# 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 ## 保健体育編 体育編 平成30年7月 文部科学省 ### まえがき 文部科学省では,平成 30 年3月 30 日に学校教育法施行規則の一部改正と高等学校学習指導要領の改訂を行った。新高等学校学習指導要領等は平成 34 年度から年次進行で実施することとし,平成 31 年度から一部を移行措置として先行して実施することとしている。 今回の改訂は,平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申を踏まえ, ①教育基本法,学校教育法などを踏まえ,これまでの我が国の学校教育の実践 や蓄積を生かし,生徒が未来社会を切り拓ひらくための資質・能力を一層確実に育成することを目指す。その際,求められる資質・能力とは何かを社会と共有し,連携する「社会に開かれた教育課程」を重視すること。 ②知識及び技能の習得と思考力,判断力,表現力等の育成とのバランスを重視 する平成 21 年改訂の学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で,知識 の理解の質を更に高め,確かな学力を育成すること。 ③道徳教育の充実や体験活動の重視,体育・健康に関する指導の充実により, 豊かな心や健やかな体を育成すること。 を基本的なねらいとして行った。 本書は,大綱的な基準である学習指導要領の記述の意味や解釈などの詳細につい て説明するために,文部科学省が作成するものであり,高等学校学習指導要領第2章第6節「保健体育」及び第3章第 10 節「体育」について,その改善の趣旨や内容を解説している。 各学校においては,本書を御活用いただき,学習指導要領等についての理解を深 め,創意工夫を生かした特色ある教育課程を編成・実施されるようお願いしたい。 むすびに,本書「高等学校学習指導要領解説保健体育編 体育編」の作成に御協力くださった各位に対し,心から感謝の意を表する次第である。 平成 30 年7月 スポーツ庁次長 今里 讓 文部科学省初等中等教育局長 高橋 道和 ### 目次 #### 第1部 保健体育編 第1章 総説 ………………………………………………… 1 第1節 改訂の経緯及び基本方針…………………… 1 1 改訂の経緯……………………………………… 1 2 改訂の基本方針………………………………… 2 第2節 保健体育科改訂の趣旨及び要点…………… 6 1 保健体育科改訂の趣旨………………………… 6 2 保健体育科改訂の要点………………………… 9 (1)目標の改善…………………………………… 9 (2)内容構成の改善……………………………… 12 (3)内容及び内容の取扱いの改善……………… 13 「体育」…………………………………………… 13 「保健」…………………………………………… 16 (4)各科目にわたる指導計画の作成と内容の 取扱いの改善………………………………… 18 第2章 保健体育科の目標及び内容……………………… 21 第1節 教科の目標及び内容………………………… 21 1 教科の目標……………………………………… 21 2 教科の内容……………………………………… 25 第2節 各科目の目標及び内容……………………… 28 「体育」…………………………………………………… 28 1 性格……………………………………………… 28 2 目標……………………………………………… 29 3 内容……………………………………………… 33 A 体つくり運動………………………………… 42 B 器械運動……………………………………… 58 C 陸上競技……………………………………… 77 D 水泳…………………………………………… 95 E 球技…………………………………………… 114 F 武道…………………………………………… 135 G ダンス………………………………………… 156 H 体育理論……………………………………… 176 4 内容の取扱い…………………………………… 187 「保健」…………………………………………………… 197 1 性格 ……………………………………………… 197 2 目標 ……………………………………………… 197 3 内容 ……………………………………………… 198 (1)現代社会と健康……………………………… 198 (2)安全な社会生活……………………………… 204 (3)生涯を通じる健康…………………………… 207 (4)健康を支える環境づくり…………………… 210 4 内容の取扱い…………………………………… 215 第3章 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い … 217 第1節 指導計画作成上の配慮事項………………… 217 1「体育」…………………………………………… 217 2「保健」…………………………………………… 220 3「体育」及び「保健」…………………………… 222 第2節 内容の取扱いに当たっての配慮事項……… 225 1 言語活動……………………………………… 225 2 情報機器の活用等に関する配慮事項………… 225 3 運動の多様な楽しみ方………………………… 226 4 体験活動………………………………………… 227 5「体育」と「保健」の関連 …………………… 228 第3節 総則関連事項………………………………… 229 1 健やかな体(第1章総則第1款2(3))……… 229 2 教育課程外の学校教育活動と教育課程との 関連(第1章総則第6款1ウ)…………………231 3 道徳教育との関連 (第1章総則第1款2(2))…………………… 234 4 学校設定科目 (第1章総則第2款3(1)エ)………………… 234 5 必履修教科・科目の減単位 (第1章総則第2款3(2)ア)………………… 235 6 義務教育段階での学習内容の確実な定着を 図る工夫(第1章総則第2款4(2))………… 236 #### 第2部 体育編 第1章 総説 ………………………………………………… 239 第1節 改訂の経緯及び基本方針…………………… 239 1 改訂の経緯……………………………………… 239 2 改訂の基本方針………………………………… 240 第2節 教科・科目設定の趣旨……………………… 244 第3節 改訂の趣旨及び要点………………………… 245 1 体育科改訂の趣旨……………………………… 245 2 体育科改訂の要点……………………………… 245 (1)目標の改善…………………………………… 245 (2)科目の目標,内容構成及び内容等の改善…246 (3)各科目にわたる指導計画の作成と内容の 取扱いの改善………………………………… 248 第4節 体育科の目標と科目編成…………………… 250 1 目標の考え方…………………………………… 250 2 科目編成と標準単位数………………………… 253 (1)科目の編成…………………………………… 253 (2)標準単位数…………………………………… 253 第2章 各科目……………………………………………… 255 第1節 スポーツ概論………………………………… 255 1 目標……………………………………………… 255 2 内容……………………………………………… 256 3 内容の取扱い…………………………………… 264 第2節 スポーツⅠ(採点競技及び測定競技) ………265 1 目標……………………………………………… 265 2 内容……………………………………………… 266 3 内容の取扱い…………………………………… 270 第3節 スポーツⅡ(球技……………………………271 1 目標……………………………………………… 271 2 内容……………………………………………… 272 3 内容の取扱い…………………………………… 277 第4節 スポーツⅢ (武道及び諸外国の対人的競技等)………… 278 1 目標……………………………………………… 278 2 内容……………………………………………… 279 3 内容の取扱い…………………………………… 283 第5節 スポーツⅣ(ダンス)…………………………284 1 目標……………………………………………… 284 2 内容……………………………………………… 285 3 内容の取扱い…………………………………… 289 第6節 スポーツⅤ(野外の運動)……………………290 1 目標……………………………………………… 290 2 内容……………………………………………… 291 3 内容の取扱い…………………………………… 296 第7節 スポーツⅥ(体つくり運動)…………………297 1 目標……………………………………………… 297 2 内容……………………………………………… 298 3 内容の取扱い…………………………………… 302 第8節 スポーツ総合演習…………………………… 303 1 目標……………………………………………… 303 2 内容……………………………………………… 304 3 内容の取扱い…………………………………… 306 第3章 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い…308 第1節 指導計画作成上の配慮事項…………………308 第2節 内容の取扱いに当たっての配慮事項………310 付録 付録 1:学校教育法施行規則(抄………………………330 付録 2:高等学校学習指導要領 第1章 総則……………………………………334 付録 3:高等学校学習指導要領 第2章 第6節 保健体育……………………351 付録 4:高等学校学習指導要領 第3章 第 10 節 体育………………………363 付録 5:中学校学習指導要領 第2章 第7節 保健体育……………………370 付録 6:小学校学習指導要領 第2章 第9節 体育………………………… 384 付録 7:小・中学校における「道徳の内容」の学年段階・学校段階の一覧表………………… 396 ### 第1部 保健体育編 #### 総 説 ##### 第1節 改訂の経緯及び基本方針 1改訂の経緯 今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく,また急速に変化しており,予測が困難な時代となっている。また,急激な少子高齢化が進む中で成熟社会を迎えた我が国にあっては,一人一人が持続可能な社会の担い手として,その多様性を原動力とし,質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される。 こうした変化の一つとして,進化した人工知能(AI)が様々な判断を行ったり,身近な物の働きがインターネット経由で最適化される IoT が広がったりするなど,Society5.0 とも呼ばれる新たな時代の到来が,社会や生活を大きく変えていくとの予測もなされている。また,情報化やグローバル化が進展する社会においては,多様な事象が複雑さを増し,変化の先行きを見通すことが一層難しくなってきている。そうした予測困難な時代を迎える中で,選挙権年齢が引き下げられ,更に平成 34(2022)年度からは成年年齢が 18 歳へと引き下げられることに伴い,高校生にとって政治や社会は一層身近なものとなるとともに, 自ら考え,積極的に国家や社会の形成に参画する環境が整いつつある。 このような時代にあって,学校教育には,子供たちが様々な変化に積極的に向き合い,他者と協働して課題を解決していくことや,様々な情報を見極め,知識の概念的な理解を実現し,情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと,複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。 このことは,本来我が国の学校教育が大切にしてきたことであるものの,教師の世代交代が進むと同時に,学校内における教師の世代間のバランスが変化し,教育に関わる様々な経験や知見をどのように継承していくかが課題となり,子供たちを取り巻く環境の変化により学校が抱える課題も複雑化・困難化する中で,これまでどおり学校の工夫だけにその実現を委ねることは困難になってきている。 こうした状況の下で,平成 26 年 11 月には,文部科学大臣から,新しい時代にふさわしい学習指導要領等の在り方について中央教育審議会に諮問を行った。中央教育審議会においては,2年1か月にわたる審議の末,平成 28 年 12 月 21 日に「幼稚園,小学校,中学校, 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」(以下「平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申」という。)を示した。 平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申においては,“よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る”という目標を学校と社会が共有し,連携・協働しながら,新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現を目指し,学習指導要領等が,学校,家庭,地域の関係者が幅広く共有し活用できる「学びの地図」としての役割を果たすことができるよう,次の6点にわたってその枠組みを改善するとともに,各学校において教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」の実現を目指すことなどが求められた。 ①「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力) ②「何を学ぶか」(教科等を学ぶ意義と,教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成) ③「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施,学習・指導の改善・充実) ④「子供一人一人の発達をどのように支援するか」(子供の発達を踏まえた指導) ⑤「何が身に付いたか」(学習評価の充実) ⑥「実施するために何が必要か」(学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策) これを踏まえ,文部科学省においては,平成 29 年3月 31 日に幼稚園教育要領,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領を,また,同年4月 28 日に特別支援学校幼稚部教育要領及び小学部・中学部学習指導要領を公示した。 高等学校については,平成 30 年3月 30 日に,高等学校学習指導要領を公示するととも に,学校教育法施行規則の関係規定について改正を行ったところであり,今後,平成 34(2022)年4月1日以降に高等学校の第1学年に入学した生徒(単位制による課程にあっては,同日以降入学した生徒(学校教育法施行規則第 91 条の規定により入学した生徒で同日前に入学した生徒に係る教育課程により履修するものを除く。))から年次進行により段階的に適用することとしている。また,それに先立って,新学習指導要領に円滑に移行するための措置(移行措置)を実施することとしている。 2 改訂の基本方針 今回の改訂は平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申を踏まえ,次の基本方針に基づき行った。 (1)今回の改訂の基本的な考え方 ①教育基本法,学校教育法などを踏まえ,これまでの我が国の学校教育の実践や蓄積 を生かし,生徒が未来社会を切り拓ひらくための資質・能力を一層確実に育成することを目指す。その際,求められる資質・能力とは何かを社会と共有し,連携する「社会に開かれた教育課程」を重視すること。 ②知識及び技能の習得と思考力,判断力,表現力等の育成とのバランスを重視する平成 21 年改訂の学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で,知識の理解の質を更に高め,確かな学力を育成すること。 ③道徳教育の充実や体験活動の重視,体育・健康に関する指導の充実により,豊かな心や健やかな体を育成すること。 (2)育成を目指す資質・能力の明確化 平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申においては,予測困難な社会の変化に主体的に関わり,感性を豊かに働かせながら,どのような未来を創っていくのか,どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え,自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を身に付けられるようにすることが重要であること,こうした力は全く新しい力ということではなく学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」であることを改めて捉え直し,学校教育がしっかりとその強みを発揮できるようにしていくことが必要とされた。また,汎用的な能力の育成を重視する世界的な潮流を踏まえつつ,知識及び技能と思考力,判断力,表現力等とをバランスよく育成してきた我が国の学校教育の蓄積を生かしていくことが重要とされた。 このため「生きる力」をより具体化し,教育課程全体を通して育成を目指す資質・能力を,ア「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」,イ「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」,ウ「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵かん 養)」の三つの柱に整理するとともに,各教科等の目標や内容についても,この三つの柱に基づく再整理を図るよう提言がなされた。 今回の改訂では,知・徳・体にわたる「生きる力」を生徒に育むために「何のために学ぶのか」という各教科等を学ぶ意義を共有しながら,授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していくことができるようにするため,全ての教科等の目標や内容を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で再整理した。 (3)「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進 子供たちが,学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解し,これからの時代に求められる資質・能力を身に付け,生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにするためには,これまでの学校教育の蓄積も生かしながら,学習の質を一層高める授業改善の取組を活性化していくことが必要である。 特に,高等学校教育については,大学入学者選抜や資格の在り方等の外部要因によって,その教育の在り方が規定されてしまい,目指すべき教育改革が進めにくいと指摘されてきたところであるが,今回の改訂は,高大接続改革という,高等学校教育を含む初等中等教育改革と,大学教育の改革,そして両者をつなぐ大学入学者選抜改革という一体的な改革や,更に,キャリア教育の視点で学校と社会の接続を目指す中で実施されるものである。改めて,高等学校学習指導要領の定めるところに従い,各高等学校において生徒が卒業までに身に付けるべきものとされる資質・能力を育成していくために,どのようにしてこれまでの授業の在り方を改善していくべきかを,各学校や教師が考える必要がある。 また,選挙権年齢及び成年年齢が 18 歳に引き下げられ,生徒にとって政治や社会が一層身近なものとなる中,高等学校においては,生徒一人一人に社会で求められる資質・能力を育み,生涯にわたって探究を深める未来の創り手として送り出していくことが,これまで以上に重要となっている。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善(アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善)とは,我が国の優れた教育 実践に見られる普遍的な視点を学習指導要領に明確な形で規定したものである。 今回の改訂では,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進める際の指導上の配慮事項を総則に記載するとともに,各教科等の「第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」等において,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進めることを示した。 その際,以下の点に留意して取り組むことが重要である。 ① 授業の方法や技術の改善のみを意図するものではなく,生徒に目指す資質・能力を育むために「主体的な学び」,「対話的な学び」,「深い学び」の視点で,授業改善を進めるものであること。 ② 各教科等において通常行われている学習活動(言語活動,観察・実験,問題解決的な学習など)の質を向上させることを主眼とするものであること。 ③ 1回1回の授業で全ての学びが実現されるものではなく,単元や題材など内容や時間のまとまりの中で,学習を見通し振り返る場面をどこに設定するか,グループなどで対話する場面をどこに設定するか,生徒が考える場面と教師が教える場面とをどのように組み立てるかを考え,実現を図っていくものであること。 ④ 深い学びの鍵として「見方・考え方」を働かせることが重要になること。各教科等の「見方・考え方」は,「どのような視点で物事を捉え,どのような考え方で思考していくのか」というその教科等ならではの物事を捉える視点や考え方である。各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすものであり,教科等の学習と社会をつなぐものであることから,生徒が学習や人生において「見方・考え方」を自在に働かせることがで きるようにすることにこそ,教師の専門性が発揮されることが求められること。 ⑤ 基礎的・基本的な知識及び技能の習得に課題がある場合には,それを身に付けさせるために,生徒の学びを深めたり主体性を引き出したりといった工夫を重ねながら,確実な習得を図ることを重視すること。 (4) 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進 各学校においては,教科等の目標や内容を見通し,特に学習の基盤となる資質・能力(言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。以下同じ。),問題発見・解決能力等)や現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成のために教科等横断的な学習を充実することや,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を単元や題材など内容や時間のまとまりを見通して行うことが求められる。これらの取組の実現のためには,学校全体として,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育内容や時間の配分,必要な人的・物的体制の確保,教育課程の実施状況に基づく改善などを通して,教育活動の質を向上させ,学習の効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントに努めるこ とが求められる。 このため,総則において,「生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に努める」ことについて新たに示した。 (5)教育内容の主な改善事項 このほか,言語能力の確実な育成,理数教育の充実,伝統や文化に関する教育の充実,道徳教育の充実,外国語教育の充実,職業教育の充実などについて,総則や各教科・科目等(各教科・科目,総合的な探究の時間及び特別活動をいう。以下同じ。)においてその特質に応じて内容やその取扱いの充実を図った。 ##### 第2節 保健体育科改訂の趣旨及び要点 平成28年12月の中央教育審議会答申において,教育課程の基準の改善のねらいが示されるとともに,各教科等の主な改善事項を示している。この度の高等学校保健体育科の改訂は、これらを踏まえて行ったものである。 1 保健体育科改訂の趣旨 ①平成 21 年改訂の学習指導要領の成果と課題 体育科,保健体育科における平成 21 年改訂の学習指導要領の成果と課題については,平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申において次のように示されている。 「生涯にわたって健康を保持増進し,豊かなスポーツライフを実現することを重視し,体育と保健との一層の関連や発達の段階に応じた指導内容の明確化・体系化を図りつつ,指導と評価の充実を進めてきた。その中で,運動やスポーツが好きな児童生徒の割合が高まったこと,体力の低下傾向に歯止めが掛かったこと,『する,みる,支える』のスポーツとの多様な関わりの必要性や公正,責任,健康・安全等,態度の内容が身に付いていること,子供たちの健康の大切さへの認識や健康・安全に関する基礎的な内容が身に付いていることなど,一定の成果が見られる。 他方で,習得した知識や技能を活用して課題解決することや,学習したことを相手に分かりやすく伝えること等に課題があること,運動する子供とそうでない子供の二極化傾向が見られること,子供の体力について,低下傾向には歯止めが掛かっているものの,体力水準が高かった昭和 60 年ごろと比較すると,依然として低い状況が見られることなどの指摘がある。また,健康課題を発見し,主体的に課題解決に取り組む学習が不十分であり,社会の変化に伴う新たな健康課題に対応した教育が必要との指摘がある。」としている。 ② 改訂の基本的な考え方 これらを踏まえた体育科,保健体育科の改訂の基本的な考え方は次のとおりである。 ア 小学校,中学校及び高等学校を通じて,「体育科,保健体育科では,これらの課題を踏まえ,心と体を一体としてとらえ,生涯にわたって健康を保持増進し,豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育成することを重視する観点から,運動や健康に関する課題を発見し,その解決を図る主体的・協働的な学習活動を通して,『知識・技能』,『思考力・判断力・表現力等』,『学びに向かう力・人間性等』を育成することを目標として示す。」としている。 イ「体育科,保健体育科における学習過程については,これまでも心と体を一体としてとらえ,自己の運動や健康についての課題の解決に向け,積極的・自主的・主体的に学習することや,仲間と対話し協力して課題を解決する学習等を重視してきた。これらを引き続き重視するとともに,体育科,保健体育科で育成を目指す『知識・技能』,『思考力・判断力・表現力等』,『学びに向かう力・人間性等』の三つの資質・能力を確実に身に付けるために,その関係性を重視した学習過程を工夫する必要がある。」としている。 ウ 「体育科,保健体育科の指導内容については,『知識・技能』,『思考力・判断 力・表現力等』,『学びに向かう力・人間性等』の育成を目指す資質・能力の三つの柱に沿って示す」とするとともに,体育については,「児童生徒の発達の段階を踏まえて,学習したことを実生活や実社会に生かし,豊かなスポーツライフを継続することができるよう,小学校,中学校,高等学校を通じて系統性のある指導ができるように示す必要がある。」としており,保健においては,「健康な生活と疾病の予防,心身の発育・発達と心の健康,健康と環境,傷害の防止,社会生活と健康等の保健の基礎的な内容について,小学校,中学校,高等学校を通じて系統性のある指導ができるように示す必要がある。」としている。 ③ 改善の具体的事項 ア 高等学校「体育」については,平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申において「生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続し,スポーツとの多様な関わり方を状況に応じて選択し,卒業後も継続して実践することができるよう,『知識・技能』,『思考力・判断力・表現力等』,『学びに向かう力・人間性等』の育成を重視する観点から内容等の改善を図る。また,『保健』との一層の関連を図った内容等について 改善を図る。 (ア)各領域で身に付けたい具体的な内容を,資質・能力の三つの柱に沿って明確に 示す。特に,『思考力・判断力・表現力等』及び『学びに向かう力・人間性等』の内容の明確化を図る。また,体力や技能の程度,年齢や性別及び障害の有無等にかかわらず,運動やスポーツの多様な楽しみ方を社会で実践することができるよう配慮する。 (イ)体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,健康や体力の状況に応じて自ら体力を高める方法を身に付け,運動やスポーツの習慣化につなげる観点か体つくり運動の内容等について改善を図る。 (ウ)スポーツの意義や価値等の理解につながるよう,内容等について改善を図る。特に,東京オリンピック・パラリンピック競技大会がもたらす成果を次世代に引き継いでいく観点から,知識に関する領域において,オリンピック・パラリンピックの意義や価値及びドーピング等の内容等について改善を図る。」としている。 イ 「保健」については,平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申において「個人及び社会生活における健康・安全についての総合的な『知識・技能』,『思考力・判断力・表現力等』,『学びに向かう力・人間性等』の育成を重視する観点から内容等の改善を図る。その際,少子高齢化や疾病構造の変化による現代的な健康課題の解決に関わる内容や,ライフステージにおける健康の保持増進や回復に関わる内容及び一次予防のみならず,二次予防や三次予防に関する内容を改善するとともに,人々の健康を支える環境づくりに関する内容の充実を図る。また,『体育』と一層の関連を図り,心身の健康の保持増進や回復とスポーツとの関連等の内容等について改善を図る。」としている。 以上の改訂の趣旨に従って,高等学校保健体育科では,生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続し,スポーツとの多様な関わり方を状況に応じて選択するとともに,卒業後も継続して実践することができるよう,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」(資質・能力の三つの柱)の育成を重視するとともに,個人及び社会生活における健康・安全についての「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」(資質・能力の三つの柱)の育成を重視して改善を図った。 なお,改善に当たっては,次の点にも留意した。 ○ 体力の向上については,心身ともに成長の著しい時期であることを踏まえ,「体つくり運動」の学習を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わわせるとともに,健康や体力の状況に応じて体力を高める必要性を認識させ,「体つくり運動」以外の運動に関する領域においても,学習した結果としてより一層の体力の向上を図ることができるようにする。 さらに,学習した成果を実生活や実社会に生かすこと及び運動やスポーツの習慣化を促す観点から,体育理論や保健との関連,教科外活動や学校生活全体を見通した教育課程の工夫を図るようにする。 ○ 「体育」の知識については,言葉や文章など明確な形で表出することが可能な形式知だけでなく,勘や直感,経験に基づく知恵などの暗黙知を含む概念であり,意欲,思考力,運動の技能などの源となるものである。また,体の動かし方や用具の操作方法などの具体的な知識を理解することにとどまらず,運動の実践及び生涯スポーツにつながる概念や法則などの汎用的な知識等の定着を図ることが重要である。その際,動きの獲得を通して一層知識の大切さを実感できるようにすることが必要である。 さらに,「する,みる,支える,知る」といった生涯にわたる豊かなスポーツライフを継続していく資質・能力の育成に向けて,運動やスポーツの価値や文化的意義等を学ぶ体育理論の学習の充実はもとより,学習する領域が有する特性や魅力を理解すること,運動実践につながる態度の形成に関する知識を理解すること,「保健」で学習する健康・安全の概念と「体育」で学習する健康・安全の留意点との関連を図ることなど,知識を 基盤とした学習の充実が必要である。 ○ 「保健」の技能については,心肺蘇生法等の応急手当を取り上げ,個人及び社会生活における健康・安全に関する基本的な技能を身に付けるよう指導することが重要である。その際,実習を取り入れ,それらの意義や手順,及び課題の解決など,該当する知識や思考力,判断力,表現力等との関連を図ることに留意する必要がある。 ○ 学び直しの充実については,平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申において,「基礎学力の不足や学習意欲の面での課題が指摘されており,小・中学校での学習内容を十分に身に付けていない生徒も少なからず見られるなど,学び直しへのニーズは高い」とされており,保健体育科においても義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導の充実が必要である。 2 保健体育科改訂の要点 保健体育科については,これらの平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申の趣旨を踏まえて,次の方針によって改訂を行った。 ①「体育」においては,育成を目指す資質・能力を明確にし,生涯にわたって豊かな スポーツライフを継続する資質・能力を育成することができるよう,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の育成を重視し,目標 及び内容の構造の見直しを図ること。 ②「カリキュラム・マネジメント」の実現及び「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を推進する観点から,発達の段階のまとまりを踏まえ,指導内容の系統性を改めて整理し,各領域で身に付けさせたい指導内容の一層の充実を図こと。 ③運動やスポーツとの多様な関わり方を重視する観点から,体力や技能の程度,性別や障害の有無等にかかわらず,運動やスポーツの多様な楽しみ方を卒業後も社会で実践することができるよう,共生の視点を重視して指導内容の充実を図ること。 ④ 生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続することを重視し,小学校,中学校及び高等学校を見通した指導内容の体系化を図る観点から資質・能力の三つの柱ごとの指導内容の一層の明確化を図ること。 ⑤「保健」においては,生涯にわたって健康を保持増進する資質・能力を育成することができるよう,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」に対応した目標,内容に改善すること。 ⑥ 個人及び社会生活における健康課題を解決することを重視する観点から,現代的な健康課題の解決に関わる内容,ライフステージにおける健康の保持増進や回復に関わる内容,人々の健康を支える環境づくりに関する内容及び心肺蘇生法等の応急手当の技能に関する内容等を充実すること。 ⑦「体育」と一層の関連を図る観点から,心身の健康の保持増進や回復とスポーツとの関連等の内容等について改善すること。 ⑧ 生涯にわたって健康を保持増進し,豊かなスポーツライフを継続する観点から,「体育」と「保健」の一層の関連を図った指導等の改善を図ること。 保健体育科の目標,内容及び内容の取扱い等の改訂の要点は,次のとおりである。 (1)目標の改善 教科の目標については,平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申において,学校教育法 第 30 条2項の「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習 得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない。」とされている規定を一層明確化するため,資質・能力の三つの柱 を踏まえ,各教科等に共通した目標の示し方が求められ,これに基づき見直しを図った。 具体的には,従前,「心と体を一体としてとらえ,健康・安全や運動についての理解と運動の合理的,計画的な実践を通して,生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り,明るく豊かで活力ある生活を営む態度を育てる。」としていたものを,柱書と資質・能力の三つの柱に整理し,次のように改善を図った。 「体育や保健の見方・考え方を働かせ,課題を発見し,合理的,計画的な解決に向けた学習過程を通して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを継続するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。 (1)各種の運動の特性に応じた技能等及び社会生活における健康・安全について理解するとともに,技能を身に付けるようにする。 (2)運動や健康についての自他や社会の課題を発見し,合理的,計画的な解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝える力を養う。 (3)生涯にわたって継続して運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,明るく豊かで活力ある生活を営む態度を養う。」 また,学校教育法第 50 条において,高等学校設置の目的として「高等学校は,中学校における教育の基礎の上に,心身の発達及び進路に応じて,高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。」と規定されていること,学校教育法第 45 条において,中学校設置の目的として「中学校は,小学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。」と規定されていることを踏まえ,保健体育科においては,引き続き,小学校から高等学校までの 12年間を見通した教科の目標の一貫性を重視し,高度な普通教育としての保健体育科の目標を中学校保健体育科の目標をより発展させて示したものである。 これらのことから,高等学校においては,小学校及び中学校の目標を理解しておくことが肝要である。 まず,小学校体育科の目標を,「体育や保健の見方・考え方を働かせ,課題を見付け,その解決に向けた学習過程を通して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(1)その特性に応じた各種の運動の行い方及び身近な生活における健康・安全について理解するとともに,基本的な動きや技能を身に付けるようにする。(2)運動や健康についての自己の課題を見付け,その解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝える力を養なう(3)運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,楽しく明るい生活を営む態度を養う。」としている。 また,中学校保健体育科の目標を,「体育や保健の見方・考え方を働かせ,課題を発見し,合理的な解決に向けた学習過程を通して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(1)各種の運動の特性に応じた技能等及び個人生活における健康・安全について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。 (2)運動や健康についての自他の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝える力を養う。(3)生涯にわたって運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,明るく豊かな生活を営む態度を養う。」とし,義務教育段階における教科の目標として一層の関連性を示した。 これらを踏まえ,高等学校の教科目標の柱書において,「体育や保健の見方・考え方を働かせ」ることを通して,各種の運動がもたらす体の健康への効果はもとより,心の健康も運動と密接に関連していることを実感させ,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを継続するための資質・能力を育むことが大切であることを強調したものである。 なお,資質・能力の三つの柱の育成については,「課題を発見し,合理的,計画的な解決に向けた学習過程を通して」相互に関連させて高めることが重要である。 また,「学びに向かう力,人間性等」は,生涯にわたって継続して運動に親しむこと,健康の保持増進及び体力の向上を図ることを関連させて育成する中で,現在及び将来の生活を健康で活力に満ちた明るく豊かなものにすることが大切であることを示している。 各科目の目標については次のとおりである。 「体育」の目標については,小学校から高等学校までの 12 年間を見通した体系化の最終段階となることから,中学校までの学習の成果を踏まえ,卒業後も運動やスポーツに多様な形で関わることができるようにすることが求められる。また,保健体育科の目標の改善を踏まえ,柱書と(1)知識及び技能,(2)思考力,判断力,表現力等,(3)学びに向かう力,人間性等の資質・能力の三つの柱で整理し,次のとおり示すこととした。 体育の見方・考え方を働かせ,課題を発見し,合理的,計画的な解決に向けた学習過程を通して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続するとともに,自己の状況に応じて体力の向上を図るための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。 (1)運動の合理的・計画的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを深く味わい,生涯にわたって運動を豊かに継続することができるようにするため,運動の多様性や体力の必要性について理解するとともに,技能を身に付けるようにする。 (2)生涯にわたって運動を豊かに継続するための課題を発見し,合理的・計画的な解決に向けて思考し判断するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝える力を養う。 (3)運動における競争や協働の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の責任を果たす,参画する,一人一人の違いを大切にしようとするなどの意欲を育てるとともに,健康・安全を確保して,生涯にわたって継続して運動に親しむ態度を養う。 「保健」の目標については,従前,「個人及び社会生活における健康・安全に関する理解を深めるようにし,生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を育てる」としていたものを,保健体育科の目標を踏まえ,柱書と(1)知識及び技能,(2)思考力,判断力,表現力等,(3)学びに向かう力,人間性等の資質・能力の三つの柱 で整理し,次のとおり示すこととした。 保健の見方・考え方を働かせ,合理的,計画的な解決に向けた学習過程を通して,生涯を通じて人々が自らの健康や環境を適切に管理し,改善していくための資質・能力を次のとおり育成する。 (1)個人及び社会生活における健康・安全について理解を深めるとともに,技能を身に付けるようにする。 (2)健康についての自他や社会の課題を発見し,合理的,計画的な解決に向けて思考し判断するとともに,目的や状況に応じて他者に伝える力を養う。 (3)生涯を通じて自他の健康の保持増進やそれを支える環境づくりを目指し,明るく豊かで活力ある生活を営む態度を養う。 (2)内容構成の改善 「体育」の内容構成については,従前,(1)技能(「体つくり運動」は運動),(2)態度,(3)知識,思考・判断としていたものを,(1)知識及び技能(「体つくり運動」は知識及び運動),(2)思考力,判断力,表現力等,(3)学びに向かう力,人間性等の内容構成とした。 このことは,平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申において,「体育については,『体育の見方・考え方』を働かせて,三つの資質・能力を育成する観点から,運動に関する『知識・技能』,運動課題の発見・解決等のための『思考力・判断力・表現力等』,主体的に学習に取り組む態度等の『学びに向かう力・人間性等』に対応した目標,内容に改善する。」としていることを踏まえたものである。 また,「保健」については,「保健については,『保健の見方・考え方』を働かせて,三つの資質・能力を育成する観点から,健康に関する『知識・技能』,健康課題の発見・解決のための『思考力・判断力・表現力等』,主体的に健康の保持増進や回復に取り組む態度等の『学びに向かう力・人間性等』に対応した目標,内容に改善する。その際,健康な生活と疾病の予防,心身の発育・発達と心の健康,健康と環境,傷害の防止,社会生活と健康等の保健の基礎的な内容について,小学校,中学校,高等学校を通じて系統性のある指導ができるように示す必要がある。」としていることを踏まえ,「知識及び技能」, 「思考力,判断力,表現力等」の内容構成とした。 なお,各教科等の内容については,内容のまとまりごとに,生徒が身に付けることが期待される資質・能力の三つの柱に沿って示すこととしているが,特に「学びに向かう力,人間性等」については,目標において全体としてまとめて示し,内容のまとまりごとに指導内容を示さないことを基本としている。しかし,「体育」においては,豊かなスポーツライフを継続することを重視し,従前より「態度」を内容として示していることから,内容のまとまりごとに「学びに向かう力,人間性等」に対応した指導内容を示すこととした。 (3)内容及び内容の取扱いの改善 「体育」 ア 資質・能力の三つの柱を踏まえた内容構造の見直し 「体育」については,「体育」において育成を目指す資質・能力を明確にするとともに,豊かなスポーツライフを継続する資質・能力を育成する観点から,運動に関する「知識及び技能」(中学校段階以降の知識では,運動の技能につながる知識のみならず,運動の成り立ちや多様な楽しみ方につながる知識等も含む),運動課題等の発見・解決のための「思考力,判断力,表現力等」,主体的に学習に取り組む態度等の「学びに向かう力,人間性等」に対応した内容を示すこととした。その際,児童生徒の発達の段階を踏まえて,学習したことを実生活や実社会に生かすとともに,卒業後においても運動の習慣化や運動やスポーツへの多様な関わり方につなげ,豊かなスポーツライフを継続することができるよう,小学校,中学校,高等学校を通じた系統性を踏まえて,引き続き指導内容の体系化を図ることを重視した。 なお,「体育」においては,「学びに向かう力,人間性等」の内容は,生涯にわたる豊かなスポーツライフの継続に向けた体育学習に関わる態度に対応した,公正,協力,責任,参画,共生及び健康・安全の具体的な指導内容を示すとともに,それらの学習を通して,スポーツの価値を実感するとともに,楽しさや喜びを深く味わうことに主 体的に取り組む態度を醸成することとした。 イ 12 年間の系統性を踏まえた指導内容の見直し 3年間の見通しをもった年間指導計画の作成及び指導計画の実施,評価,改善等を重視した「カリキュラム・マネジメント」を実現する観点及び「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を推進する観点から,小学校から高等学校までの 12年間を見通して,各種の運動の基礎を培う時期,多くの領域の学習を経験する時期,卒業後も運動やスポーツに多様な形で関わることができるようにする時期といった発達の段階のまとまりを踏まえ,系統性を踏まえた指導内容の見直しを図るとともに指導内容の重点化を図ることとした。 具体的には,中学校第3学年との接続を重視し,指導内容の系統性を改めて整理して示すとともに,各領域における(2)思考力,判断力,表現力等及び(3)学びに向かう 力,人間性等の指導内容の重点化を図ることとしたものである。 ウ 運動やスポーツとの多様な関わり方を重視した内容及び内容の取扱いの充実 豊かなスポーツライフを継続していくためには,運動の技能を高めていくことのみならず,体力や技能の程度,性別や障害の有無,目的等の違いを越えて,運動やスポーツの多様な楽しみ方を社会で実践することが求められる。そのため,新たに共生の視点を踏まえて指導内容を示すこととした。 また,「内容の取扱い」及び「指導計画と内容の取扱い」に,生徒が選択して履修できるようにすること,体力や技能の程度,性別や障害の有無等にかかわらず運動やスポーツを楽しむことができるよう男女共習を原則とすることを示すとともに,生徒の困難さに応じた配慮の例を示した。 エ 指導内容の一層の明確化 指導と評価の一体化を一層推進する観点から,(1)知識及び技能(「体つくり運動」は知識及び運動),(2)思考力,判断力,表現力等,(3)学びに向かう力,人間性等の指導内容を一層明確にするため,解説において,従前,技能及び思考・判断で示していた例示を,全ての指導内容で示すこととした。 オ 学び直しの充実 高等学校においては,社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける「共通性の確保」の観点と,一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす「多 様性への対応」の観点を軸としつつ,育成を目指す資質・能力を明確にし,それらを育んでいくことが大切である。 特に,共通性の確保の観点からは,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることが,高等学校保健体育科で育成を目指す資質・能力を身に付ける視点からも重要である。そのため,入学年次においては,引き続き中学校第3学年の内容を取り上げ,解説において,入学年次とその次の年次以降の学習のねらいや内容をそれぞれ具体的に示すこととした。 カ 体つくり運動 「体つくり運動」については,生徒の運動経験,能力,興味,関心等の多様化の現状を踏まえ,体を動かす楽しさや心地よさを味わわせるとともに,健康や体力の状況に応じて自ら体力を高める方法を身に付けさせ,地域などの実社会で生かせるよう改善を図った。 具体的には,「体ほぐしの運動」において,「心と体は互いに影響し変化することに気付き,体の状態に応じて体の調子を整え,仲間と積極的に交流するための手軽な運動や律動的な運動を行うこと」を改め,「手軽な運動を行い,心と体は互いに影響し変化することや心身の状態に気付き,仲間と主体的に関わり合うこと」を内容として示した。 また,従前「体力を高める運動」として示していたものを,体力の必要性を認識し,日常的に継続して高める能力の向上が重要であることから,「実生活に生かす運動の計画」として新たに示した。 なお,「保健」との関連を図った指導を充実する観点から,「内容の取扱い」に,「保健」における精神疾患の予防と回復などの内容との関連を図ることを引き続き示した。 また,引き続き,各年次において全ての生徒に履修させることとし,指導内容の定着がより一層図られるよう,「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」に,授業時数を「各年次で7〜10 単位時間程度」を配当することを示した。 キ 器械運動 「器械運動」については,従前どおり,領域の内容を「マット運動」,「鉄棒運動」,「平均台運動」,「跳び箱運動」の4種目の中から選択して履修できるようにすることとした。 ク 陸上競技 「陸上競技」については,従前どおり,「競走」,「跳躍」,「投てき」に示した運動で構成しているが,バトンの受渡しの指導内容を新たに示した上で,これらの中から選択して履修できるようにすることとした。 ケ 水泳 「水泳」については,従前どおり,「クロール」,「平泳ぎ」,「背泳ぎ」,「バタフライ」及び「複数の泳法で長く泳ぐこと又はリレーをすること」の中から選択して履修できるようにすることとした。 また,内容の取扱いに,「泳法との関連において水中からのスタート及びターンを取り上げること」及び「入学年次の次の年次以降は,安全を十分に確保した上で,学校や生徒の実態に応じて段階的な指導を行うことができること」を新たに示した。 なお,「保健」との関連を図った指導を充実する観点から,「保健」における応急手当の内容との関連を図ることを引き続き示した。 コ 球技 「球技」については,従前どおり,生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育成する観点から,攻防を展開する際に共通して見られるボール操作などに関する動きとボールを持たないときの動きについての学習課題に着目し,その特性や魅力に応じて,相手コートに侵入して攻防を楽しむ「ゴール型」,ネットを挟んで攻防を楽しむ「ネット型」,攻守を交代して攻防を楽しむ「ベースボール型」に分類し示した。 サ 武道 「武道」については,従前どおり,「柔道」又は「剣道」のいずれかを選択して履修できるようにすることとした。 また,内容の取扱いに,我が国固有の伝統と文化への理解を深める観点から,日本固有の武道の考え方に触れることができるよう,「柔道,剣道,相撲,空手道,なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法,銃剣道などを通して,我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること」を新たに示すとともに,学校や地域の実態に応じて,従前から示されている相撲,なぎなた,弓道に加えて,空手道,合気道,少林寺拳法,銃剣道などについても履修させることができることを新たに示した。 シ ダンス 「ダンス」については,従前どおり,「創作ダンス」,「フォークダンス」,「現代的なリズムのダンス」の中から選択して履修できるようにすることとした。 ス 体育理論 「体育理論」については,スポーツの意義や価値の理解につながるよう,従前,(1)スポーツの歴史,文化的特性や現代のスポーツの特徴,(2)運動やスポーツの効果的な学習の仕方,(3)豊かなスポーツライフの設計の仕方で構成していたことを一部改め, (1)スポーツの文化的特性や現代のスポーツの発展,(2)運動やスポーツの効果的な学習の仕方,(3)豊かなスポーツライフの設計の仕方で構成することとした。 また,各領域との関連で指導することが効果的な技術の名称や行い方,課題解決の方法などの知識については,各領域の「(1)知識及び技能」に示すこととし,知識と技能を相互に関連させて学習させることにより,知識の重要性を一層実感できるように配慮した。そのため,「内容の取扱い」に,引き続き,各年次において全ての生徒に履修させることを示すとともに,指導内容の定着がより一層図られるよう「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」に,授業時数を各年次で6単位時間以上を配当することを示した。 セ 体力の向上との関連 体力の向上については,「体つくり運動」,「体育理論」の指導内容を一部見直し,カリキュラム・マネジメントの視点から保健及び体育・健康に関する指導等との一層の充実が図られるよう改善した。また,その他の領域においても,それぞれの運動の特性や魅力に触れるために必要となる体力を生徒自らが高められるよう留意することとし,「体力の高め方」を内容の「(1)知識及び技能」に示した。 ソ スキー,スケートや水辺活動など(野外の運動) 自然とのかかわりの深いスキー,スケートや水辺活動などについては,従前どおり,学校や地域の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとした。 タ 能率的で安全な集団としての行動の仕方(集団行動) 集合,整頓,列の増減,方向転換などの行動の仕方については,従前どおり,「体つくり運動」から「ダンス」までの領域において適切に行うものとした。 「保健」 ア 「保健」の内容 「保健」の内容については,個人及び社会生活における健康・安全に関する理解を通して健康についての総合的な認識を深め,保健の見方・考え方を働かせ,生涯を通じて自他や社会の健康に関する課題を解決していくための資質や能力の育成を図ることに重点を置き,小学校,中学校の内容を踏まえた系統性のある指導ができるよう,次のような改訂を行った。 また,指導に当たっては,心と体を一体的に捉えるとともに,「保健」と「体育」の内容を密接に関連付けて取り扱うよう配慮するものとした。 イ 内容の構成 内容のまとまりについては,個人及び社会生活における健康課題を解決することを重視する観点から,従前の「現代社会と健康」,「生涯を通じる健康」及び「社会生活と健康」の3項目を「現代社会と健康」,「安全な社会生活」,「生涯を通じる健康」及び「健康を支える環境づくり」の4項目とした。内容については,個人及び社会生活に関する事項を正しく理解し,思考・判断・表現できるようにするため,他教科及び小学校,中学校の内容との関連を考慮して高等学校における基礎的事項を明確にした。 具体的には,個人及び社会生活における健康課題を解決することを重視する観点から,精神疾患やがんを含めた生活習慣病などの現代的な健康課題の解決に関わる内容,応急手当の技能を含めた安全な社会生活に関する内容,ライフステージにおける健康の保持増進や回復に関わる内容及び人々の健康を支える環境づくりに関する内容等を充実した。その際,心身の健康の保持増進の実践力を育成するため,単なる暗記や知識理解にとどまらず,自他の健康やそれを支える環境づくりに関心をもてるようにし,健康に関する課題を解決する学習活動を取り入れるなど,保健の資質や能力が育成されるよう指導方法の工夫を行うとともに,適切な意思決定や行動選択及び健康を支え る環境づくりが必要であることを示した。 ウ 現代社会と健康 「現代社会と健康」については,我が国の疾病構造や社会の変化に対応して,健康課題や健康の考え方が変化するとともに,様々な健康への対策,健康増進の在り方が求められていることを踏まえて,現代における健康課題とその予防及び対策にいて内容を整理し充実した。 その際,国民の健康課題や健康の考え方を充実して示すとともに,現代の感染症とその予防,生活習慣病などの予防と回復,喫煙,飲酒,薬物乱用と健康について項目を立てて充実することとした。特に生活習慣病などの予防と回復にがんを取り上げるとともに,精神と健康の内容を改善し,精神疾患の予防と回復の内容を新しく示し,より現代における健康課題に対応することとした。 なお,従前示されていた交通安全と応急手当については,新しい内容のまとまりである「安全な社会生活」に移動することとした。 エ 安全な社会生活 「安全な社会生活」については,小学校,中学校の系統性及び安全に関する指導を重視する観点から,新たに示すこととした。その際,従前「現代社会と健康」に示されていた交通安全と応急手当に関する内容を重視するとともに,高等学校の個人及び社会生活に関する健康・安全を重視する観点から,交通安全を含めた安全な社会づくりを明確にした。また,心肺蘇生法等の応急手当についての技能の内容を明確にした。 オ 生涯を通じる健康 「生涯を通じる健康」については,従前の内容を踏まえて,生涯にわたって健康を保持増進していくためには,生涯の各段階の健康課題に応じた自己の健康管理と環境づくりが重要であることを示した。 また,従前「社会生活と健康」に示されていた労働と健康について,生涯の各段階と関連が深いことから,ここに位置付けた。 なお,これまで「生涯を通じる健康」に示されていた保健・医療制度及び地域の保健・医療機関などの活用や様々な保健活動に関する内容は,自然環境,社会環境を含めた「健康を支える環境づくり」の内容に移動することとした。 カ 健康を支える環境づくり 「健康を支える環境づくり」については,自然環境だけでなく,個人を取り巻く社会の制度,活動などの社会環境などが深く関わっている。したがって,全ての人が健康に生きていくためには,個人が健康的な行動を選択するとともに,環境と健康,食品の安全性の確保のための環境づくりや保健・医療機関等の社会環境の活用を推進していくことが必要であるという考え方を重視し,内容を整理し明確にした。具体的な内容としては,従来「社会生活と健康」に示されていた自然環境を中心とした環境と健康,食品と健康を引き続き示すとともに,社会環境に関することとして,保健・医療制度及び地域の保健・医療機関などの適切な活用,我が国や世界において様々な保健活動や対策などが行われていることについての内容を,ここに位置付けた。さらに,健康に関する環境づくりと社会参加に関する内容を新たに位置付けた。 (4)各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱いの改善 ア 指導計画作成上の配慮事項 (ア)主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善 保健体育科の指導計画の作成に当たり,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を推進することとし,保健体育科の特質に応じて,効果的な学習が展開できるように配慮すべき内容を新たに示した。 (イ)学校における体育・健康に関する指導との関連 指導計画の作成に当たっては,第1章総則第1款2(3)に示す「健やかな体」の趣旨を生かし,特別活動,運動部の活動などとの関連を図り,日常生活における体育・健康に関する活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意することとした。 (ウ)授業時数等の配当 ・「体育」は,各年次継続して履修できるようにし,各年次の単位数はなるべく均分して配当するものとすることとした。 ・内容の「A体つくり運動」に対する授業時数については,各年次で7〜10 単位時間程度を,内容の「H体育理論」に対する授業時数については,各年次で6単位時間以上を配当することとした。 ・「体育」の内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域の授業時数は,その内容の習熟を図ることができるよう考慮して配当することとした。 ・「保健」は,従前どおり,原則として入学年次及びその次の年次の2か年にわたり履修させることとした。 (エ)中学校との関連 学校や生徒の実態等に応じて義務教育段階の学習内容の確実な定着を図る観点から,中学校保健体育科との関連に留意することを示した。 これは,従前,総則に示されていたものを保健体育科でも示したものである。 (オ)障害のある生徒への指導 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うことが大切であることを示した。 これは,従前,総則に示されていたものを保健体育科でも示したものである。 なお,学習活動を行う場合に生じる困難さが異なることに留意し,個々の生徒の困難さに応じた指導方法等の工夫例を新たに示すこととした。 イ 内容の取扱いに当たっての配慮事項 (ア)言語活動 保健体育科の指導において,その特質に応じて,言語活動について適切に指導する必要があることを示した。 これは,従前,総則に示されていたものを保健体育科でも示したものである。 (イ)情報機器の活用等に関する配慮事項 保健体育科において,各分野の特質を踏まえ,情報モラル等にも配慮した上で,必要に応じて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるよう配慮することを従前どおり示した。 (ウ)運動やスポーツの多様な楽しみ方 生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質・能力の育成に向けて,体力や技能の程度,性別や障害の有無等にかかわらず,運動やスポーツの多様な楽しみ方を社会で実践できるようにすることが重要であることを新たに示した。 (エ)体験活動 保健体育科において,その特質に応じた体験活動を重視し,地域・家庭と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫することを示した。 これは,従前,総則に示されていたものを保健体育科でも示したものである。 (オ) 「体育」と「保健」の関連 保健体育科においては,生涯にわたって健康を保持増進し,豊かなスポーツライフを継続する資質・能力の育成を重視する観点から,健康な生活と運動やスポーツとの関わりを深く理解したり,心と体が密接につながっていることを実感したりできるようにすることの重要性を改めて示すとともに,体育と保健の関連を図る工夫の例を新たに示した。 なお,今回の改訂においては,第1章総則第1款5において,「カリキュラム・マネジメント」の充実が示されたことから,次の点に留意することが大切である。 ○カリキュラム・マネジメントの充実 各学校においては,子供たちの姿や地域の実情を踏まえて,各学校が設定する学校教育目標を実現するために,学習指導要領等に基づき教育課程を編成し,それを 実施・評価し改善していく「カリキュラム・マネジメント」の充実が求められている。 保健体育科においても,同様に「カリキュラム・マネジメント」の考え方に基づいた学習指導を充実させることが大切である。 ・3年間の見通しをもった年間指導計画の作成 教育課程においては,各学校が主体的に編成することが大切である。その際, 「指導計画の作成と内容の取扱い」を踏まえて,3年間の見通しをもった年間指 導計画を作成することとなるが,作成に当たっては,「体育」及び「保健」の指導内容の関連を踏まえること,体育・健康に関する指導につながる健康安全,体育的行事等との関連について見通しをもつなど,保健体育科を中心とした「カリキュラム・マネジメント」の視点から計画を立てることが大切である。 その際,教科で学習する内容の確実な定着を図ることが重要であり,教科外の 学習との区分を明確にした計画の立案に留意することも大切である。 ・生徒の現状に基づいた計画の作成,実施,評価,改善 年間指導計画で配当した単元ごとの指導計画を作成する際,資質・能力の三つ の柱の具体的な指導内容を計画的に配当し,学習指導要領の趣旨を踏まえた指導 を充実することが大切である。その際,生徒の実情,教員数,施設の要件等を踏 まえた無理のない計画に基づく実施とその評価及び計画の改善を一体のものとし て推進することが,教科における「カリキュラム・マネジメント」として大切で ある。 ・地域の人的・物的資源等の活用 生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の推進に向けて,必 要に応じて,地域の人的・物的資源等の活用を検討することも大切である。特に,障害のある生徒などへの支援や実生活へのつながりを充実する観点から,活用可能な地域等の人的・物的資源等との連携を図り,指導の充実につなげることが学校と社会をつなぐ「カリキュラム・マネジメント」として大切である。
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