# 法令を読むための基本知識
## 法令の種類
### 法律
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日本国憲法第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
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法律は、国会の可決によって成立し、天皇が公布する。
### 政令
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日本国憲法第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
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政令は、閣議によって決定される。公布の手続は、法律と同じである(日本国憲法第74条)
### 省令・府令
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国家行政組織法第十二条 各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。
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各省大臣は、省令を発することができる。また、内閣総理大臣は、内閣府令を発することができる(内閣府設置法第7条第3項)
## 列挙
### "及び" 系列
#### "及び" の意味
"A 及び B" は、たいていの場合、A∪B を意味する。まれに A∩B のこともある。
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行政手続法第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。
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この場合、法律、法律に基づく命令、条例、地方公共団体の執行機関の規則の全部が法令に該当する。
"A 及び B をしなければならない" といった場合には、A と B の両方をしなければならない。つまり、この場合には A∩B である。
#### "及び" と "並びに"
"及び" の関係の中にさらに "及び" の関係がある場合には、外側の "及び" を "並びに" にする。
つまり、"及び" と "並びに" では、"及び" の優先順位が高く、"並びに" を解釈する前に "及び" を解釈する。
参考 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E7%AE%97%E5%AD%90%E3%81%AE%E5%84%AA%E5%85%88%E9%A0%86%E4%BD%8D
"及び" の関係が3段階以上になる場合には、最も優先順位が高いもののみを "及び" とし、ほかを "並びに" とする。つまり、"並びに" の関係の中に "及び" が入ることはあるが、"及び" の関係の中に "及び" が入ることはない。
#### 語の重複を避けるための "及び"
"A の B 及び A の C" という表現は、法令では避けられる傾向があり、こういった場合には "A の B 及び C" と表現される。そのため、法令では、
* A の B の C
* A の B の D
* A の E の F
* A の E の G
を "及び" の関係で列挙する場合には、
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A の B の C 及び D 並びに E の F 及び G
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となる。なお、この表現は、
* A の B の C
* A の B の D
* E の F
* E の G
を列挙していると解釈することや、
* A の B の C の F
* A の B の C の G
* A の B の D の F
* A の B の D の G
* E の F
* E の G
を列挙していると解釈することもできる。
### "又は" 系列
#### "又は" の意味
"A 又は B" は、たいていの場合、A XOR B(Exclusive or、排他的論理和)を意味する。A∪B のこともある。
たとえば、"氏名又は名称" といった場合、氏名か名称のどちらか(自然人なら氏名、法人なら名称)という意味になる。
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国会法第六条 各議院において、召集の当日に議長若しくは副議長がないとき、又は議長及び副議長が共にないときは、その選挙を行わなければならない。
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この場合、"議長若しくは副議長がないとき" は、原則的には議長か副議長のどちらかがないときを意味する。議長と副議長のどちらもないときを含むと解釈することも可能だが、この規定では、明確に "議長及び副議長が共にないとき" についても規定している。
#### "又は" と "若しくは"
"又は" の関係の中にさらに "又は" の関係がある場合には、内側の "又は" を "若しくは" にする。
つまり、"又は" と "若しくは" では、"若しくは" の優先順位が高く、"又は" を解釈する前に "若しくは" を解釈する。
"又は" の関係が3段階以上になる場合には、最も優先順位が低いもののみを "又は" とし、ほかを "若しくは" とする。つまり、"又は" の関係の中に "若しくは" が入ることはあるが、"又は" の関係の中に "又は" が入ることはない。
#### 語の重複を避けるための "又は"
"及び" とほぼ同じである。
### "その他" と "その他の"
#### "その他" と "その他の" の使い方
限定的でない列挙として、"その他" と "その他の" が使われる。
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行政手続法第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一(略)
二 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。
三 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
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2号で "その他" が用いられており、3号で "その他の" が用いられている。"その他" も "その他の" も、具体的なものを列挙した後に、抽象的な表現(2号では "公権力の行使に当たる行為"、3号では "自己に対し何らかの利益を付与する処分")を置くという構造は同じである。
"その他" と "その他の" の違いは、列挙されたものが抽象的な表現に含まれるかどうかという点にある。"その他" では含まれないが、"その他の" では含まれる。上の例でいうと、2号では、"行政庁の処分" と "公権力の行使に当たる行為" が並列的に列挙されているにすぎず、"公権力の行使に当たる行為" が当然に行政庁の処分を含むものではないが、3号では、"許可" "認可" "免許" は、"自己に対し何らかの利益を付与する処分" の例示であり、"許可" "認可" "免許" は、当然に "自己に対し何らかの利益を付与する処分" に含まれる。その結果、"以下「許認可等」という" とされた "許認可等" には、"許可" "認可" "免許" も当然に含まれることになる。
#### "その他" "その他の" と "及び" "又は"
"その他" も "その他の" も、並列して列挙されているものの間に "及び" や "又は" は用いない。そのため、"及び" "又は" は "その他" "その他の" の関係とは別の関係として読まなければならない。
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金融商品取引法第百二条の三十四 委託金融商品取引所は、業務執行の状況について、内閣府令で定めるところにより、定期的に、理事会に報告しなければならない。
2 理事会は、委託金融商品取引所の理事、取締役及び執行役並びに支配人その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求めることができる。
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2項の "その他の" は、"理事" "取締役" "執行役" "支配人" を並列的に挙げて例示しているものではない。もし並列的に挙げて例示したいなら "理事、取締役、執行役、支配人その他の使用人" としなければならない。この規定で "使用人" の例示として挙げられているのは "支配人" のみであり、"理事、取締役及び執行役" と "支配人その他の使用人" が "並びに" で結合されていると解釈すべきである。
"その他" "その他の" と "及び" との間に優先順位はない。そのため、
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A の B 及び C その他の D
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は、
* A の B
* C その他の D
が列挙されているという解釈や、
D の 例示として
* A の B
* A の C
が挙げられているという解釈などが可能である。
#### "その他政令で定めるもの" と "その他の政令で定めるもの"
"その他" の後の表現は前に挙げた具体的なものを含まない。一方、"その他の" の前に挙げられたものは後の表現の例示であり、後の表現は前に挙げた具体的なものを含む。
その結果、"A、B その他政令で定めるもの" という規定では、政令では A と B 以外について定めればよいが、"A、B その他の政令で定めるもの" という規定では、政令で A と B も含めて規定しなければならない。