# 電子材料特論(前期末) ## シリコンの結晶成長 * 二酸化ケイ素($SiO_2$)は地殻内に$Si:O=1:2$ * Ⅳ族元素は半導体(炭素,ケイ素,ゲルマニウム ) ### 半導体とは 抵抗率が導体(金属)と絶縁体(ガラス)とのあいだ程度。 * 純粋な真性(i型)半導体は、その材料本来の一定の抵抗率を持つ * 不純物の種類によってキャリア(電荷を運ぶ役割)が電子と正孔になりn型とp型になる * **原料の純度が高いとき**(イレブンナイン)、不純物の量でキャリア密度を調整できる ⇒ 半導体は、**不純物の量,不純物の種類**で性質が変わる (例.ゲルマニウム,シリコン,ガリウムヒ素,ガリウムリン,硫化カドミウム) * (ダイヤモンドは不純物添加で半導体に) #### 種類 * 結晶構造による分類 * 非晶質(例.ガラス) * 多結晶 * 単結晶(例.水晶) * 構成元素による分類 * 元素半導体:$Si,C,Ge$ 非発光,受光は可能(太陽電池,赤外センサ) * 化合物半導体:$GaAs,InP,GaN,BN,CdTe,SiC$ | 特徴 | 応用例 | | -------- | -------- | | 高速動作可能 | 高周波デバイス(例.HEMT) | | 発光するものがあり、発光波長の選択範囲が広い | 赤外~紫外光発信,青色レーザダイオード| | 高温動作可能 | 人工衛星用デバイス | * 混晶半導体:$Al_{x}Ga_{1-x}As(Al,Ga:As=1:1,0≦x≦1),ln_{x}Ga_{1-x}As_{y}P_{1-y}$ #### シリコンの結晶成長方法 * ゾーン精製 不純物を析出させ、それを除去することで純度を上げる。 単結晶成長を高純度化できるが、小口径である。 ##### CZ法 アルゴンガス雰囲気中で種結晶をシリコン融液面に接触させ、ゆっくり引き上げ単結晶を成長させる。大口径ウェーハになる。 原料:高純度の多結晶シリコン るつぼ:石英($SiO_2$ → 酸素が不純物) (例.16in.ウェーハ ) * メリット 生産性が高い チップサイズが大きくなるので無駄が減る * デメリット るつぼがあるため、技術的に難しい ![](https://i.imgur.com/P8hEWpR.png) ##### MCZ法:磁場印加法 ヒーターにより、るつぼから不純物が混入し対流が生じる。 磁場によって不純物の対流と逆向きの流れを作ることで、るつぼからの酸素混入を抑制できる。 ##### るつぼなして結晶成長させる 1. 無重力環境下:通常困難 2. FZ法(浮遊帯域ゾーン精製法) るつぼなしで融液を浮遊させる。 ある部分のみ加熱して融液にすることでるつぼが不要。(ただし大口径は無理) **エピタキシャル** ## 化合物半導体の結晶成長 ### 液体封止引き上げ法(LEC法) * 蒸気圧の高い原料:$As$(ヒ素)の蒸発を防ぐ液体封止剤(フタ)が必要 * 溶液表面を液体封止剤で覆って引き上げ成長を行う * 結晶性は劣るが大量に大口径インゴットを成長可能 ### エピタキシー法 単結晶基板上に基板と同一の結晶性を持つ高品質結晶を成長させる方法。 結晶性がいいが量産性は良くない。 薄膜成長である。 * 気相エピタキシー ガス種のコントロールをすると、結晶層を自由に変更できる。 (例.光ファイバ,光導波路:光の閉じ込め) * 液相エピタキシー * 分子線エピタキシー * 有機金属気相エピタキシー ### 超格子 人工的な原子配置の周期性により新たな物性を得る 例.$GaAs$ | ‥‥ | A | B | A | B | ‥‥ | | -------- | -------- | -------- | -------- | -------- | -------- | | | $Al_{0.1}Ga_{0.9}As$ | $Al_{0.2}Ga_{0.8}As$ | 〃 | 〃 | |  A,Bはそれぞれ**数原子オーダー** ## 半導体の発光・受光 ### 光を利用したデバイス 光通信,計測,加工などに使われる ### 発光再結合と非発光再結合 エネルギー: $\begin{aligned} E&=hν=\frac{h}{2π}×2πf=ℏf \\ &=h×\frac{c}{λ}\propto{λ^{-1}} (ν:振動数[Hz],h:プランク定数[J・s]) \end{aligned}$ 運動量:$p=mν=\frac{h}{λ}=\frac{h}{2π}×\frac{2π}{λ}=ℏk$ ($λ:波長$) #### (a)直接遷移型 発光確率が高い ⇒ 発光できる(例.GaAs) 光子が$E_cからEvへ直接遷移し、光を放出。$ #### (b)間接遷移型 発光確率が低い ⇒ 発光できない(例.Si) 光子が光を出しながら遷移した後、(音子により)原子振動が発生し熱に変わる。 * 可視光:0.6μm * 原子振動:0.6nm $p=\frac{h}{λ}なので、$ $p_{可視光}<p_{原子振動}=p_{可視光}×\frac{1}{10^{-3}}=10^{-3}×p_{可視光}$ ⇓ $p_{可視光}≒0$ 格子定数を$a_0$とすると、波長$λ$との間に $2a_{0}<λ$ の関係がある ### 光の波長とエネルギーの関係 電磁波のある波長範囲を光という $光速c=3.0×10^{8}[m/s], 振動数:ν[Hz], 波長:λ[m]$ $[eV]:電子一個を1Vで加速したエネルギー$ ### 人間の感じる色 3つの視細胞(赤,緑,青)の興奮度の組合せで色を感じる ### 液晶半導体の設計 $AlAs$:非発光 ⇓ 熱放出  ⇓ $Al_{x}Ga_{1-x}As$:組成比xを変えると$E_{g}$変化 → 色変化 $Al_{0.3}Ga_{0.7}As$が発光・非発光の境界 ⇓ $GaAs$:発光 ### 液晶半導体の組成と発光波長 図書く(手書き) ## 光と電子の閉じ込め ### 反転分布 エネルギーの低い準位を占めている粒子の数より,エネルギーの高い準位の粒子数が多い分布状態で、熱平衡状態における分布が反転したもの。 ### 誘導放出 #### 吸収 低い準位の原子が光子により、高い順位に励起される。 $E_{1}+hν=E_{2}$ #### 自然放出(集光は広い領域) 励起状態(高い準位)の原子が、外部から何も刺激がなくても光(子)を放出しながら低い準位に遷移する。 * 位相,波長が揃っていない(分布していない) (例.ろうそくの炎,発光ダイオード) #### 誘導放出(集光は狭い領域) 励起状態にある原子が,外から入射した光の刺激によって新たに光を放出し,エネルギーの低い順位に遷移する。 (例.レーザダイオード) ##### 特徴 1. 記録密度は高い 2. 集光範囲が狭いのでエネルギー密度が高い 3. 可干渉性,直進性がある ### 誘導放出光と光発振器 * 発振器=増幅器+共振器 結晶にはへき開と呼ばれる性質があるため結晶の面方位に沿った鏡面ができ、それを光共振器として利用することができる。 **He-Neガスレーザは、反射鏡と出力鏡を共振器として利用する** ### 高い発光効率の必要性 #### エネルギーの利用効率 * 経済性 * 資源の有効利用が可能 #### 発熱の抑制ができる * 非発光再結合(発光効率が低いとき)は熱エネルギーに変換されてしまう。 * 発熱が多いときには対策の必要がある * 冷却のための機器取付 → 省スペース化できない * 動作周波数を上げられない → 高速動作できない,室温で連続動作できない ### ヘテロ接合 P型半導体とN型半導体の間に異種の半導体を挟むpn接合。 例. p型半導体(クラッド層):$Al_{x}Ga_{1-x}As$ 活性層:$GaAs$ n型半導体(クラッド層):$Al_{x}Ga_{1-x}As$ ![](https://i.imgur.com/dQSntyA.png) ![](https://i.imgur.com/Sb9MqCr.png) ### 光ファイバ用材料の特徴 #### 高い屈折率 全反射を生じさせるには、コア層(活性層)とクラッド層(活性層を挟む層)の間の屈折率の差が大きいことが必要。 #### 高い透過率 光が伝送路内を伝搬するときに吸収されないことが必要。 | 材料 | 光吸収によって光の強さが半分になる距離| | -------- | -------- | | 窓ガラス | **15cm** | | 光ファイバ | 15km | #### 金属ケーブルとの比較 金属ケーブルの損失は$-20\log_10{\frac{V_{2}}{V_{1}}}$ シングルモード光ファイバの損失は一定値 ## レーザ ### 代表的なレーザの種類と主な仕様 | 種類 | 例 | 波長 | 出力[W/J] | 発振形式 | 効率[%] | 用途例 | | ---------- | ---- | ------ | ----------- | -------- | ------- | ------ | | 固体レーザ | ルビー | 0.69 | P(パルス)| ~20J | ~1 | 穴あけ | || YAG | 1.06 | P/CW(連続)| CW:~1kW, P:~150J | ~3 | 穴あけ,切断,溶接 | | 半導体レーザ | GaAs,InGaAsPなど | 0.6~1.6 | P/CW | CW:~50mW | ~100 | 通信,計測,情報処理 | | 液体レーザ | 色素(dye)レーザなど | 0.4~0.7 | P | ~100J | ~0.3 | 分光 | | 気体レーザ | He-Ne | 0.63 | CW | ~1mW | ~1 | 計測,ディスプレイなど | ### レーザ加工とは 出力の高いレーザビームをレンズなどで集光させると焦点付近でパワー密度は非常に高くなる。例えば、出力1kWが焦点位置で半径0.1mmに集光させるとそのパワー密度は$3.2×10^{6}[W/cm^{2}]$(とても高い)。 * 照射時間が$10^{-8}~10^{-7}$秒でパワー密度$10^{8}~10^{9.5}$の時、レーザ加工の分類は衝撃強化になる ### ファイバーレーザの基本概念 <img src="https://i.imgur.com/MldN2ic.png" width="600"> ### FEL(自由電子レーザ) ![](https://i.imgur.com/GA6lFjh.png) アンジュレーター内の磁石により偏光され、光が左右に振動し増幅される。 ## カーボンナノチューブ ### 性質 #### 細くて強い 同じ重さの鉄の数百倍の強度 0.3mmのカーボンナノチューブ線で1tの鉄が持ち上げられる。 (例.宇宙エレベータ) #### 電気をよく通す 電気をよく通し、低い電圧で電子を放出する。 (例.テレビのディスプレイ) #### 構造により半導体になる (例.スーパーコンピュータ) #### ガスをよく吸着する 水素をよく吸着し、水素吸蔵材料として利用が期待できる。 #### 熱をよく伝える 熱伝導性に優れ、ICの放熱板などに応用できる。 ### 精製法 #### アーク放電法 2本の炭素電極に高電圧をかけアーク電圧をおこすと、陰極側のススに多層ナノチューブが生成している。 #### レーザ蒸発法 効率は悪いが純度の高い炭層ナノチューブが得られる。 #### 化学的気相成長法 アセチレンやメタンなど(炭素を含むガス)と金属触媒を高温状態で化学反応させ、カーボンナノチューブを作る。大量生産や配向に向いている。 ### 応用 #### ナノ材料 **特徴** 耐摩耗性,軽量高強度性,高熱伝導性 **応用分野** 高強度材料,伝導性樹脂,マイクロマシン カーボンファイバー:かたい,導体 (例.テニスラケット,車,自転車,バイク,列車) 複合材料:プラスチック+カーボンファイバー #### 環境 **特徴** 高比表面,低価格 **応用分野** $CO_{2}$固定,ナノフィルター #### エネルギー **特徴** 超軽量,高比表面 → 反応性が高い **応用分野** 燃料電池,二次電池(充電できる) (例.活性炭:多孔質であるために体積の割りに広い表面積を持つため、多くの物質を吸着) 炭素せんい → 熱処理 → 金属化 (例.備長炭) #### バイオ・医療 **特徴** ナノ構造,生体適合,中空構造 **応用分野** バイオセンサ,ドラッグデリバリ #### エレクトロニクス **特徴** ナノ構造,高電流密度,高融点/高強度 **応用分野** ディスプレイ,LSI配線,10nmトランジスタ