2日目午後1@セッション1部屋 === 日時:2017/09/24 13:00 - 14:45 Code for Japan Summit 2017 共有ノート # UD(ユニバーサルデザイン)&ICT対談 佃 孝司 / 東 修作 / 木戸 俊介 / 北山 ともこ ![](https://i.imgur.com/VImayLv.jpg) ![](https://i.imgur.com/E8yFaK4.jpg) ![](https://i.imgur.com/7iTuckv.jpg) ![](https://i.imgur.com/2bEf4BP.jpg) ## 1. 参加者自己紹介 **しあわせの村運営:佃孝司** しあわせのむらに29年務めている UDの推進、障害者の就労支援、しあわせの村の広報に携わっている **開発者代表:東修作** だれでもナビの開発をしている 娘が車椅子利用者で、オープンデータ、ユニバーサル・デザインに関心を持つようになった **市民:木戸俊介** 物事には良い面と悪い面がある。 その良い面をみれば、人生は圧倒的にポジティブになれる ポジティブモンスターと呼ばれている **デザイナー:北山ともこ** NPO法人アイ・コラボレーション神戸 ## 2. 各自にとってのUDとは? UD(ユニバーサルデザイン)とは・・誰にでも使いやすいデザイン。障がいの有無にかかわらない。バリアフリーを超える。バリアがあることを前提にしない。はじめからバリアを作らずデザインされたもの ### 佃(つくだ)さん もともとノーマライゼーションという考え方で、しあわせの村が作られた。 その文脈でのユニバーサル・デザイン 大きく分けて4つのUDの柱がある - みんなが使えるものづくり - 安心・安全なまちづくり - 誰もが参画できる仕組みづくり - 一人ひとりを大切にする意識づくり ハードだけでなく、ソフトでもUDを推進している - 神戸UD大学 有馬温泉やポートピアホテルのUDの取り組みを学んだりする市民講座 - 夏休み親子UD体験教室 - 神戸ユニバーサル・デザイン 1年間の発表、普及啓発の場 - UDうどん(うどんの麺の中にスリットが入っていて、誰でも使いやすい) - ファッションショー(誰もが着やすい洋服) - ユニバーサル・デザインの施設調査 実際に使って、施設を改修していく - UDの出前授業 ハードだけでなく、思いやり「ハート」を大事にしている。「ハードとハート」を大事にしている ### 東(ひがし)さん 家族の障害をきっかけに、UDに興味を持った - 2009年にOpenStreetMapとの出会い - 2010年ごろよりユニバーサル・デザイン・マッピングを実施 ・今までに無い視点で、障害者の人の視点で見ると、街が違って見える ・最初にUDを考えて施設を作ることが大事。後から回収すると膨大なお金がかかる ・車の進入を防ぐための施策が、車椅子も通れなくなってしまう ・お店の段差が10cmがあったりと、色んなことに気づく - 2010年に車椅子マップ(Wheelmap)開発者ラウルさんとの出会い - 2016年より歩道マッピング(OpenSidewalks) ・日本語版を取り組んだ ・横断歩道や点字ブロック、縁石の有無などが表現できる ### 木戸さん 須磨ユニバーサルビーチマットプロジェクト オーストラリアにリハビリ留学して出会ったのがビーチマット ビーチマットが浜にひかれた。友達と一緒に海に入れた。今まで海に来ても見ているだけだった悲しい体験が、うれしい体験に - 第一弾は歩道から波打ぎ際まで 80m 120万のクラウドファンディングを実施 - 第二弾は波打ち際から海へ ヒッポキャンプという水陸両用の海に入れる車椅子 一番自分が楽しんでいたと思う。それが大事。心から湧き出る笑顔。 伝えたいこと 1. 障害者として、オーストラリアで感じた感覚を伝えたい 諦めたものを、取り戻せるという感覚を感じて欲しい 1. 元健常者として 接点を作りたい 車椅子優先というのは日本特有。分けてしまう。オーストラリアでは、どこも優先なのが当たり前 障害者と健常者 障害者と社会、自然、健常者と健常者をつなげられる可能性を感じた 今後は、街、畑、山に進出したい ### 北山さん アイ・コラボレーション神戸に所属 - UD/ICTに関する取り込み - モニター評価・実証実験 - アクセシビリティの祭典の実施 ## 3. UD(ユニバーサル・デザイン)&ICT **例) パソコン** ・多言語 ・スクリーンリーダー(全盲の方でも可能) ・寝たきりの方も操作可能(ボタン操作、音声操作、視線操作、筋電操作) **例) スマートフォン** ・iPhoneのアクセシビリティ ・視覚サポート(Voice Over) ・聴覚サポート(LEDフラッシュ通知) ・操作サポート(スイッチコントロール、AssistiveTouch、タッチ調査) **例) スマートフォンUDアプリ** ・明るく大きく(小さな文字を読みづらい人) ・TapTapSee(視覚障害者向け、画像認識カメラ) ・UDトーク(コミュニケーション支援アプリ。音声→文字化&翻訳) ・色のシュミレータ(色覚特性をもつ人向け) **例) IoT** ・玄関インターホン(スマホで訪問者確認&施錠解錠) **例) ウェアラブルデバイス** ・メガネで見る字幕ガイド(スマートガイド)  目や耳の不自由な方、外国の方も一緒に映画を楽しめるUDCast **例) AI/音声認識/AR・VR** ・寝たきりで身体が動かない人もVRを使えば ・Amazon Alexa 視覚障害者を持つ方の日常が便利になる 国の動き 東京オリンピック・パラリンピックICT移動支援(国交省の取り組み) →都市サービスの高度化(IoTおもてなしクラウド事業) →歩行者移動支援サービス この歩行者移動支援サービスが実装されているのがしあわせの村の「だれでもナビ」 ### 誰でもナビの説明 ・しあわせ村は甲子園50個分もある ・目的地に行くのが非常に難しいという声があった ・様々な立場の人に入ってもらって、情報提供コンテンツシステム開発検討作業部会で検討(学識経験者、障害者の方、学生、高齢者など) →アプリを作ることになった ・村内の目的地を設定すればルートナビしてくれる  従来は段差とか、点字ルートが出てこなかった  最短ルート、段差階段の無いルート、点字ブロックルート  視覚障害者のためにはVoiceOver対応 ・英語、中国語、韓国語、日本語対応 ・配色にもこだわっている(カラーユニバーサルデザイン) ・こうべ誰でもトイレの近くにビーコンが置いてあり、誰でもナビから音声案内が流れる ・困ったところ  点字ブロックが途切れているところがある。そこは、人がいるところに案内をしている。 #### 東さんから技術的な補足 OpenStreetMap, 地図のWikipediaを使っている なぜOSMなのか? - 閉じられたナビゲーションであるため、ちょっとがんばればデータ整備可能なサイズ感だった(神戸市全域とかは難しい) - 必要な情報を細かく登録できた(横断歩道、段差、斜度、路線、点字ブロックなど) - 当事者自身がデータ整備に参加でき、他の誰かの役に立てる (障害者の方は常に誰かのお世話になっているので、申し訳ない気持ちになる。なので誰かの役に立てればうれしい) - デザインの自由度が高く、色覚異常や弱視の方に配慮した配色 - オープンデータなので整備したデータは自由に再利用できる #### 木戸さんのOSMの取り組み ・Code forに関わった理由。須磨ビーチでマッピングパーティを開きたかった ・だれでもナビのようなものを作りたい。西区の西神中央でまずは実験的に実施。 ・健常者と障害者の人が触れられるように。障害者の方が指導者になれる ・みんなで一緒に回ってもらって、あとから気づきをシェアしてもらった ・そもそもOSMに詳しくない人は、マップに落とし込むのが難しかったと感じた ### 4. 取り組んで感じたこと(対談) **視覚障害者の方がどの方向性を向いているのかがわからないという課題がある(東さん)** →今は受付に電話をかけられる仕組みになっている  ただ、そもそも受付に今どこにいるか言えない  オープンスリーワーズとか、メッシュでGの7とかわかるようにするとか →スマホに方角を音声案内するとか検討している →目の見えない方は車椅子と異なって、自分がスマホをどう使えばいいのかすらわからない  当事者だけではどうにかならない部分も出てきた **ブラインドと車椅子利用者は、バッティングする(木戸さん)** →ブラインドは凸凹が必要。でも車椅子は凸凹があったら困る →完全なUDは難しいので、だからこそ「ハート」の部分が大事だと感じている **だれでもナビは一緒に要件定義の段階から、障害者が入っているのが素晴らしい** →エンドレスな要件定義(歩くたびに課題が出てくる) →ウォーターホールではなく、プロトタイプを作りながらという開発手法に変わっているが、人によって意見が異なるので、非常に苦労した ・細かくデータを作ることには限りがある(2cm,3cmの段差とか細かくしてくには限りがある) **バリアフリーではなく、ユニバーサル・デザイン?** ・まずはできるところからやる必要がある。それをPDCAを一緒に当事者と回していくしか無い ・有りモノの建物はバリアフリーしか難しい。なので建て替える時に考えるとか柔軟に取り組んでいく必要がある ### 5. 今後の展望 #### 佃さん ・だれでもナビの利用者を広げていくこと ・関係者のつながり、出会いの重要性を感じた ・まだアプリが完全には出来ておらず、色んな意見は出てきている ・そのへんができたら、神戸市内の他の施設にも使って欲しいと思っている #### 東さん ・OSMを今回のように移動する経路検索として使っているのは日本初 ・色んなところに展開できる可能性がある #### 木戸さん ・個人としてアプリの導入はできないので、今回のCfJSummitやマッピングパーティ等で盛り上げていければ、行政も動いているのではないか。 ・データは作った。あとはカネだけですよと言ってみたい ・最低限の障害者としての責任を果たすべき。文句を言うだけでなく、検討部会に出るなど意見を発信すべき #### borderlessとUniversalとの関係性はどう考えますか? 木戸さん ・どれが正しい間違ってるじゃなくて、それぞれが自分自身でその違い考える姿勢が大事ではないか 東さん ・UDだけだとしんどいことがある ・段差があってそれを直すのは中小零細企業は経済的に難しい。その場合、板を渡すだけでよかったりで、思いやりが大事  どこかで折り合い、落とし所をつけることが大事。合理的配慮と言われるような。 ・障害があるとか無いとかという隔たりをなくすことが大事ではないか ### 告知 木戸さん ・10/14に丹波篠山で畑にシートをしいて黒豆収穫をするようなイベントをしていくので是非今後も 佃さん ・「誰でもナビ」是非ダウンロードを 板垣さん ・アイ・コラボレーション神戸主催でアクセシビリティの祭典を開催  2018/5/17 Global Accessibility Awareness Day(GAAD) ### 質疑応答 ・経路検索はどうやっているのか  PGRoutingを使っている。GeoRepublic社員がコミッターをしているオープンソース。しあわせの村用にラッピングしたものも今後OSS化予定 ・実際に利用した方の感想は?  村内には34の施設がある。建物同士ではなく、今回は屋内地図まで案内できるのが便利とか、誰でもトイレにビーコンを埋め込んでいて、その設備を説明している(便座の向きとか)のが便利など声を頂いている ・どうやってOSMの色分けしているのか?  セントラルのデータは使っていない  データのコピーを取って、ローカルの地図に色をマッピングしている #### このノートは誰でも編集可能です!ぜひ議事録取りに協力願います。 undefined