# ボタン 俺「これ、もらってくれねえか...」 目をそらしながら第二ボタンを渡す。 大好きだった同級生のひなみに。 あまり話したことはないけれど、ずっと憧れの存在でしかなかった彼女に。 俺は地元に残るし、ひなみは東京の大学に進学するだろうから、 好意を伝えたところでなんの意味もないんだけど。 ひなみ「いいよ、ありがとう。大切にするね」 意外な返事、でも恋人関係になれるなんてことはなくて。 俺の青春は儚くちった... -------6年後-------- 俺はいつものように工場から帰ってきたある日 ?「久しぶり、カイトくん」 忘れもしない片思いの相手、ひなみがそこに立っていた。 俺「え!?なんでここにいるの?」 ひなみ「忘れたの?第二ボタンの誓い」 あっ... 俺「今更失恋を掘り返すのはよしてくれないか...?」 ひなみ「何とぼけてるの?私たち付き合ってるでしょ」 え?どう言うことだ 俺「え、じゃあなんで4年間も連絡して来なかったの?そもそもひなみは東大にいって...」 ひなみ「それはナイショ。でも私はカイトくんを恋人だと思っているし、結婚する気でもいるよ?」 俺「え、ちょっと待って!」 なんて言いながらニヤけてしまう自分がいた。 工場で働いている6年間一度も彼女のことを忘れたことはないし、彼女以外の誰も好きにはなれなかったからだ。 俺「正直、未だに俺はひなみが好きだよ。だからひなみがそう思ってくれているのならちゃんと恋人になりたいと思ってる」 ひなみ「ありがとう、本当に嬉しい」 小悪魔のような笑顔が妖しい。ひなみは別に男好きでもないのだけれど。 ひなみ「好きな人に第二ボタンをあげるようになったのは、第二ボタンが一番心臓に最も近い場所にあるからなんだよ。だからカイトくんは私に心臓までくれるわけだ」 俺「何馬鹿なこと言ってんのさ。しかもまたボタンの話かよ、小っ恥ずかしいからやめてくれって...」 どうやらひなみも地元に戻ってきたらしい。 色んな思い出話を喋りながら二人で帰路を辿った。 -------1日後-------- いつも通り工場に向かうと、なんと制服姿をきたひなみがそこにいた。 俺「え!?なんでそこにいるの?」 ひなみ「私、カイトくんの部長になっちゃった...」 ひなみは東大卒で総合職採用だ。 だから、生産技術系に配属され、昇進していくと 俺らを統括する立場になることが可能だ。 にしても2年目で部長はすごすぎるだろ。 ひなみ「で、私はカイトくんをクビにすることにしたよ」 俺「え!?なんで」 難病の妹の治療のために高校から働いてきた話だってしたじゃないか? どうしてそんなにひどいことをするんだ!? 俺のことを好きだったんじゃないのか? じゃあなんで俺のことをクビにした? ひなみ「でも安心して、私が養ってあげるから。もちろん妹さんの治療費も私が出すわ。XX製作所の部長なんだから給与は2000万はあるし安心して」 流されるままに俺はひなみに渡された婚姻届にハンコを押すことになり、そのまま養われることになった。 -------結婚して3日後の深夜-------- 身体が重い。金縛りか...? ひなみ「違うよ、私だよ?」 目を開けると僕の体は拷問に使うような金具で拘束されていた。全裸で。 その様子をひなみは恍惚とした表情で眺めている。 そしてここはひなみと過ごしているいつもの部屋じゃない。檻の中だ。 俺「ど、どういうことなんだ!ひなみ」 ひなみ「心臓<第二ボタン>、くれるんでしょ?」 ひなみの体から無数の触手が伸びてきて私の体に張り付く。 状況の理解が追いつかなかった。いや追い付きたくなかった。 ずっと好きだった相手が実は人間を食うような怪物だったなんて。 こっちはこんなに愛情を注いだのに相手は食うつもりだったなんて!! ひなみ「違うよ、本当に好きだよ。ずっと、ずっと前から好きだった。だからあなたと一つになりたかったの。あなたを殺す気もないわ」 ひなみ「忘れもしない、小学生たちに虐められていたときにあなたは身を挺して庇ってくれた。気持ち悪い百足の姿だった私を」 そういえば昔、ガキ大将がいじめていたムカデを助けたことがある。人間に毒があるからって積極的に殺しに行くことないじゃんって思って。 ひなみ「その時からカイトくんのことが気になり出して、ずっとずっとカイトくんのことを見てきたの。だからカイトくんの好きそうな容姿・性格・振る舞いの女になり切ることができたの」 それだけ恩を抱いてくれていて、恋愛的に見てくれていることは分かったとしよう、じゃあ 俺「どうして心臓を食うんだよ!」 ひなみ「私だけのものにしたかったの」 ひなみ「そのために東大に入ってあなたの勤める会社にコネを回して、人を殺して、なんとかあなたを操作できる立場に立った。あなたを籠の中に閉じ込めれるようにした」 ひなみ「私ね、あなたを取り込むことができるの」 ひなみ「あなたの体を取り込むと、あなたの意識は私の体内で生きるの。そうしたら完全に二人きりになれるでしょ? 会社の同じ部署にいたって、独り占めにはできないじゃない? 同居していたって、あなたが下界の女と関われる限り完全には独り占めできないじゃない?でも、あなたを取り込めば完全に二人だけの世界に行けるのよ 」 ひなみ「それに心臓<第二ボタン>をくれるって言ったのはカイトくんじゃない。」 ひなみ「私、感動したの。カイトくんも私と二人になりたいって思ってくれてるんだって。一瞬の気の迷いかもしれないけど」 触手が体を貫通して心臓を取り囲むような感触がする。 ひなみ「だからね、二人だけの世界に行こう...」 そうして僕の肉体は血しぶきをあげた。