# サンスクリット語 *k* と *kh* の中国語転写 :::info :pencil2: 編注 以下の論文の和訳である。 - Pulleyblank, Edwin G. (1965). The transcription of Sanskrit k and kh in Chinese. *Asia Major* 11(2): 199–210. 原文にはセクション見出し・表見出しがないが、追加した。誤植と思しきものは、特にコメントを付加せずに修正した。また、引用された単語の形について、以下の修正を加えた。 - Pulleyblankによる中古漢語の再構形や音素は太字で表記する。なお本論文(原文)で使われている表記はPulleyblank(1962)に基づくと思われるが、**ɑ** が **â** に変更されている。 - Karlgrenによる中古漢語の再構形では、有気音の記号「‘」を「ʰ」に置き換える。 - Pulleyblank/Karlgrenによる中古漢語の再構形では、平声を「*¹*」、上声を「*²*」、去声を「*³*」で表記する。原文では平声は無表記、上声と去声は「ˊ」「ˋ」で表記されている。 - 北京語の表記は漢語拼音に改める。 ::: --- ## 1. 序論 Csongor(1952)が唐代のウイグル文字による中国語の研究で行った興味深い観察のひとつに、中古漢語(唐代)の喉音(閉鎖音と摩擦音)の頭子音は全て、後舌母音の前ではḥēth(*x*)、前舌母音の前ではkāph(*k*)で表されるというものがある。これはウイグル語の固有語を書くときの用法(前舌母音にはkāph、後舌母音にはḥēthが使われる)と同じだが、サンスクリット語の注釈を書くときの用法(隣接する母音に関係なくどこでもkāphが使われる)とは対照的である。さらに彼は、宋・元代の中国語の単語の後世のウイグル語の表記は、サンスクリット語の注釈のように、いたるところにkāphが使われていることを指摘している。 CsongorはこれをKarlgrenのヨード化頭子音と非ヨード化頭子音の対立に自然に関連づけた。この対応は完全ではない。なぜなら、「純四等」の韻(例えば先韻 **-en** = K. *-ien*)は『切韻』では非ヨード化頭子音のグループに含まれるが、ウイグル文字では口蓋化頭子音を持つ三等に分類されなければならないからである。しかし、これが『切韻』よりも後の発展であることは容易に説明できる。『切韻』が編纂された当時、純四等韻は既に、三等と四等が混在する韻(例えば仙韻 **-i̯en**/**-yen** = K. *-i̯än*)の四等韻 ==(すなわち「三等A類」「重紐四等」)== と混同される傾向にあったことが分かっている。陸法言による『切韻』の序文では、先韻 **-en** と仙韻 **-i̯en**/**-yen** の対立が特別に言及されているが、それは間違いなく、この対立が特別な困難を引き起こし、唐代初期の詩人にとって厄介なものであったからであろう(Zhao 1958: II 12)。慧琳による音注に代表されるように、唐代中期には純四等と重紐四等は完全に合流した。 Csongorは1962年の短い論文でこの問題に再び触れ、ブラーフミー文字によるウイグル語文献が中国語の喉音を同様の方法で表記していることを示した。すなわち、中国語の三等と四等の *k* には *k* があり、一等と二等の *k* には *q* がある。ブラーフミー文字における二重子音 *kka* は、(H. W. Baileyが教えてくれたように)中央アジアのサンスクリット語やトカラ語でも使われているので、Csongorが提案するように厳密には新しい記号ではなかったが、テュルク語では、後部軟口蓋音 *q* を表現するために特別に用いられた。Csongorは、唐代の中国語にはそれぞれに対応する2種類の喉音の頭子音があったに違いないと結論づけた。テュルク語から中国語への転写を見ると、==*q* を一等音節で転写する== 可汗 **khâ²-ɦân¹** = *qaɣan* や 達干 **dât-kân¹** = *tarqan* に対して、==*k* を三等音節で転写する== 尉都犍 **ꞏi̯uət-tou¹-ki̯ân¹** = *ötükän* や 闕 **ki̯uât** = *kül* がある。キルギス(*Qyrqyz*)の名の初期と後期の転写は興味深い。『周書』や『水書』には 契骨 **khet-kuət** とあり、初期の唐に関する書物には 結骨 **ket-kuet** とある。しかし、9世紀にキルギスが著名になると、新しい転写として 戛戛斯 **kaət-kaət-si̯e¹** や 黠戛斯 **ɦaət-kaət-si̯e¹** が採用されている。これは間違いなく、その頃には『切韻』時代の純四等韻の 結 **ket** や 契 **khet** が ==重紐四等韻と合流して== **kyet**, **khyet** になっており、もはやその頭子音がテュルク語の後部軟口蓋音 *q* を表すのに適当でなくなったからである。 Csongorの見解の重要性を否定することはできない。趙元任(Chao 1941)は、Karlgrenの「ヨード化」頭子音は切韻体系において弁別的音素として扱う必要がないことを、非常に説得力のある形で示した。とはいえ、見母 **k-**, 溪母 **kh-**, 曉母 **h-** (疑母 **ŋ-** については証拠が不足しているようだ)には、Karlgrenの *-i̯-* に類するさまざまな半母音の前では、著しく異なる、より口蓋化した異音があったことは明らかなようである。このことは、中古漢語の音韻論における他の多くの現象を説明するのに役立つ。 まず第一に、これは上古漢語の有声軟口蓋閉鎖音 \*g- (K. \*gʰ-) が中古漢語において一等・二等・純四等韻の前では匣母 **ɦ-** (K. *ɣ-*) となったが、**-i̯-** ==(三等韻)== の前では群母 **g-** (K. *gʰj-*) となったという展開をより理解しやすくする。これはまさにテュルク語の状況と同じで、この言語には前方および後方の軟口蓋無声閉鎖音(*k*, *q*)があるが、対応する有声音は前方の閉鎖音(*g*)と後方の摩擦音(*ɣ*)のペアである。==:bulb: 本論文より以前に、陸志韋は見組非三等が口蓋垂音であったことを指摘している(Lu 1947: 10)。== ## 2. 切韻体系における「迦」と「佉」 また、不思議なことにこれまで注目されてこなかった、プラークリットやサンスクリットの中国語転写に見られる顕著な特徴として、インド諸語の軟口蓋音を表す場合に「ヨード化」音節が非常に多く使われることも説明できるだろう。このことは、非常に一般的な音節である *ka*, *kā*, *kha*, *khā* の転写に印象的に現れている。よく知られているように、普通の中国語では決して見られない、このためだけに使われる 迦 **ki̯â¹** と 佉 **khi̯â¹** という2つの特別な文字がある。これらの文字が中国語にはない音を表現するために考案されたことは明らかである。==:bulb: 『王韻』で歌3韻 **-i̯â** の開口として収録されているのは 迦 **ki̯â¹**, 佉 **khi̯â¹**, 㰦 **khi̯â¹**, 伽 **gi̯â¹** だけである。== これ以外の音については、ごく普通の文字が、その意味から切り離されて音を表すためだけに使われているという事実は、これらの音を表す適切な転写文字がなかったことを示している。 *kā̆*, *khā̆* の特殊文字は、外国語の母音の音色という観点からは説明できない。このことは、サンスクリット語の短母音と長母音の *a* は長さだけでなく音色も著しく異なっている(短い *a* はより中段的な \[ʌ]、長い *ā* はより広いものだった)にもかかわらず、問題の文字が短母音と長母音の両方に区別なく使われていたことからもわかる。これは、短母音と長母音を声調で厳密に区別している(長母音は平声、短母音は仄声)隋唐代の陀羅尼文献にも当てはまる。例えば、闍那崛多の『法華経』陀羅尼(T.1337)では、夜 **ya³** = *ya* に対して 邪 **ya¹** = *yā* が見られる。同じ文献では、⟨迦⟩ が *ka* と *kā* の両方に用いられるが、前者には「上」と注記される。これはもっと多くの例で説明できるが、原理はよく知られているので、これ以上説明する必要はないだろう。 さらに、サンスクリット語のその他の頭子音の後の *a*, *ā* を表すことにも困難はなかった。一般的には、『切韻』の歌1韻 **-â** (『広韻』では分離された合口の戈韻 **-uâ** を含む)の単語が使用された。例えば、阿 **ꞏâ¹** = *a*, 羅 **lâ¹** = *la*, *ra*, 磨 **mâ¹** = *ma*, 和 **ɦwâ¹** = *va* などが見られる。この韻の中に適切な頭子音を持つ単語が存在しない場合は、代わりに麻韻 **-(i̯)a** が使われた。例えば、余 **śi̯a¹** = *śa*, 沙 **ṣa¹** = *ṣa*, 荼 **ḍa¹** = *da* など。これらの韻には、頭子音に **k-** や **kh-** を持つ単語がたくさんあった。それらが通常使われなかったという事実は、これらの韻における中国語の **k-**, **kh-** はインド諸語の音を表すのにふさわしくないと思われるほど後退しており音響的にも暗かったと推測すれば説明できる。 迦 と 佉 の正しい中古漢語の読み方について言っておかなければならないことがある。これらは、原則として前漢のテキストに登場する単語に限定されている『*Grammata Serica*』 ==(Karlgren 1940; 1957)== には当然収録されていない。『*Analytic Dictionary*』は 迦 の読みを *ka¹* としているが、佉 の読みは *kʰi̯a¹*、伽 の読みは *gʰi̯a¹* としている ==(Karlgren 1923: 122 #342, 163 #491)==。後者の2つの読みが何を根拠にしているのかはまったく不明である。この読みは麻韻 **-(i̯)a** に属することを意味するが、実際にはこの3つの単語はすべて『切韻』では歌1韻 **-â** の末尾にまとめて収録されている。Karlgrenの読みは、この韻には通常三等の単語が含まれないという恣意的な仮定に基づいているようである。趙元任(Chao 1941)はKarlgrenの読みを、この韻で必要とされる *-i̯â¹* に暗黙的に修正したが、これは *a* (より口蓋的とみなされる)とは対照的に *â* はヨード介音の後に出現しないというKarlgrenの一般原則に反するため、彼がこれを受け入れたかどうかは定かではない。 もし、このような転写文字だけが問題であれば、中国語の音韻論から見ればたいした問題ではないと考えるかもしれないが、実際には同じ韻目に入る単語がいくつかある。主なものは、茄 **gi̯â¹**, 北京語 *jiā* 「ナス」、靴鞾 **hi̯wâ¹** (『*Analytic Dictionary*』 ==p. 60 #93== は *χi̯wa¹* と読む), 北京語 *xuē* 「ブーツ」である。李榮(Li 1952: 135)は、歌韻 **-(i̯)â** と麻韻 **-(i̯)a** を厳密に区別する梁の簡文帝(550–551)の詩 ==『西齋行馬詩』== で、靴 が麻韻ではなく歌韻として韻を踏んでいることを示している。他方、北京語の読みやその他の現代方言の発音を見れば、これらが三等の単語であることは明らかである。たとえ単語の数が少なくても、中古漢語に **-i̯â** という韻を設定しないわけにはいかない。このカテゴリーには見母 **k-** や溪母 **kh-** の通常の単語はなかったが、茄 **gi̯â¹** や 靴鞾 **hi̯wâ¹** の存在に基づいてそのような音節を類推的に構成し、またそれを表す文字を作ることが可能になった。 現代北京語では、迦 は慣例的に *jiā* と読まれているが、これは『*Analytic Dictionary*』にもあるように中古漢語の **ka¹** を意味する。実際、『広韻』では **ki̯â¹** に代わる読み方としてこの読みが記載されており、Karlgrenがそのような読み方をしたのも間違いなくこのためである。とはいえ、**ki̯â¹** が正しいことは疑いようがなく、他の発音が生まれたのは、その言語の生きた単語から真の読み方を支持するものがなかったからにほかならない。同様に、佉 **khi̯â¹** は現在では声符 去 の発音から類推して *qū* と読まれる。一方 伽 **gi̯â¹** は、同音異義語である「茄子」が存在したため、期待される通りの真の発音 *qié* が維持されている。 一旦この問題を調べ始めると、*-a* 以外の音節でも、通常サンスクリットやプラークリットの *k* や *kh* を表すのには同様に三等の単語が使われており、それは初期の頃から唐代に至るまでそうであったということがわかる。例えば、*kat-* や *kar-* に 羯 **ki̯ât** (K. *ki̯ɐt*)、*ku* に 鳩 **ki̯u¹** (K. *ki̯ə̯u¹*), 倶 **ki̯ou¹** (K. *ki̯u¹*), 矩 **ki̯ou²**、*kau* に 僑 **ki̯eu¹** (K. *ki̯äu¹*) など、数え切れないほどの事例がある。時折、**ku¹** (K. *kə̯u¹*) とも **ki̯ou¹** (K. *ki̯u¹*) とも読む 拘 のような曖昧な状況もあるが、一般的なパターンは非常に明確であるため、選択肢を選ぶことに困難はない。 むしろ、インド諸語の *k* と *kh* を表すのに非三等音節が使われる例外的ケースこそ、最も興味深く、説明が必要なのである。 ## 3. 純四等の口蓋化による転写の例外 そのような例外のひとつは、まさにCsongorの観察に合致するもので、隋唐の初めごろから、純四等の単語が *ke*, *khe* の表記に使われるようになったことである。私の観察によれば、純四等の単語は、初期の転写では極めて稀であるが、唐の初めごろには一般的になった。6世紀初頭の闍那崛多(T.264; T1337)と玄奘(『玄應音義』巻6)の『法華経』陀羅尼に、用法の変化の良い例が見られる。例えば、*ukke mukke* の *ke* には 雞 **kei¹** (K. *kiei¹*) が使われているが、鳩摩羅什による以前のバージョン(T.262)では、同じところで 枳 **kye¹** (K. *kjie̯¹*) が使われている。このように、中国語において音韻の変化が起きている証拠を見ることができる。これは、まったく別の根拠からすでに推測されたことである。 ## 4. 二等・重紐三等によるそり舌音の転写 まれに、音節 *kā̆* を表すのに二等の単語が使われることがあるが、これは非常に興味深い。加 **ka¹** が単に ⟨迦⟩ の訛字であることが明らかないくつかのケースを除けば、これが見られるのは、私の知る限り次の子音が *ṣ* または *kṣ* の場合だけである。例えば、दन्तकाष्ठ *dantakāṣṭha* には 憚哆家瑟詫 **dân³-tâ¹-ka¹-ṣi̯it-ṭha¹** (義浄『南海寄歸内法傳』巻1, T.2125: 208c04–05)や 那哆家瑟哆 **nâ²-tâ³-ka¹-ṣi̯it-tâ¹** (『梵語雜名』48a, Bagchi 1929: 95)が見られる。最古の時代から見られる非常に馴染み深い例として、僧侶の衣である काषाय *kāṣāya* ==:bulb: ガンダーラ語 𐨐𐨮𐨩 *kaṣaya* \[kəʐaːjə]== を 袈裟 **ka¹-ṣa¹** と表記するのが一般的である。ここにも、他の文脈では見られない文字があるが、この場合、意符「衣」は単に冗長的記号として、特別な発音を意味することなく両文字に付加されていることは明らかであろう。袈 は『広韻』において 加 と同音とされており、私の知る限りそれ以外の読み方はされない。私が見つけた3つ目の例は、僧伽婆羅(SanghabharaまたはSanghavarman?)が翻訳した『孔雀王呪經』(T.984, Levy 1915)にある 倚哿覺叉 **ꞏye¹-kâ²-kauk-tṣha¹** = *Ekakakṣe* である(最初の *ka* の音節の不規則性については後述)。 もしKarlgrenの言うように一等と二等の区別が「*â*-grave」と「*a*-aigu」という母音によるものであるならば、二等音節とそり舌音との関連性は非常に不可解であり、*ṣ* の前に前舌母音を入れるのはまったく不適切である。しかし、Jaxontovと私自身による最近の発見によって、このジレンマから抜け出す道が開かれた。Jaxontov(1960)は、中古漢語の二等は、頭子音クラスターにおける \*-l- の消失と関連している可能性があると主張した。私は独自に同じ結論に達したが(Puileyblank 1962)、以下のような修正を加える必要がある。 1. 失われた子音が \*l ではなく \*r であることは、比較の結果すぐに明らかになった(\*r は語頭位置で維持される場合、中古漢語の來母 **l-** となり、シナ・チベット祖語 \*l はそれ以外の反射を示す)。このことは、そり舌音の破擦音と摩擦音(莊母 **tṣ-**, 初母 **tṣh-**, 崇母 **dẓ-**, 生母 **ṣ-**, 俟母 **ẓ-** (稀))が韻図において二等のみに見られることと一致する。 2. Jaxontovは、京 **ki̯aŋ¹** ~ 涼 **li̯âŋ¹** のような諧声関係を説明するために、**-i̯-** の前に介音 \*-l- (すなわち \*-r-)が存在しうると仮定した。しかし、彼はこれを音節の韻部分の反射とは関連付けなかった。私は1962年に、少なくとも特定の韻には影響することを主張した。しかし、頭子音+流音クラスターを持つ単語には2種類のタイプがあるという本質的な点では一致しており、一方は \*CRV-、もう一方は \*CRI̯V- と書くことができる。ここで、C は子音、R は流音、I̯ はヨード、V は母音を表す。 3. 1963年、私は主に \*-r- と \*-y- を伴う韻の構造的類似性から、この2種のタイプを主母音の前後に共鳴音を再構することで再解釈することを提案した。すなわち \*CVR- と \*CRV- となり、ここで R の定義は \*y (そしておそらく \*w)を含むように拡張された。私は漢代の転写からいくつかの直接的な裏付けとなる証拠を提示することができた。また、上古漢語から中古漢語への二等韻の音韻的発展をどのように説明できるかを暫定的に提案することができた。しかしそれでもなお、『切韻』時代の二等母音の実際の音価に関してKarlgrenの解釈から本質的に逸脱することはなかった。 現在持ち出されている証拠(および後述するさらなる証拠)は、『切韻』の時代にも二等がそり舌音と関連していたことを示しているが、これはとても保守的であることを示している。明らかに、頭子音そのものがそり舌音である場合だけでなく、すべての頭子音において二等は前進ではなくそり舌音によって特徴づけられていた。*ā* (\[æ] または \[ɛ])の代わりに、(IPAの原則に従って) *aɹ* あるいは *ar* と書くこともできる。言い換えれば、我々が上古漢語で再構した子音 \*r は、実は切韻体系でもまったく失われていなかったのである。これは個別の子音要素ではなくなったが、母音に溶け込む形で広まった。歯擦音の頭子音の場合には頭子音にも広がり、\*sar- は *ṣaɹ-* となった(\*srə- > *ṣɹə-* もある)。同じようなことが、歯茎閉鎖音でもよりゆっくりと起こった。『切韻』の反切(『広韻』とは異なる)やその他の唐代初期の反切では、そり舌音の知母 **ṭ-** は歯音の端母 **t-** とはっきり区別されないが、唐中期にはこの変化は完了した。 中古漢語の生母 **ṣ-** と莊母 **tṣ-** の場合、話はもう少し複雑である。別のところで示したように(1962: 128ff.)、これらは上古漢語に二種類の起源を持つ可能性が高い。これらは部分的に、音節中の \*-r- ではなく、私が暫定的に \*sŋh-, \*skh- と再構築した頭子音クラスターを反射している。私は今では、\*ks-, \*khs- の方がより良い再構なのではないかと考えている(殺 **ṣaət** 「殺す」, Tib. གསོད་པ་ *gsod-pa* 参照)。上古漢語形がどのようなものであれ、クラスターから生じるそり舌音の頭子音によって後続母音にそり舌音化が生じ、*ṣaɹ-* < \*ksa- が *ṣaɹ-* < \*sar- と合流したと考えなければならない。 もしこれが中古漢語の二等の単語における真の姿を表しているとすれば、*kā(ṣ)* を表すために **ka¹** (= *kaɹ*) が使われる理由は容易に理解できる。明らかに、そり舌音の後では暗い音色が非常に顕著であったため、それを表現するために中国人は、後部軟口蓋音の *k-* の使用を意味することにはなるが、通常インド諸語の子音に適切とされる前舌 **k(i̯)-** ではなく、そり舌化母音を好んだのである。慧琳が *kāṣāya* の「正しい」形として 迦羅沙曳 **ki̯â¹-lâ¹-ṣa¹-yei³** (T.2128: 339c)を挙げているのは非常に興味深い ==:bulb: この場所にこのような記述はない。実際に『慧琳音義』で挙げられているのは 迦邏沙曳 **ki̯â¹-lâ³-ṣa¹-yei³** (T.2128: 439c03)である== 。これはサンスクリット語 *ka* の通常の綴りの後に **-lâ¹-** が挿入されているが、これは二等の転写文字によって表現されていた *-ṣ-* の前の音節のそり舌音化を置き換えるものとする以外に正当な理由はない。このようなそり舌音の予期は *-ṣ-* の前でのみ起こり、時には *-kṣ-* の前でも起こる。*ṣ* は他のそり舌子音よりもそり舌音化の広がりが大きかったようだ。 --- 日本の学者である水谷真成は最近(1960)、まったく独自に、二等(および重紐三等も)とサンスクリット語のそり舌音の表現との関連を示した[^1]。彼はこの目的のために、『法華経』陀羅尼の4つの版、2つは闍那崛多によるもの(6世紀末)、1つは玄奘によるもの(7世紀初頭)、1つは不空金剛によるもの(8世紀半ば)を用いている。もちろん、このような資料において、サンスクリット語の音を中国語でできるだけ正確に表現しようとする試みが行われていることに疑いの余地はない。多くの場合、正しい発音を保証するために、特別な反切が与えられている。水谷は、サンスクリット語のそり舌子音に母音 *a*, *e*, *i* が続く音節をすべて集めて分析した。文字そのものも、それを綴るために使われる反切も、二等や重紐三等の単語が圧倒的に多いことが非常に印象的である。彼の議論のすべてをここで繰り返す必要はないが、特に闍那崛多による転写を参照しながら、ある顕著な特徴についてコメントしたい。 もちろん、対応する頭子音が二等にしかない場合には、二等の単語が使われるのは驚くべきことではない。例えば 沙 **ṣa¹**, 荼 **ḍa¹** などは、西暦2世紀以来の一般的な転写文字である。さらに重要なのは、既存の中国語の単語では正確に表せない発音を示すために使われた、特殊な反切である。これは特に母音 *e* で顕著である。すでに見たように、この時代、非そり舌音の頭子音の後の *e* を表す通常の方法は、齊韻 **-ei** (K. *-iei*) であった。例えば、雞 **kei¹** = *ke*, 羝 **tei¹** = *te*, 泥 **nei¹** = *ne*, 迷 **mei¹** = *me*, 黎 **lei¹** = *le*, 鞞鼙 **bei¹** = *ve*, 西 **sei¹** = *se*, 醯 **hei¹** = *he* など。そり舌音の頭子音はこの韻には無いため、代わりに二等の皆韻 **-aəi** (K. *-ăi*) が用いられる。例えば、𪘨 **ṭaəi¹** = *ṭe* が見られる。これは珍しい文字だが、『切韻』に収録されている。特別な反切 都皆 **tou¹-kaəi¹** が注記されていることもある。\***ḍaəi¹** や \***ṇaei¹** という音節は存在しなかったので[^2]、*ḍe* や *ṇe* を表すには特別な工夫が必要だった。場合によっては、*ḍe* は特別な反切 徒皆 **dou¹-kaəi¹** を伴って 第 **dei³** と書かれる。そり舌音化が通常は歯茎音となるであろう頭子音によってではなく、韻によって示されていることは非常に重要である。このことは、歯茎閉鎖音とそり舌閉鎖音との区別が、『切韻』の時代にはまだ完全に音韻化されていなかったことを示す他の証拠と一致する。別の *ḍe* の転写に、同様の特別な反切を伴う 荼 (通常は **ḍa¹** と読まれる)がある。音節 *ṇe* は、\***ṇaəi¹** を意味する特別な反切 奴皆 **nou¹-kaəi¹** を伴って 嬭 **ṇae¹** (佳韻)と書かれる。*ṭe* には 眥 という珍しい文字もあり、『切韻』では **dzei³** と読まれている。しかし、これには \***ṭaəi** という読みを示す 都皆 **tou¹-kaəi¹** という 𪘨 の場合と同じ反切が付加されているため、ここでは単に 𪘨 の別の書き方なのだろう。 *kṣ-* の綴りは非常に興味深い。*kṣa-* の場合、叉 **tṣha¹** or **tṣhae¹** が最も一般的である。これは、初期の転写に由来する慣例に従っている。一般に、これは単なる音の置き換えだと思われていると思うが、初期の段階でこの目的のために採用された音節のほとんどが、私が上古漢語に \*khs- を再構したい音節であることは注目に値する。つまり、これらの文字が属する諧声系列には、生母 **ṣ-**, 初母 **tṣh-**、時には 曉母 **h-**, 心母 **s-**, 疑母 **ŋ-** があり、ごくまれに 莊母 **tṣ-**, 崇母 **dẓ-** がある。例えば、初期の転写には以下の例がある。 :spiral_note_pad: **表1: \*khs- の再構を示唆する初母の転写文字** | 初母の転写文字 | 転写音価 | 諧声系列内の他の頭子音 | | :--------------------------- | :--------------- | :----------------------------------- | | 剎 **tṣhaət** | *kṣet-*, *kṣat-* | 殺 **ṣaət**, 摋 **sât** | | 羼 **tshan³** or **tṣhaən³** | *kṣān(ti)* | 羴 **haən¹**, 鮮 **si̯en¹** | | 閦 **tṣhi̯uk** (< \*-p) | *-kṣo(bhya)* | 众 **ŋi̯im¹**, 𩂢 **ŋaəi¹**, **ŋi̯im¹** | 叉 **tṣha¹**, **tṣhae¹** の系列の例は少なく、同じ頭子音を持つものを除けば、『広韻』には 扠 **thae¹** しかない。 このことは、2~3世紀(そしておそらくそれ以降)の中国語では、このような単語は **tṣh-** ではなく \*khs-* や \*khṣ- を持っていた可能性を示唆している。これらは『切韻』の時代までに **tṣh-** < \*tshr-, \*tsh-r- と統合されたに違いない。興味深いのは、あるケースで闍那崛多が、*kṣa(ni)* に使われる 刹 **tṣhaət** に特別な反切、すなわち \***kṣhaət** を意味すると思われる 駈察 **khi̯ou¹-tṣhaət** を与えていることである。 *kṣi*, *kṣī* (*kṣe* は資料に登場しない)については、闍那崛多は溪母 **kh-** の音節を用いるが、それは常に重紐三等である。例えば、*kṣi* には 器 **khi̯i³** と 綺 **khi̯e³**、*kṣī* には 攲 **khi̯e¹** が見られる。*kṣaye*, *akṣaye*, *mantrākṣayate* の *kṣa(y)* には特別な反切 欹債 **khi̯e¹-tṣae¹** を伴う 憩 **khi̯ai³** があることにも注意されたい。これは、このような場合の三等音節にもそり舌音の半母音があったことを示すもので、二等音節と同様に、この音節グループが上古漢語の \*-r- を反射しているという見解を裏付けるものであり、非常に興味深い。ここでもまた、他のそり舌音の頭子音の後で **-i̯-** を示す特別な反切を確認することができる。 :spiral_note_pad: **表2: そり舌音を表す重紐三等の転写文字** | 重紐三等の転写文字 | 特別な反切 | 転写音価 | | :----------------- | :----------------- | :--------------------------- | | 稚 **ḍi̯i³** | 徒寄 **dou¹-ki̯e³** | *ḍi* | | 腻 **ni̯i³** | 奴寄 **nou¹-ki̯e³** | *ṇi* | | 致 **ti̯i³** | 都寄 **tou¹-ki̯e³** | *t(y)* (= *ṭ(y)*) in *nṛtye* | これは、Pulleyblank(1962: 111–112)で示した、『切韻』におけるそり舌音の頭子音を持つ単語の反切に関する証拠と一致する。 T.1337における 叉 = *kṣa* に与えられた特別な反切 楚我 **tṣhi̯o²-nâ²** は、一等韻を伴うそり舌音の頭子音を与えるので、変則的である。これは *ḍe*, *ṭe* などの綴りにおいて歯茎音の頭子音とそり舌音化韻の組み合わせが観察されたこととは逆のことである。この時期には、そり舌歯擦音・破擦音の頭子音は完全に音韻化されていたが、そり舌閉鎖音は音韻化されていなかったという見解を裏付けるものと思われる。中国語のそり舌音の初母 **tṣh-** はそれ自体で *kṣa* のそり舌音化を表すのに十分であったが、*ṭe* と *ḍe* では韻によってしかそれを表すことができなかったのである。 本稿では、後に中国の音韻学者によって二等と三等として分析されるようになったものに存在する弁別的特徴の性質について得られた新たな洞察に照らして、中古漢語の再構を見直すという問題をこれ以上追求するつもりはない。私は、上古漢語におけるこれらの弁別的特徴の起源について、すでに提案されていることと驚くほど一致していることに注意を喚起したいだけである。また、共鳴音は主母音の前だけでなく、その後にも起こりうるという説を裏付ける可能性があることも興味深い。 --- 水谷の、二等・三等とサンスクリット語のそり舌音の表現との関係を指摘する鋭敏さは認めたいが、彼の結論すべてに同意することはできない。彼は、佳韻 **-ae** (K. *-ai*) をサンスクリット語 \[aɹ] の通常の対応とみなし、麻韻 **-(i̯)a** を非そり舌音とみなしている。私が見る限り、この区別は彼の証拠によって全く支持されていない。麻韻はそり舌音節を表すのに佳韻などと同じかそれ以上の頻度で使われている。 ## 5. 方言音による例外 最後に、サンスクリット語の *k* と *kh* を表現する際に、通常のパターンから完全に逸脱した書き手がいたことに注意しなければならない。僧伽婆羅による『孔雀王呪經』(Levy 1915)では、この目的のために一等の単語が通常使われている。翻訳者が直接転写したのではなく明らかに先人から確立された形を引き継いでいる *Kapilavastu*, *Kalinga*, *Kausalya* などのよく知られた名前を除いて、三等の単語は *ki*, *khi* などにのみ見られる。 これが方言的現象であることは明らかだろう。僧伽婆羅は西暦460年生まれのフナン(カンボジア)出身で、中国に渡り、南朝の都・南京に住んだ。彼は506年から520年まで南梁の下で働いた。6世紀半ばにフナンを経由して中国南部に渡ったウッジャイニー出身のインド人である真諦が翻訳した『部執異論』(T.2033)にも同様の特徴が見られるのは重要なことである。例えば、阿輸柯 **ꞏâ¹-śi̯ok-kâ¹** = *Aśoka* を初めとして、他にも同じように *ka* を表す例がたくさんある。高倶胝柯 **kâu¹-ki̯ou¹-ṭi̯i¹-kâ¹** = *Kaukkuṭikāḥ* では、*kau* と *kāḥ* は一等音節だが、*ku* には三等の単語が用いられている。漢と唐の間に使われたさまざまな転写体系を徹底的に調べれば、間違いなく、その数世紀における方言的な音変化について多くのことが明らかになるだろうし、その後の方言の発展についても明らかになるかもしれない。 ## 6. おわりに 中古漢語の軟口蓋音の頭子音に顕著な前舌性⇔後舌性の異音があったという発見は、中国語の歴史音韻学にとってどのような意味を持つのだろうか。この疑問は広範囲に及ぶ。例えば、軟口蓋音の末子音の問題にも関係するかもしれない。中古漢語における異音の違いは、純粋に音声的な現象、つまりテュルク語のような言語の話者との連続性に影響された音声習慣とみなすべきなのだろうか。それとも、軟口蓋音と口蓋垂音の音素が融合した段階を反映しているのだろうか。これらの問題はひとまず置いておく。また、中古漢語音韻論について得られた新たな洞察が、その後の言語の歴史にどのような意味を持つのかという疑問も脇に置いておく。 一方、今回の調査によって、中国語の音声の歴史について多くの点が明らかになった。これは、転写の研究が果たすべき貴重な、いや、不可欠な役割の一例となるだろう。中国人が外来語をどのように転写したか、あるいは外国人が中国語をどのように転写したかが、中国語の音素の音価に関する直接的な情報を与えてくれるわけではない。私たちが期待できるのは、2つの異なる音韻体系の間の可能な限り最も近い近似値でであり、完全な一致ではない。しかし、このような対応がどのように行われたかを知ることで、一方の言語や他方の言語の音韻に関する問題の解決策を示唆したり、他の根拠に基づいて示唆された仮説を検証したりすることができる。 ## 補記 この論文で述べられている軟口蓋閉鎖音の前舌性⇔後舌性の異音に関する理論は、『玉篇』や『広韻』の序文や付録に掲載されている匿名の『辨字五音表』に見られる「牙聲」と「喉聲」という不可解な用語の説明となる。韻図に見られる標準的な守温(晩唐)による三十六声母の分類では、牙聲は軟口蓋閉鎖音(**k-**, **kh-**, **g-**)と鼻音 **ŋ-** で、喉聲は声門閉鎖音、有声・無声摩擦音 **ɦ-**, **h-** (K. *ɣ*, *χ*)、そして三等・四等の半母音の前の有声頭子音(K. *j*, *i̯*)である。しかし『辨字五音表』では、牙聲の例は 迦 **ki̯â¹** と 佉 **khi̯â¹** であり、喉聲の例は 綱 **kâŋ¹** と 各 **kâk** である。このように軟口蓋音の頭子音が両方に現れるのは、単に混同された結果だと考えられてきたが、実際には非常に一貫した原理がある。三等の前進した見母 **k-** と溪母 **kh-** は牙聲に分類され、一等のより後舌的な頭子音は喉聲に分類されるのである。守温が用いた音素分類とは対照的に、この著者が異音の基準に基づいて分類を行ったのは明らかである。 同様の軟口蓋閉鎖音の分類は、同じく『広韻』と『玉篇』に掲載されている『辨十四聲例法』にも見られる。そこには次のようにある(喉聲の例は全て二等であることに注意)。 - 十一 牙聲:迦 **ki̯â¹**, 佉 **khi̯â¹**, 俄 **ŋâ¹** 等 - 十三 喉聲:鴉 **ꞏa¹**, 加 **ka¹**, 瘕 **ɦa¹** 等 ここでは、二等の単語 **ka¹** は三等の単語 **ki̯â¹** や **khi̯â¹** から切り離されるだけでなく、声門閉鎖音や **ɦ-** と共に分類されており、2種類の軟口蓋音の音声的対立がさらに明確になっているように見える。疑母 **ŋ-** は一等でも牙音に分類されるのは興味深い(俄 が 伽 の誤字でなければ)。 もちろん、頭子音の分類に使われる5つの用語(喉・牙・歯・舌・唇)の初期の歴史については、他にも問題がある。例えば、智廣(中唐)の『悉曇字記』では、サンスクリット語の文字の5種のヴァルガとの対応において、歯音 ==(=一般に「舌聲」に対応すると考えられる)== を「喉聲」と呼んでいる。おそらくこれは、中国語では歯音とそり舌音の閉鎖音・鼻音の両方に使われる「舌」が、サンスクリット語のそり舌音系列に適用され、他方、「喉」という用語を付けることのできる口蓋垂音や喉音がサンスクリット語になかったためと思われる。これはもちろん、5つの用語がもともと中国語のために考案されたもので、サンスクリット語には二次的に適用されたに過ぎないことを意味する。中国語の音声学がサンスクリット語のモデルから刺激を受けたという推定はともかく、使用されている特定の用語が伝統的なサンスクリット語の用語に直接基づいていないことは確かなのだから、これは不合理な仮定ではない。 もう一つの風変りな用法は、神珙という僧(9世紀)の作とされる『五音聲論』に見られるもので、これは『玉篇』には記されているが『広韻』にはない。例としてそれぞれ8つの単語が挙げられている。 - 喉聲:何 **ɦâ¹**, 我 **ŋâ²**, 剛 **kâŋ¹**, 鄂 **ŋâk**, 謌 **kâ¹**, 可 **khâ²**, 康 **khâŋ¹**, 各 **kâk** - 牙聲:更 **kaŋ¹**, 硬 **ŋaəŋ¹**, 牙 **ŋa¹**, 格 **kak**, 行 **ɦaŋ¹**, 幸 **ɦaeŋ¹**, 亨 **ɦaŋ¹**, 客 **khak** ここでは、喉音と軟口蓋音の頭子音が両方のグループにある。とはいえ、区別は一貫しており、一等の単語は喉聲とされ、二等の単語は牙聲とされている。これは単に、喉 **ɦu¹** と 牙 **ŋa¹** という単語自体がそれぞれのカテゴリーに属しているからかもしれない。三等と四等の単語がどのように分類されたかはわからない。 この5つの用語を誰が最初に使ったのか、どのように適用したのかはわからない。明らかに、それらは他の学者に引き継がれ、誤解やデータの誤分析のために多少違った使い方をする自由を感じたのだろう。残念ながら、韻図で使われている他の用語についても同じことが言え、また特定の例においてそれらが何を意味するのかを理解する問題を非常に複雑にしている。 ## 参考文献 - Allen, W. Sydney. (1951). Some Prosodic Aspects of Retroflexion and Aspiration in Sanskrit. *Bulletin of the School of Oriental and African Studies* 13(4): 939–946. [doi: 10.1017/s0041977x00124152](https://doi.org/10.1017/s0041977x00124152) - Bagchi, Prabodh Chandra. (1926). *Deux Lexiques Sanskrit-Chinois:* Fan yu tsa ming *de Li Yen et* Fan yu ts'ien tseu wen *de Yi-tsing*. Paris: Paul Geuthner. - Chao, Yuen Ren 趙元任. (1941). Distinctions within Ancient Chinese. *Harvard Journal of Asiatic Studies* 5(3–4): 203–233. [doi: 10.2307/2717913](https://doi.org/10.2307/2717913) - Csongor, Barnabas. (1952). Chinese in the Uighur Script of the T’ang-Period. *Acta Orientalia Academiae Scientiarum Hungaricae* 2(1): 73–121. - ⸺. (1962). Chinese Glosses in Uighur Texts Written in Brahmi. *Acta Orientalia Academiae Scientiarum Hungaricae* 15(1–3): 49–53. - Jaxontov, Sergej E. (1960). Consonant combinations in Archaic Chinese. 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