# The Last Train ~ 対小田原戦線物語 ~ 感想と解釈 この記事は[みす51代 Advent Calendar 2021](https://adventar.org/calendars/6313)の16日目の記事です。 こんにちは、二度目のnaka3です。 皆さん、**一週間前に公開されたオタクたちのリレー小説**は読んで頂けましたか? この記事は、以下の記事を読んでから読んでいただければと思います。**激烈な内輪ネタです。** 元ネタ(2018):[対小田原戦線奮闘記](https://sufurin.github.io/taiodawara/) 一作目(2018):[The Last Train ~ 対小田原戦線物語 ~](https://hackmd.io/@QpcN7W4fSV-r6efweOCxpQ/rySsskQJ4?type=view) 二作目(2021):[伝説の再来](https://hackmd.io/@shikugawa/B1r1Af2Dt) この記事は、これらを読んだ私なりの感想と解釈をつらつらと書き連ねていくものです。私が書いたところもありますが。 内輪ネタすぎたので、はてブじゃなくてHackMDに書くことにしました。 ## ◆どうして さて、**これ以降はネタバレを含みます**、よろしいですか? さて、私がこんな記事を書いたのは、せっかくトリを務めたんだから、みんなに文句を言う……ではなく、私がどう解釈して最終章を書いたのか、書いていこうかな。とか。ついでに感想も。みたいなアレです。 ついでに、感想と解釈に入る前に、何故わたしがトリを務めることになったのか、簡単に経緯を紹介しましょう。 時はさかのぼり、11月13日、某氏からのDM。 <img src="https://i.imgur.com/vP9zdji.jpg" width="300"><br> <img src="https://i.imgur.com/kPf7u3C.png" width="500"> 要するに、**勝手にこうなってました。** <img src="https://i.imgur.com/vVeaFsv.jpg" width="400"> ## ◆感想と解釈 ### 0.手記(G2) **感想** 全てはここから始まった。 全部読んでから改めてここに戻ってくると、物語とそこそこ噛み合ってなくてウケます。 **解釈** Ryo Senoは多分この物語の観測者的な立ち位置なのでしょう。 Ryo Senoが誰なのかという点については本来僕が回収しなければいけない伏線なのでしょうが、こういう上位の存在を登場させるより少女と主人公の物語として終結させた方が綺麗だなと思って、回収しませんでした。 ### 1.プロローグ:そのとき、男は逃げていた(G2) **感想** 感情描写や風景描写が、実にG2らしい(激ウマギャグ)生々しさがあって流石ですよね。 「崩壊した駅」という表現が、ある意味今後の方向性を決定づけていくことになったのではないでしょうか。 **解釈** この章だけを見ると、小田原から徒歩で帰路につく19さんの絶望的状況を綴っている比喩的描写に見えますが、この後の展開から考えると具体的描写と捉えた方が良さそうです。 「崩壊した駅」は小田原駅のこと。主人公は寝過ごしにより小田原駅に至り、そこから逃げるようにどこかへと向かっているようです。 "トウキョウ"や"カナガワ"の領域が存在するもう一つの世界(僕はセカイと呼んでいるので、今後セカイと書きます)において、小田原駅(セカイ)は崩壊した領域"カナガワ"の最果てであるため「あたりを見渡せば、おおよそのモノが歪みきっていた」というような状態なのでしょう。 (今後、基本的に僕の解釈は、現実世界とセカイという世界の二面性を前提としたものになります。) ### 2.儚き夢を追い求め、男は往くーーー(むさしん) **感想** <img src="https://i.imgur.com/fl8X02D.jpg" width="500"> 「刹那」とかオタクくんっぽくて良いですよね。いや、僕も使ったんですけど……。 **解釈** 特にないです。 ### 3.ところが、彼は一度現実に立ち返る。(クランク) **感想** 前の人が2行で終わっててさぞ驚いた事と思います。 急に現実世界……のようなものに帰ってきている辺り、まだ物語の軸が定まりきっていない感じがして良いですよね。 でも、この章がなければ、世界の二面性が描かれることはなかったのかな、とも思うわけで。 **解釈** 現実世界での主人公のスクールライフが描かれています。 が、おそらく実際には主人公はセカイで小田原駅から移動を試みており、歪んだ世界の影響か、はたまた疲労からか、夢のようなものを見ているような描写だと私は解釈しました。現実のように見えるこちら側が実は夢という訳です。 いずれにせよ、歪んだカナガワの影響を受けて、2つの世界が混濁しつつあるような描写かと思います。 ### 4.夢と現実の迫間で(しらす) **感想** 3章と5章が仕上がっている状態でそれらを繋ぐという離れ業。 3章は現実世界、5章はセカイが描かれている訳ですから、そこを繋ぐのはさぞ困難だったろうと思いますが、2つの世界が混濁している様子がよく分かり、また「均衡点」「因果律」という重要ワードも登場し、上手くまとまっていて流石だなと思いました。 「現におなかもグーって鳴ってるしね。」が好き。 **解釈** 主人公は世界の均衡点であること、主人公が小田原駅に至ったことで世界の崩壊が始まりつつあることが示唆されています。 現実世界で授業を受けながら、「何か」と会話している夢を見ているような描写ですが、実際には逆なんだろうと思っています。そう考えた方が後の辻褄が合いますし、何よりオツな感じがしますからね。 後半ちんちんが無くなる描写も現実的にはありえない描写なわけで、夢の中ならまぁそういうこともあるのかな、みたいな。 自分のちんちんが無くなるのは男にとって衝撃的ですから、そこで「現実と思われていた夢」から醒めていく訳です。 ### 5.崩壊と少女(しくがわ) **感想** オタクの物語にヒロインは必須!ということで堂々登場です。 しくがわの章で登場するという事実が、何か感慨深いですね(何が?) この章で出てくる設定はどれもオタク心をくすぐりますし、実際物語の最後まで活用されていくことになります。そう考えると、オタクの事、よく分かってんなァ~!という感じがします。 **解釈** 秦野駅という場所でヒロインである少女と出会います。 秦野駅は現実世界にも存在する筈ですが「我々が今存在する世界には”人間”という概念が存在しない」という少女の発言を鑑みると、ここはセカイにおける秦野駅ということですね。 いくつか重要な設定が出てくるのでまとめてみましょう。 * 秦野駅(セカイ) * あらゆる空間的・時空的歪みの影響を受けないシェルターのようなもの * 時刻表 * この世界で起こるあらゆる事が記載されている そして、世界は何らかの外的要因で小田原駅(セカイ)に至り、崩壊が始まった事。それは時刻表に記載されていない事などが少女から明かされます。 (この「外的要因」という伏線が最後の最後までたらい回しにされることは、まだ誰も知る由もない訳ですが……) さらに少女は、均衡点(以下、神とします)たる主人公が小田原駅に至ったのだと推測しています。なので、4章で「均衡点たる君」と表現されているのも、恐らく少女の推測でしょう。 主人公が神である場合、主人公はセカイにおいては実質世界そのものなので、主人公がセカイの中を動き回ることが、世界を動かすことにつながっている、と私は認識しています。 だからこそ、主人公がカナガワの最果てにある小田原駅(セカイ)に到達する事で、世界の崩壊が始まった訳ですね。 ### 6.約束の場所、町田駅(naka3) **感想** 僕が書いたところなので感想もクソもないですが、設定モリモリにしてすみませんでした。 でも、後々自分が考えた設定が活かされているのを見るとすごく嬉しい気持ちになりますね。 **解釈** 少女との会話が続きます。新しい設定がいくつか出てくるのでまとめましょう。 * "トウキョウ" * セカイに存在する領域のひとつで、歪みがなく、世界(≒主人公)がここに留まる限り、全ての事が時刻表通りに進む。 * "カナガワ" * セカイに存在する領域のひとつで、歪みが大きい。世界(≒主人公)がここに留まる限り、世界の崩壊が進む。 * 秦野駅(セカイ) * "カナガワ"に存在しているが、少女が管理しているお陰で安定している。"カナガワ"に到達した世界を再び"トウキョウ"に戻すための場所。 * 小田原駅(セカイ) * "カナガワ"の奥地に存在。歪みがバカデカい。 * 町田駅(セカイ) * "トウキョウ"と"カナガワ"両方の性質を併せ持つ曖昧な場所で、2つの領域を繋ぐ唯一の場所。秦野駅の北東にある。 神である主人公(この時点では少女の推測ですが)が、秦野駅から町田駅に至ることで、世界は"トウキョウ"へと戻り、安定する。だから行こう!という流れですね。 ### 7.「町田」の正体(えすふり) **感想** > 「『町田』っていうのはね、"トウキョウ"の生殖器なの……」 ヒェ…… <img src="https://i.imgur.com/uj5QxZi.jpg" width="200"> えすふりの狂気性が垣間見える章です。 少女があまりにも急にツンデレになってからの「お、え、ど、どうした急に……」が読者心理そのもので好き。 **解釈** 分からんけど、猥談を通して主人公と少女の距離はより近づいたのではないでしょうか?そんな事はない? 町田市が東京都の生殖器みたいな形しているのは分からんでもないですが、この設定は残念ながら今後活かされることが無いのでスルーします。 ### 8.エピローグ(むさしん) **感想** 書いている最中にキーボードの電池が切れたらしいのですが、そのタイミングが絶妙すぎて、良い感じに「俺たたエンド」になっててウケますね。 むさしん、持ってる男という感じがします。 **解釈** 主人公と少女が、どこかで眠っているシーンから始まります。 「見慣れた天井」という表現からも、現実世界の主人公の自宅である可能性が高いかと思います。 町田駅(セカイ)に到達した直接的な描写はないですが、主人公は少女とともに町田駅(セカイ)へと至り、世界を安定させたということだと思います。 一方で、少女の今後について憂いて唐突に物語が幕を閉じます。 この時点では少女がどうなるのか分からないですが、それは今後分かることになるのでここでは割愛しましょう。 そして、この唐突な幕引きによって、3年後のリレー小説へとバトンが渡されることになります。 ### XX.独白(G2) **感想** えすふりの事後調査も併せた表現、実に見事ですよね。G2だけに。(二度目) 露骨に二期の存在を匂わせてくるアニメの終わり方みたいで正直好きです。 **解釈** 3年後の第9章に続くにあたってAIにここは読ませていないらしいのですが、重要な章であると個人的には思っています。 一度は現実世界への帰還を果たしたと思われる主人公でしたが、再び秦野駅(セカイ)に向かっていると思しき描写があります。 「今度こそやり直すんだ。」ともある様に、主人公は世界の崩壊を防ぐことは出来たとしても、少女を救うことは結局できなかったことが示唆されます。また、次こそは少女と共に世界を救うことを決意しているようです。 そして、次回作へと続いていきます。 ### 9.「町田」の正体2(AIのべりすと α2.0) **感想** 支離滅裂なところはあれど、書いてる人がバラバラの文章を渡しても、そこそこのものを返してくれるんだなぁと感心してしまいました。 **解釈** 8章では主人公が先に起きているのに対し、9章では少女が先に起きているという矛盾があります。 主人公二度寝した?とも思いますが、11章で彼らが再び秦野駅に居るらしき事が描写されているので、一度は町田へと辿り着いたものの、再び秦野駅に戻された後のシーンだと私は考えています。 8章の唐突な幕引きから、何か超常的な力によって秦野駅に再び(時空的にも?)転送された、みたいなイメージですかね?少女が秦野駅を離れ町田駅に至る事は時刻表の観点からは有り得ない話なので…… まぁとにかく、この章から再び舞台は秦野駅へと戻っていると考えないと辻褄が合わないので…… だとすると「君はもうすぐいなくなるってこと」という発言は、主人公が一人で町田駅へ行く必要があることを、遠回しに伝えているのでしょうか? どちらにせよ、AIが書いてるので真意は誰にも分かりませんが、そういう事だと思って読み進めていきます。 ### 10.町田症候群(しくがわ) **感想** 風景描写や設定まわりがオタク感あって最高!気持ち良い! 特に白いワンピース、ひまわり畑といったオタクの共同幻想が清々しいほどそのまま描写されてて、しくがわらしさ全開ですごい良かったです。 設定はかなり増えましたが、扱いやすくて大変助かりました。 **解釈** 少女が見せたノートにより、主人公が6年前の出来事を思い出します。 6年前、主人公は「町田症候群」という難病に罹り、その治療のため「小田原診療所」を訪れています。 設定を整理しましょう。 * 町田症候群 * 特定の地理条件を満たした人(恐らく町田在住?)が罹る * 突然眠ってしまう * 眠った際に白い少女の夢を見る * 小田原診療所 * 町田症候群を治療するための施設ということになっている * 人里離れた山奥にあり、その場所は一般人に知られてはいけない(名前通り小田原に存在するのかどうかは、分からない) * 田舎のおばあちゃんの家のような佇まい * お婆さんが管理している さらに、小田原診療所には3つのルールが存在します。 * 森の外に出てはいけない * 理由は分かりませんが、小田原診療所はセカイのカナガワ領域に存在し、秦野駅のように特異的に安定した領域である可能性がありますね。外は歪んだ世界であるため、命の保証が出来ないと考えることは可能かと。 * お婆さんに逆らってはいけない * 後々触れますが、小田原診療所は町田症候群の治療が目的ではなく、お婆さんがある目的を果たすのが目的なので、その目的を達成するためにお婆さんの指示が絶対、というところでしょうか。 * 夢の中で魂の根源を見つけなければならない * こちらも後ほど触れますが、魂の根源を見つける事でその人は神になります。 * 魂の根源を見つけられなかった場合は廃棄されます。小田原診療所で犠牲者が出ている事が示唆されているのは、これが理由でしょう。 * ノートに書かれた「駅名の、書かれた柱の、その付け根、水たまりから、湯気は立ちつつ」の文字列が、魂の根源そのものか? これも後々触れますが、そもそも町田症候群はお婆さんが主人公らを小田原診療所へと連れてくるために引き起こしているので、小田原診療所を訪れてから町田症候群の症状が出なくなったのは、その必要が無くなったからですね。 また、普通の夢に少女が現れるようになったのは、町田症候群とは関係なく少女が自らの意思で主人公の夢を訪れているためでしょう。 ### 11.小田急診療所の正体(しらす) **感想** 今まで出てきた設定が言わば整理される形となり、また次なる展開も示される、しらすの思いやりに溢れた章だと感じました。ありがとう、しらす。 何とは言いませんが、この章以降、少女の台詞を読む度、書く度にある顔がチラついてしんどいです。 いや僕は別にあの名前になんの思い入れもないのですが……(学科が異なるため) **解釈** 秦野駅での主人公と少女の会話が続きます。 そこで、小田原診療所は神になり得る人々を町田症候群を利用して集め、その中から神様を選別する施設である事が明かされます。 小田原診療所で魂の根源を見つけた人は神になり、見つけられなかった場合は廃棄され、犠牲者となります。 少女は神にはなれなかったものの、町田症候群で見る夢(心象世界)へ訪れる特殊な才能をお婆さんに利用され、人々を小田原診療所へ集めるための言わば客寄せパンダとなっていた訳です。 後ほど明らかになるように主人公は廃棄される予定でしたが、それを避けるために少女は自らの意思で主人公に魂の根源を見せてしまい、お婆さんの意図に反し主人公は神となります。 意図せず神が選別されてしまったため、仕方なく主人公を利用して目的を遂行することになったと考えられます。(セカイにおいて神=世界であることを考えると、神は1人しか存在できないとするのが自然です) そして本来、少女はお婆さんの怒りに触れて廃棄されるべきですが、お婆さんは少女の特異な才能を失う事を恐れ、今度は秦野駅の守護者として利用するようになったようです。 一度は時刻表に反し二人で町田駅へと到達しましたが戻されてしまったため少女は、今度は主人公一人で町田駅へと行く事を薦めます。 そして半ば強引に主人公は一人で町田駅へと至ります。 「町田駅に帰ってからは俺はというと普通に家に帰っていた」という描写から、既に主人公はセカイではなく現実世界へと帰還しているようですね。 ### 12.REB00000000T(むさしん) **感想** <img src="https://i.imgur.com/j0MZOLR.jpg" width="200"> 全体を読み返す度にここで笑ってしまって集中力途切れちゃいました、勘弁して。 タイトルもさることながら、やはり誤字脱字が面白いので晒しておきますね。 > でも、ゔぉんやりと浮かぶのはよく見知った顔。 > 助成というより、おn女の子と言ったほうが正しいか。 > 肺が焼けるように痛い。当然だ、さっきまで無我むちゅで自転車を漕いでいたんだから。 **解釈** 今度は町田駅に一人で至った主人公。 前回は少女とともに辿り着いた訳ですが結局戻されてしまったので、再び少女をトウキョウに連れてくる事に失敗したという事になりますね。 今度こそ少女を救うため、再び自転車でどこかへ(恐らくセカイの秦野駅)向かうような描写が見て取れます。 XX章の「だから、俺はもう一度、あの場所に向かっている。」という記述は、これを指した表現だったと解釈できますね。 ### 13.いつかの佳奈、独白(G2) **感想** ここで少女視点で物語が綴られるのマジでナイスだよなぁ〜とクランクと分かり合いました。さすG2。 表現や言葉が難しくて、正直記述の全てをよく理解し解釈できてる自信は全くない……ので、この章に関しては後の結末と矛盾が発生しているところがありそうな気がします。すまん! **解釈** 主人公が現実世界へと帰還した後の、秦野駅(セカイ)での少女の独白が綴られています。 二度も少女のトウキョウへの帰還が叶わなかった理由は、神のみが二つの領域を行き来できるところ、少女は神のなり損ないだから。 そもそも、その二つの領域を行き来する事自体が時刻表に反した行為であり、言わば時刻表よりも上位の存在である神のみに可能な行為であるというところでしょうか。 なので、少女は主人公に一人で町田駅に行き世界を救う事を薦めたわけですが「しかし、救いを求めてしまった。」とあるように、本心では自らもトウキョウに帰りたい事を明かしています。建前としては自分のことは気にせず世界を救ってほしいとしつつ、本音としては自分も救って欲しい訳ですね。 「"神頼み"」という表現からもわかるように、それを実現できるのもまた、時刻表より上位の存在である主人公だけだと思っているようで、主人公が再び秦野駅へと帰ってきてくれることを待っています。 秦野駅(セカイ)についても「主人公が認識する事で初めて存在できる」という設定が増えました。 秦野駅はカナガワからトウキョウへ至るための宿場のような存在であり、かつカナガワからトウキョウへ行けるのは神だけなので、主人公のためだけに存在してる場所といっても過言ではありません。 ので、主人公が必要としなければ存在意義がなく、消滅するということだろうと私は解釈しました。 実際、12章での「彼女のことはもう忘れよう。」といった諦めの気持ちが表現されている場面と、13章の「彼が去ってしばらくは、私も秦野駅を認識できなくなっていた」という秦野駅の存在が揺らいでいるような表現はリンクしてるように思います。 ### 14.佳奈とカナガワ(えすふり) **感想** 突然時代が飛んだり、突然グンマが出てきたりと相変わらずぶっ飛んでんな〜とは思いましたが、三年前のアレに比べると成長を感じますね(?) 水系関連の設定は実際の地理や交通も落とし込まれてよく出来てるなぁと思うだけに、最終章で活かせなかったのが少し悔やまれます。物語は難しいね。 **解釈** 時代は急に200年後の2218年に飛びます。というより、11章のラストから既に2218年だったと考えるのが自然かと思います。 時代が急激に進んだ理由は15章で言及されるように、トウキョウに戻る際に本来戻るべき時空座標"終電"を掴み損ねたためです。それにしても200年も飛ぶのは凄まじいですが、カナガワは時空も歪んでますから、二度もカナガワを訪れた代償と言えるのではないでしょうか。 逆に言えば、カナガワでは(自由自在にとは行かずとも)時間を遡ることも可能である……かもしれません。 15,16章と2018年の時代に戻りますから、2218年までの200年間で成立したと思われる水系関連の設定は今後それほど出てきませんが、それだけ、2018年に主人公が成し遂げた事が伝説的な出来事であり、神話的に(文字通り主人公は神な訳ですが)未来で語り継がれている事が分かりますね。 設定についてここでは詳しく取り上げないので、本文をもう一度お読みください。 ### 15.カイソウデンシャ(クランク) **感想** ここで廻想伝写という超便利概念が登場したことが、私をどれだけ助けてくれたことでしょうか。 センキュークランク。 えすふりの事後調査や、ここまでの物語での言い回しなどを踏まえた表現が多く登場し、これまでの我々の歩みが凝縮されたスマブラみたいな章になっててアツい。 **解釈** 時刻表には主人公が2218年の町田駅に到達する事が規定されているというようなことが記述されているようなので、主人公の存在は時刻表的には正しい筈ですが、世界からはイレギュラーな存在と見做され消されようとしています。矛盾した記述に見えますが、逆に、時刻表とは別に世界を規定することができる上位概念の存在を示唆しているとも言えるかもしれません。例えば、地球とか。 16章で「文明のリセット」の話が出てきますが、これは地球の意思により発動する自浄作用であり、時刻表もろとも世界を一度リセットする……という想定で書いており、それは15章のこの記述から着想を得ています。 会話の中で登場する新しい概念「廻想伝写」についてまとめましょう。 * 廻想伝写 * 神の思い通りに時刻表を規定できるというもの * "始発"と呼ばれる条件(特定の場所・日付・時間)を満たすことで発動できる * この後、1つはバス停と思われる場所、もう1つは秦野駅で廻想伝写を使っていると思しき描写がありますから、始発の条件は複数の組み合わせがありそうです * ちなみに実際の秦野駅の上り始発電車は5:06ですが、現実世界とセカイは違うのであまり気にしないことにしましょう 上手く使えれば便利なことこの上ない力です。13章で「彼が神の力を使いこなせるか」とされていた「神の力」は廻想伝写のことであると考えるのが妥当でしょう。 山を越えてバス停のようなものへと辿り着いた主人公は、廻想伝写を使って秦野駅へと向かうバスの存在を時刻表に規定させ、出現させようとします。 (正確には、主人公がバスに乗って秦野駅へ向かう事を規定しようとしているということ?) 従って、この場面では「このバス停における始発の条件」を満たしているということになりますね。 ### 16.ふたりで(naka3) **感想** 回収していない伏線や、支離滅裂なところも多々あるとは思うのですが、執筆してる時、修士研究でバチクソ忙しかったんです!許してください! **解釈** 廻想伝写を使って秦野駅行きのバスに乗り込んだ主人公は秦野駅(セカイ)へとたどり着きます。 描写から、廻想伝写という力を使うとそこそこ身を削るようです。 秦野駅では主人公と少女、お婆さんが事の顛末について会話をしています。時系列を追ってまとめてみましょう。 地球(時刻表とは別の上位存在)は増えすぎた人類と変わりすぎた地球環境をリセットするため自浄作用(=世界の崩壊)を働かせます。 その遂行のためお婆さんは地球に選ばれた存在で、世界の崩壊のために必要な神の選別を開始。 世界の崩壊には神が無意識のうちにカナガワ領域に達してそこに留まる必要があるので、時刻表で小田原駅に寝過ごし到達することが規定されている人々を集め、その中から神を選ぼうとします。(このころにお婆さんは少女と出会ったと考えるのが自然でしょう) 人の集め方や、神をカナガワに留まらせる策に苦心していたお婆さんはそのために少女を利用し始め、やがて主人公が小田原診療所を訪問。 お婆さんは主人公がカナガワ領域に留まる可能性は低いと考え廃棄しようとしますが、少女が主人公に魂の根源を見せてしまったために、お婆さんの意図に反して主人公は神になります。(魂の根源は偶然に見つける物というより寧ろ、お婆さんが見つけさせるものだと私は認識しています) お婆さんは主人公を神として世界の崩壊を遂行せざるを得なくなった訳ですね。大誤算。 会話の後、お婆さんは主人公と少女を殺そうとします。 主人公を利用して世界の崩壊を起こす事を諦め、新たな神を選別するために主人公を消そうとしている、というところでしょう。 少女を殺す理由は、全てを知ってしまっているため、存在自体が不都合となるからですね。 クライマックスシーンでは始発の条件が整い、主人公が廻想伝写を発動、少女を神様にする事を願い、現実世界の町田へと帰還します。(ただし、廻想伝写の強い力による代償で記憶を失いかけています) さて、11章でも言及した通り「セカイにおいて神=世界であること」から考えると「神は1人しか存在できない」としましたが、時刻表を書き換えたことで「神が2人いる」というイレギュラー状況が発生してしまいました。 矛盾と言えば矛盾ですが……神が2人いてもその2人が一緒にいれば特に問題はないと判断しました。そして、彼ら2人が一緒にいるために、自然に引き合う形で再会する……というロマンチックシーンだと思って最後は書きました。めでたしめでたし。 # おわりに お疲れ様でした。 別に物書きでもない一般オタクが何人も連なり書いたものですから、文章力も構成力も拙いところは多いでしょうし、何より設定の矛盾もあったかと思いますが…… そうやってそれぞれの解釈や思惑が交錯して化学反応を起こしていくのが、リレー小説を書く側の面白さであり、しんどさですね。 そして、そういう支離滅裂さからそれぞれの多様な解釈が生まれ得るところが、読者から見たリレー小説の面白さの一つなのかなとも思ったり思わなかったり。いや、そもそもそんなに読んでる人がいるのかという話ではあるのですが……。 何より「なかなか良いものができたんじゃないの!?!?」と我々は内輪で大層盛り上がりました、こういうノリは大事にしていきたいですね!(楽しいため) 以上です。 明日はクランクの番です、たくさん記事書いてて偉いぞ〜
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