可のNFTとして発行する。借入時の可/不可、金利は、この10段階でのスコアによって算定される。 -  - 複数のAddressを一つのNFCSにバンドルすることが可能 - "複数のアドレスをNFCSに追加、すなわち「バンドル」することができる。この場合、CSはこれらのアドレスからのトランザクション(Tx)履歴の集計に基づいて定義される。NFCS は一度生成されると不変である。" - スコアリングのモデルは[都度アップデート](https://blog.roci.fi/rocifi-releases-v1-10-september-week38-update-b57f07ba233b)されている - NFCSとリンクしたクレジットスコアAPIを、他のDeFiプロダクトで利用可能 - CyberConnect、Link3等とパートナーシップを締結 ## 各プロダクトのオンチェーンデータ - [Maple](https://dune.com/scottincrypto/Maple-Deposits)   - [Goldfinch](https://dune.com/goldfinch/goldfinch)   - RociFi [1](https://dune.com/OllieF/borrowing) [2](https://dune.com/OllieF/rocifi-nfcs)   ## 借り手へのスコアリング等を行わないプロダクト - Gearbox  - 特定のDefiコントラクト、トークンでの取引において、Derivative運用を可能にするプロダクト - "トレーダーや農民が取るポジションは 、流動性供給者の 資産がダウンサイドにさらされ始める前に 、第三者である清算人によって清算される必要が あります。 そのため、プロトコルは、すべてが正しく機能し、清算人がその仕事を行えば、流動性供給者の資産をプールに戻す。このようにして、Gearbox は圧縮可能なレバレッジを提供することができるのです。 " - Liquidity Provider: Poolへの流動性提供を行う。 - Borrower(Trader): 自分がクレジットアカウントに対して拠出する資金に最大4倍のレバレッジを掛け、Trade、ファーミングなどDefiトレードを行う - プロトコルは、Liquidity Providerの資金引き出しの際の手数料、ポジションの清算の際手数料、また借入手数料とLPの金利の間にスプレッドを収益として得る(*LP出金手数料は近日中に亡くなる予定とのこと) - 最大4倍のレバレッジ運用が可能 - KYC不要 - AAVE Flashloan  出典: [分散型金融システムのトラストチェーンにおける技術リスクに関する研究研究結果報告書](https://www.fsa.go.jp/policy/bgin/ResearchPaper_qunie_ja.pdf) ### メモ - TrueFiでのBlackWaterデフォルト [1](https://www.coindesk.com/markets/2022/10/10/crypto-investment-firm-blockwater-technologies-defaults-on-defi-loan/) [2](https://blog.truefi.io/truefi-issues-notice-of-default-to-blockwater-technologies-19088a9b2570) -
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