# 何らかの短編2
この記事は、[みす51代 Advent Calendar 2019](https://adventar.org/calendars/3868) の2日目の記事です。
この先は業の深い地獄なので、覚悟のある方はどうぞ読み進めていってください。
センシティブな要素を含み、人によっては不快に感じる表現がある可能性があります。
そのような表現が苦手な方は読むのをご遠慮ください。
興味のある方ぜひ、昨年のアドカレで出した何らかの短編の1話もお読みください。
- [何らかの短編](https://hackmd.io/@QpcN7W4fSV-r6efweOCxpQ/BkY_oXIeE?type=view)
zuzuさんによる次の記事も読むと深みが増すかもしれません。
- [51代受肉勢の独断と偏見による関係性](https://hackmd.io/s/S1FUIqfxN)
注釈:ここから先は別位相の話であり、実在する人物、団体とはそんなに関係ありません。
あと今年は横書きフォーマット(Web小説風)にしたので横書きでも読みやすい、かも。
## 彼女が帰ってきた日
「なかさん見てこれ、ベトナムのお金」
クランクはベトナム旅行の話を楽しそうにしている。私がずっとクランクのベトナムツイートをどんな気持ちで見ていたか知らずに。
「ベトナム旅行なんてする人あんまりいないからさ、Twitterでツイートしたらもうみんな反応良くて」
彼女は、あまり表情を変えず、けれども仲が良いとわかるくらいには楽しそうな顔と口調で、ベトナム旅行の写真を次々と見せてくる。
「で、これがハノイ大教会。旧市街にあるんだけど、前にやってた死にゲーっぽい雰囲気ですげえ良かった」
私は相槌を打つことしかできない。
「そうそう、後輩におすすめされて……」
目的の画像を探すクランク。
「ほら、これ。これチェーって言う料理らしいんだけど、最初食べたところだとあんまり美味しくなかったんだよね。でも観光客向けのお店で食べたらめちゃくちゃ美味しくて、んむっ!?」
長い長いキス。思いをぶつけるように。少し荒々しく、けれども絶対に傷つけないように。
「んっ……」
クランクの頬に添えた手が震える。永遠にも感じられる時間クランクと私はくっついていた。
そして、お互いの呼吸のために少しだけ顔を離す。
一呼吸、ニ呼吸。無言のまま息が整うのを待つ。
「ずっと、ずっと会えなくて寂しかった」
「はぁはぁ……土産話くらい最後まで聞けって」
クランクは運動不足のせいか、まだ息が乱れていた。ちょっと前に買って、それからずっと続けている運動不足解消のためのゲームの成果を、まさかこんなところで自覚することになるなんて思ってなかった。少し面白い。私は少し笑って――
「ごめん」
「……ったく、お前はもう」
頬を紅々と染めたクランク。彼女は私のことを直視できなかったのか、ちらりとこちらを見たあとすぐに目をそらす。そんな仕草も可愛くて、思わず抱きついてしまう。ぎゅうっと。
抱きついてわかるこの華奢な身体が羨ましい。でも、それ以上に愛おしい。それに、ところどころ女の子らしい柔らかさがあって、私はそれにドキドキしてしまう。私だけだぞ。クランクの柔らかさを知っているのは。独占欲のせいか、少し変態的な思考にすら陥る。
このままでは危ない。そう思って深呼吸をする。胸いっぱいになるクランクの香りに、さっきまで変に高鳴っていた胸が、その速度を保ったまま別の高鳴りへと変わっていく。落ち着くのに、胸がドキドキする、そんな不思議な感覚。
「ベトナムで、食べた、チェーよりもさ」
クランクがささやいてくる。小声で、とぎれとぎれになりながら。
「お前との、その、チューのほうが、全然美味しかったわ」
温かい気持ち。熱い気持ち。一瞬で広がった欲望が、またクランクの唇を奪わせる。今度は唇の端の方から、味わうように。こぼさないように。クランクも美味しいね、なんて私が考えていることが、彼女によく伝わるように。
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