###### tags: `research` # 進捗報告 2021/06/03 ## 研究テーマの概要 ### 研究目的 **eRNAの機能/機構の解明** eRNAの特徴を得て、eRNAにおける洞察を得る ### 研究手法 #### 考えている手法 <img src="https://i.imgur.com/iEQxCGl.png" width=70%> #### データ - Positive data 下記の6定義を満たすもの 1. オープンクロマチン領域 2. H3K27acピーク領域 3. H3K4me1ピーク領域 4. H3K4me3ピーク領域を含まない 5. p300との結合領域 6. 双方向転写物 - **Negative data**(検討の余地あり) K562 cell lineのエンハンサー(EnhancerAtlasに基づく)のうち、 eRNAが生成されない領域 →ポジと同数を、同じ配列長になるようにサンプリング ## 論文まとめ **[Diversity and Emerging Roles of Enhancer RNA in Regulation of Gene Expression and Cell Fate](https://doi.org/10.3389/fcell.2019.00377)**[P R Arnold et al., Front Cell Dev Biol., 2020] 要約 - eRNAができる過程 - eRNAの構造と機能の多様性 - ~~スーパーエンハンサーとは~~ - eRNAとエンハンサー間の相分離の関係性 - ~~活性エンハンサーのマーカーとしてのeRNA~~ ### eRNAができる過程 Fig1.  A. 転写因子がエンハンサーに結合→ヌクレオソームリモデリング→他の転写因子たちをリクルートする B. P300/CBPがH3K27acにする→オープンクロマチン化→BRD4,RNAP2などがリクルート C. RNAP2のCTDはSer5でリン酸化、WDR82とメチルトランスフェラーゼはリクルートされてRNA転写の補因子となる→5'capping D. BRD4と他のコファクターは伸長を促進→RNAP2のCTD上のSer2Pマークが増加しH3K4me1にする→TSSのすぐ下流にあるPASはWDR82によって認識される→ポリA化装置とintegratorが動員されて転写終了→RNAエクソソームがリクルートされてRNAは分解される ### eRNAの構造と機能の多様性 #### 構造 eRNAの構造 = (長鎖or短鎖) × (一方向性or双方向性) ×(スプライシング○or無)× (ポリA○or無) ex) 短鎖×双方向×無×無: 私の研究対象、発見当時のeRNA 長鎖×一方向×◯×◯: 安定的、より高いエンハンサー活性 - 方向性の複雑性 - 多くのエンハンサーは双方向にeRNAを産生するが、どちらかの方向性の産生が優勢 - ↑優勢に転写されたeRNAがそのeRNAに帰属する機能の大部分を持っている - single cellレベルではエンハンサーはほぼ独占的にどちらかの鎖から一方向に転写されていることが明らかになった ⇒転写優先度の勾配が存在している - 多様な二次構造 - tRNA,miRNA,snRNA,lncRNAに見られる多様な二次構造を持つ - 一部のeRNAは独自の機能を持つ異なるドメインを含んでいる #### 機能 ここで挙げられているeRNAの機能 1. エンハンサー-プロモーターループの安定化 2. クロマチンアクセシビリティの改変 3. Transcription Machinelyの制御 Fig2.  ←eRNAが核タンパク質と相互作用してこれらの機能を促進し、相分離を介してエンハンサー機能に貢献するというモデルが支持されている **1. エンハンサー-プロモーターループの安定化(Fig2a)** eRNAは、コヒーシン複合体のサブユニットであるRAD21およびSMC3(他メディエーターなど)と相互作用して、エンハンサー領域にリクルート→ループ化促進 - eRNAKDでループ構造が減少、標的のメディエーター占有率が低下 - eRNAKD/転写を防いでも、ループ構造が維持される研究もある **2. クロマチンアクセシビリティの改変(Fig2b)** eRNAは、P300/CBPと結合し、H3K27への親和性を促進することで、H3K27acを増加させる。また、eRNAは、EZH2サブユニットとグアニン四重鎖を結合することで、H3K27me複合体PRC2を阻害する。 - ほとんどのeRNAは遊離せずクロマチンに結合している - eRNAKDによりアクセシビリティが低下するため、オープンクロマチンの形成・維持の役割を果たす可能性 - 特にH3K27のアセチル化,メチル化の調節に影響がある - eRNAはH3K27acレベル↑ & H3K27me3レベル↓ - H3K27me3化する酵素PRC2とeRNAが結合することで、H3K27me3を阻害 - H3K27me3は転写抑制する→eRNAは活発な遺伝子転写を保護する - アセチルトランスフェラーぜをリクルート→H3K27acを促進 ⇒BRD4のリクルート・エンハンサーの活性化 **3. Transcription Machinelyの制御(Fig2c)** eRNAは、インテグレーター複合体によって、NELFや一時停止中のRNAP IIと密接に接触する。eRNAは、p-TEFbのCDK9サブユニットと相互作用し、NELFとRNAP IIのCTDのSer2をリン酸化し、転写因子のDNAへの親和性を高める。また、eRNAはBRD4のアセチル化ヒストンへの親和性を高める。 - 1,2に加えてeRNAは転写装置(転写因子、BRD4、RNAP2など)と相互作用する - BRD4のブロモドメインは、eRNAと直接相互作用する→アセチル化ヒストンに対するBRD4の親和性を上げて転写を促進 - 転写因子の結合とは無関係に、エンハンサー&プロモーター領域にRNAP2をリクルートできる ※NELF/DSIF: RNAPの短いRNAを転写後の伸長阻害因子 - リクルートされると、eRNAはNELFおよびP-TEFb複合体と相互作用してRNAP2の休止解除を調節し、エンハンサー&遺伝子の転写を促進 - eRNAとNELF-Eの結合は非特異的で、ループによってeRNAが転写装置に近接することで媒介される ←インテグレーターが関与している可能性 - インテグレーターは、近傍プロモーターでNELFおよびDSIFの一時停止機構と相互作用し、転写開始およびRNAP2の一時停止に影響を与えるとの報告 NELF evictionはmRNAの産生に直接関与するeRNAの機構で唯一実証されたメカニズムである! ### eRNAとエンハンサー間の相分離の関係性 最近の研究では、スーパーエンハンサーが液液相分離した生体分子凝縮体として存在することが示されている。 巨大転写因子複合体(MegaTrans複合体)によって活性化されたエンハンサー(MegaTransエンハンサー)も相分離を起こす。 eRNAは相分離とMegaTransエンハンサーの機能に必要である。このようなエンハンサーを相分離エンハンサー(PSE)と名付ける。スーパーエンハンサーとは限らない。 - 相分離を組織化するために必要な足場として貢献? - mRNAはm6Aが存在する時細胞質タンパク質を相分離させることができる - m6AはYTHDFタンパク質の結合プラットフォームとして機能し、そのIDRを配列して相分離を誘導する - eRNAもm6A修飾が濃縮されている - eRNAはMed1やBRD4などのタンパク質と相互作用→そのタンパク質のIDRは相分離によるスーパーエンハンサーを形成に関わる - MegaTrans複合体のタンパク質もIDRに富む →PSEにはIDRを持つタンパク質が濃縮されており、eRNAはそのIDRにあるRBDと相互作用することで、相分離を誘導するための足場となる可能性がある。 - 構造や機能に関与するクライアントメンバーとして貢献? - PSEの形成の寄与だけじゃなく、潜在的なクライアント? - 例)HPSEのeRNAは、hnRNPUとP300の両方と相互作用し、スーパーエンハンサーにリクルートする - RNAは多くの分子凝縮体の成熟に重要な役割を果たすことが知られているため、eRNAはPSEの成熟にも貢献する可能性がある - PSEにとって凝縮体の成熟は重要 ←急性に活性化したエンハンサーは相分離を破壊されやすい 慢性的に活性化したエンハンサーは耐性があり、ゲル状になっていた →eRNAは、リクルートされるタンパク質の組成、生物物理学的特性、PSEの安定性や成熟に影響を与える可能性がある Fig3.相分離構造のスーパーエンハンサー  eRNAとPSEの間には重要な関係があると考えられる。 ### まとめ - eRNAは遺伝子の転写と相関するが、独自の発現プロファイルを持つ - eRNAは構造、長さ、転写後修飾が不均一 - eRNAの作用機序はループ化、クロマチン修飾、転写装置の制御などが挙げられる - スーパーエンハンサーのようなPSEの存在から、eRNAが相分離の媒介者としての役割を果たす可能性が見えてきた - 今後、eRNAが相分離したエンハンサー(PSE)から転写されているのか、その場合そのeRNAが相分離に必要なのかどうかを調査する必要がある ### この論文から考えられること eRNAの特徴として考えていたRBP結合や二次構造、配列等は機能の違いによって特徴が分かれそう eRNA全体の特徴を捉えるならば、相分離のモデルを仮説として検証するのが良さそう
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