###### tags: `DX Innovation Challenge` # 背景とエビデンス 経済産業省が提案した主体性などをはじめとした社会人基礎力[[1]](#reference)の重要性は増してきている。この項では社会基礎力にまつわる現状と課題、それらに関する教育的な取り組みとその課題について紹介を行う。 ## 社会人基礎力について 社会人基礎力とは「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成された、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として経済産業省が2006年に提唱[[1]](#reference)[[2]](#reference)したものである。 - 「前に踏み出す力」 - 「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」とされ、「主体性」、「働きかけ力」、「実行力」などを主とした指示待ちにならず一人称で物事を捉え、自ら行動できるようになることが求められる。 - 「考え抜く力」 - 「疑問を持ち、考え抜く力」とされ、「課題発見力」、「計画力」、「創造力」などを主とした自ら課題提起し解決のためのシナリオを描く、自律的な思考力が求められる。 - 「チームで働く力」 - 「多様な人々ともに、目標に向けて協力する力」とされ、「発信力」、「傾聴力」、「柔軟性」、「情況把握力」、「規律性」、「ストレスコントロール力」などを主とした多様な人々とのつながりや協働を生み出す力が求められる。 ## 現状と課題 ### 社会人基礎力に関する緊急調査 [[3]](#reference) 平成18年に社会人基礎力に関する調査が行われている。調査結果の一部を引用する。 - 約9割の企業が、新卒社員の採用プロセスや入社後の人材育成において「社会人基礎力」を重視している。 - 若者は「チームで働く力」には自信があるが、「前に踏み出す力」には自信がないと感じており、大企業が求める人材像との間でギャップが見られる。 - 企業が求める人材像について、企業規模に関わらず、「主体性」、「実行力」、「創造力」が高い割合で求められている。 - 若者社員に、不足が見られる能力要素としては、企業規模に関わらず、「主体性」や「課題発見力」が指摘されている。 - 「働きかけ力」、「課題発見力」、「ストレスコントロール力」については、企業が求める能力と若手社員の能力との間に大きなギャップが生じている。 - 回答企業の約9割弱が、「社会人基礎力」をベースとした産学連携への取組に賛同している。 <!-- 除外 --> <!-- - 企業の「求める人材像」においては東証一部上場企業においては「前に踏み出す力」を、中堅・中小企業においては「チームで働く力」を重視する企業が多く見られる。 --> 調査結果からは「求める人材像との間でギャップが見られる」、「社会人基礎力をベースとした産学連携への取組に賛同している」といったことがわかる。 ### 「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(人材力研究会)報告書 [[4]](#reference) 平成30年には人材育成に関する報告書が作成されており、以下のようなことが述べられている。 - あらゆる環境下(どのような組織・企業等)においても、自らの能力を最大限発揮するための「社会人基礎力」(=いわゆる人材としての「OS」)を備える必要性が増大している。 - 我が国経済の価値創出の源泉である人材力を強化し、社会全体として人材の最適活用(人材流動性の向上)を実現していくことで、個人の自己実現と、企業の生産性向上や持続的成長を促していくことが重要である。 - より多くの人材が、中小企業や今の組織以外の社会で活躍できるよう、働き手に対して、キャリア・オーナーシップと、「社会人基礎力」を身につける機会を提供し、将来的な中核人材の母集団形成を促すことが重要である。 - IoT/アナリティクス、自動化・ロボティクス、サイバーセキュリティなどの高度な IT スキルは、各産業内の企業全体で、また業種横断的に取り組むことで効率的な人材育成が可能であり、産学官で連携して実践的な人材育成に向けたカリキュラム開発等を行うことが有効。 現在も社会人基礎力を磨くことが求められており、また磨くための産学連携を推進していることがわかる。 ### 「学生の実態と社会で求められる力のギャップ」[[5]](#reference) 平成22年にBenesse教育研究開発センターにて「社会で必要な能力と高校・大学時代の経験に関する調査」が行われ、大学機関において社会基礎力の教育は企業の期待とは差がある事が明らかになっている。以下一部を引用する。 >就職活動を経験した大学4年生に対する調査によると、大学生活を振り返って「社会で必要な力」が養われる機会があったと回答している割合は、どの能力・スキルについても低いスコアとなった。既にさまざまな大学では、就業力の向上を意識して社会で求められる力を自校で定義し、育成する取り組みが行われている。だが、調査を見る限り学生自身の手応え現段階では、「社会で必要な力」が養われたと学生は実感していないは小さく、その成果は期待通りとは言えないだろう。社会で求められる「問題解決力」「継続的な学習力」「主体性」「チームワーク力」などを、大学はどのように育成するのか。そのスキームを個々の教員の努力に委ねるのではなく、大学全体のものとして組み立て、更に学部系統ごとの特徴を踏まえて改編し、学生に明示する必要があるのではないだろうか。(Benesse教育研究開発センター 2011) - 調査の詳細  調査対象/大学生:就職活動を経験した大学4年生(4年制大学) 1,731人 図1. 大学の授業で次の能力・スキルが養われる機会があったか ![](https://i.imgur.com/3o7Xp5o.png) ## 教育的な取り組み 現在はアクティブラーニングとして文部科学省などが教育的な取り組み[[6]](#reference)[[7]](#reference)を推進している。ただしアクティブラーニングは抜本的な教育システムが変化することから生徒側でなく教員側、教育機関側からにも求められるスキルや教え方などに課題があるのが実状[[8]](#reference)である。 ## 課題 さらにもうひとつの問題点として話し合い主体での授業形式は評価の仕方が難しいということが挙げられる。現在は見える評価としてルーブリック評価[[9]](#reference)が存在しているものの、特に大規模な授業ではすべての生徒に対して常にコミュニケーションの様子を観察することが難しい。今回のアイデアは以上のものを解決しており、より正確な未来の教育のカタチとしてサポートしていくことが可能となる。 <a id="reference"></a> ## 参考文献 [1] 経済産業省, 社会人基礎力, https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html [2] 経済産業省, 社会人基礎力 説明資料(Power Point 形式) https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/kisoryoku_PR.pptx [3] 経済産業省, 社会人基礎力に関する緊急調査, http://www.ono-tera.com/sanko-shiryo_syakaijinkiso.pdf [4] 経済産業省, 「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(人材力研究会)報告書, https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180319001_1.pdf [5] Benesse教育研究開発センター,「学生の実態と社会で求められる力のギャップ」 https://berd.benesse.jp/up_images/magazine/021.pdf [6] 文部科学省, アクティブラーニングの推進, https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/09/24/1361110_2_5.pdf [7] 文部科学省, 教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1401806.htm [8] 溝上慎一, アクティブ・ラーニング導入の実践的課題, http://133.6.185.21/publications/journal/no7/16.pdf [9] 寺嶋浩介, 林朋美, ルーブリックの構築により自己評価を促す問題解決学習の開発, https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/54193/1/06_terashima.pdf