# エイリアンズ
僕は、ただそこに立ち尽くしていた。
海沿いのバイパス。ゆるいカーブを描く砂浜と山に挟まれる形で延々と車道が続き、コンビニひとつ見えやしない。強いて言えば、遠くに公営団地が集まっているのが見えるくらい。
こんなところをかれこれ数時間は歩き続け、草木も眠るような時間になってしまったところで、不意に足が止まっていた。古ぼけた街灯が一瞬チカチカと点滅する。
あいつはそろそろ、行く頃だろうか。
***
「月面ツアーの抽選に当たった」
大喜びであいつが報告してきたのは、ちょうど半年前。幼い頃から、それこそ文字通り幼稚園児の頃から宇宙に行ってみたいと夢を語り続けていたあいつに、突然飛び込んできた朗報だった。
政府が主導し、宇宙開発を行っている各民間企業から積極的に国民を宇宙旅行に連れ出すプロジェクト――もっとも、一回聞いただけではにわかに信じがたい怪しさに陰謀論や都市伝説も混ざって、巷では「エイリアンズ計画」なんてカッコつけた感じに揶揄されていたが――は、あいつにとって正に天からの贈り物だっただろう。数ヶ月に一度の募集に初回から毎回応募し、ついに当選したのだ。
あの時のあいつの嬉しそうな顔と言ったらなかった。長い付き合いだが、今までにあんな顔を見たことがあっただろうか。
「実は……ツアーから地球に帰ってくるのはすごく先になっちゃうんだ。だから、出発までの半年は一緒にいよう」
……知ってる。その返事を飲み込んで、もちろん、なんて当たり障りのないように返したことを思い出す。ついこの前のことみたいに。
僕たちはそれから、文字通りほとんど一緒にいた。たくさんの時間を過ごした。
昨日は、幼い頃から一緒に遊び回った海沿いのバイパスを歩きながら、色々な話をした。いつもなら早々にやってくる睡魔も鳴りを潜めてくれたから、僕らはとても長い間他愛もなく語り合った。今までのこと。これからのこと。ある一つを除いて、今、感じていること。
あいつはいつものように、楽しそうに笑いながら話した。僕がちょっとあいつを持ち上げてからかうと自虐的なジョークを挟んでくるところも、いつも通り。
だけど、僕がいつも通り上手く笑えていたかはわからない。せっかくの時間だったのに、別のことに思いを馳せてしまっていたから。この時間の何倍や何十倍、いや、何千倍何万倍という、あいつを待ち続ける長い時間を思っていたのだ。
僕が健気に待っていたとして――あいつが帰ってくる頃、あいつは僕の顔を覚えているのかどうかも怪しいだろう。帰ってきた後、あいつが僕の名前を呼べるかどうか分かったものじゃないだろう。
だけど、だからこそ、僕はあいつを送り出さなきゃならない。絶対に引き止めたりなんかしてはいけない。そう直感的に理解していた。
***
遠くの空に小さな光が見え、僕は我に返った。
カーブした道路の先には公営団地が建ち並び、その後ろには山々がある。そしてその遥か向こうで、巨大な<旅客機>が上昇していくのが見えた。エイリアンズ計画のスペースシャトルだ。
あいつを乗せて、月の裏側まで飛んでいく。
風が吹き、前髪が乱れた。それを合図に踵を返し、目元をこすりながら昨日と全く同じ道程を戻り始める。
全く。海辺で立ち尽くしたりするもんじゃない。
目に砂が入ってしまった。
# なにこれ
小説書いてみたくなったので真面目に書いた。
問題の「書きたいもの」に困ってしまったので、エイリアンズという個人的に結構好きな曲を延々とループして妄想を膨らませてみた。
創作って難し~~。でも地の文書くのおもしれえ~~~。
登場人物の性別も年齢も関係性も指定しないからいい感じに解釈しといてください。
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[KMNZ LITA版](https://www.youtube.com/watch?v=pKVv6NXGzr0)
[本家](https://www.youtube.com/watch?v=w05Q_aZKkFw)
本当は本家を埋め込みたかったんだけど埋め込みガードされてた。
# ちゃんとプロットはメモってから書きました
主人公いる 舞台は僻地の田舎
大事な人が宇宙ツアーに選ばれた
ずっと宇宙へ行くことを夢見ていた
帰ってこれるのは「かなり先」
永遠とも思える時間
だけど応援するために見送る
しかしながら複雑
最後の日、夜、寝付けずあるきながら他愛もない話をしていた
そうして相手は今日、旅立っていく
どうか元気でありますように。