就活生向け: 裏アカウント特定サービスからの特定を防ぐためのガイドライン === 筆者: [SttyK](https://twitter.com/SttyK), [znppunfuv](https://twitter.com/znppunfuv), [Passerby1_](https://twitter.com/passerby1_) ## はじめに 風が心地いい季節になってきましたね。先日公開されたねとらぼの記事によると、今月7日から[企業調査センター](https://kigyou-cyousa-center.co.jp)が新卒の就活生を対象とした裏アカウント特定サービスを開始すると発表しました。 > ねとらぼ「就活生の“裏アカウント特定サービス”が登場 88%の確率で裏アカウントを特定」2020/09/04, 参照日同日 https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2009/04/news105.html 裏アカウントの定義は不明ですし、88%という確率もどのように出されたものであるのか謎であり、実に眉唾ものです。 これは就活生のプライバシーに関わる大きな問題であると思います。そこで筆者たちは就活生に向けてプライバシーを保護するためのガイドを作成しようということになり、今に至ります。裏アカウント特定サービスを利用している企業を特定する方法があればそれを書いていたと思いますが、それよりも就活生がプライバシーに気を使う方がより効果的で大きな意味を持つだろうと思います。 本ガイドは裏アカウント特定サービスに怯える就活生だけでなく、自分を守ることが必須であるVtuberや活動家、日夜ストーカーから悩まされているあなたにも役立つ大衆向けのガイドとなっています。まずは技術的なことよりも意識することが大切です。本ガイドでは公開アカウントから順を追ってわかりやすくまとめています。 まずはサービス自体にどのような問題があるのか、その点を詳しく見ていきたいと思います。 ## 裏アカウント特定サービスにはどのような問題があるのか? ### 1. バックグラウンド調査自体について 今回の事案は「裏アカウント特定サービス」として話題になりましたが、当該サービスが名乗っている「バックグラウンド調査」という事業自体については、金融系企業や外資系企業などの採用活動において広く利用されているものです。大抵の場合、就活生は企業側から同意書が提供され、それに署名することにより、このようなバックグラウンド調査に同意することとなります。 - 学歴・職歴・資格などの情報が正しいか否か - 犯罪歴の有無・反社会的勢力との関係があるか否か - 前職での働きぶり・パフォーマンス といった項目についての調査・確認が行われていますが、近年、SNSなどウェブ上の公開情報を利用して、就活生についての調査を行うサービスが増えているようです。 上記記事以外で同様のサービスを提供している例: > 各種データベースの照会、新聞記事等各種メディア検索等の公表情報の確認・収集、各種図書館を利用した情報調査、各種SNSの特定や全般的なインターネット検索などを行い、調査対象に関する情報を収集いたします。 > > テイタン「ナレッジ - 調査方法 - データ調査」参照日:2020/09/05 > https://www.teitan.co.jp/knowledge/research/data/ ### 2. 本事例「裏アカウント特定サービス」の問題点 就活生のSNSのアカウントを特定するサービスには、以下のような問題点が考えられます。 - 本人から申告されたものでない以上、特定されたアカウントが本人のものであるという確証がない > 他人のアカウントと間違えてしまう場合や、当該の学生になりすましたアカウントとの見分けがつかない場合があるかもしれません。 - 誤ったアカウントと自分を紐づけられたとしても、通常それを知ることができない > 何か不都合な点があっても、不採用との通知を受け取るだけでしょう。 先に書いた通り、この様な就活生に対するバックグラウンド調査は、就活生の同意を得て行われる場合がほとんどです。採用時の調査は、以下のような法・指針によって規制されています。 >職業安定法 第五条の四 > > (一部省略) > 公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者は、それぞれ、その業務に関し、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 > >https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000141#44 > 労働大臣指針 平成11年労働省告示第141号 > 第四 法第5条の4に関する事項(求職者等の個人情報の取扱い) > > 1 個人情報の収集、保管及び使用 > > (1)  職業紹介事業者等は、その業務の目的の範囲内で求職者等の個人情報(以下単に「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないこと。ただし、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないこと。 > > イ  人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項 > > ロ  思想及び信条 > > ハ  労働組合への加入状況 > > (2)  職業紹介事業者等は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないこと。 > > https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-03.pdf > 厚生労働省「公正な採用選考の基本」 > (一部省略) > (3)採用選考時に配慮すべき事項 > 次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。 > > <b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握> > ・宗教に関すること > ・支持政党に関すること > ・人生観、生活信条に関すること > ・尊敬する人物に関すること > ・思想に関すること > ・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること > ・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること > > https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm 実際に、当該サービスも > 調査内容によっては対象者のプライベートにまで範囲が及ぶこともあるので、その場合に同意書を取らせていただくことがあります。 > > 企業調査センター「バックグラウンド調査」参照日:2020/09/04 > https://kigyou-cyousa-center.co.jp/bg/ > (以下、同サイトからの引用はURLのみ) と、就活生から同意を得る場合があると説明しています。 同意さえあれば無制限にこのような調査を行ってもよいものか、誤った紐づけ・判断がされる可能性が高く、それに対しての反論も難しいこういった手法を「公正な手段」と呼べるのか否かは疑問です。次項ではリクナビ問題と本サービスを比較することにより、この点を議論します。 #### リクナビ問題との比較 この会社のウェブサイトを読んでいて、1つ気になる点がありました。 > 弊社の調査報告は得られた情報をただ列挙して提出するのではなく、そこに**プロとしての見解を盛り込み、調査対象者の傾向や性格なども一緒にお伝えするようにしています。** それは主観的なものや感覚的なものではなく、長年の経験に基づいた統計的なもので確固たる論拠に基づいています。たとえそれが杞憂だったとしても、お伝えしなかったことにより何らかの問題が起こってしまうことの方がリスクだと考えるので、私たちはあえてこちらの見解もお伝えするようにしています。 > > 太字部分は引用元にもアリ > https://kigyou-cyousa-center.co.jp/bg/ [リクナビ問題](https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191226/k10012229231000.html)において、リクルートは採用活動を行っている企業に対し、(実際の所はどうであれ)あくまで実際の採用の判断には使用しないという条件(学生の内定辞退を防ぐためのサポートを行うためという名目)で、学生の内定辞退予測を販売・提供していました。 しかし、本事例では、そういった名目・条件すら存在せず、収集・分析した就活生の情報を、明らかに採用の可否の判断に使用してもらう目的で提供しています。 「長年の経験に基づいた統計的なもので確固たる論拠に基づいている」そうですが、これは、経歴の確認といった、就活生側から既に提出されている事柄の確認ではなく、就活生側から提出されていない、新たな判断要素を勝手に生み出しています。「たとえそれが杞憂であったとしても」と断っている通り、分析結果が誤りである可能性も高く、そういった情報の結果、不採用となる就活生もいることでしょう。 また、リクナビ問題と職安法の話については、 >> 厚生労働省は6日、同社に対し職業安定法に基づく行政指導を行った。就活生本人の同意の有無に関係なく、個人情報をもとに算出した内定辞退率を販売する事業自体が同法に違反すると判断した。 > >> 厚労省は「主な就活サイトはリクナビなど2~3種類に限られ、辞退率の利用に同意しなければ就活が実質的にできなかった」と判断した。就活生から同意を得ていたかどうかに関係なく、職安法が禁じる特別な理由のない個人情報の外部提供に当たると認定した。 > >日本経済新聞 電子版「リクナビに行政指導 辞退率販売、職安法に違反」2019/09/06, 参照日:2020/09/05 >https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49487690W9A900C1MM0000/ と、「立場の弱い就活生 vs. プラットフォーマー(リクナビ)」という構図において、「個人情報をもとに算出した内定辞退率を販売する」事業について「同意の有無に関係なく」職安法に違反するとの判断がされています。 ここでの問題は、本事例では「vs. プラットフォーマー(リクナビ等)」ではなく「vs. 求人者(企業)」と、相手が少し小規模となり「同意しなければ就活が実質的にできない」ないし「同意を余儀なくされた状態(https://www.mhlw.go.jp/content/000545728.pdf )」と言えるのか否か、また、今回の事例での調査や分析結果は、リクナビ事案の「内定辞退率」の程度に相当するものになるのか否かであると考えられます。 どれも個人の一意見ではありますが、この後者について整理すると、リクナビの内定辞退率と今回のSNS調査サービスでは、 - 得た情報から新たな情報・判断基準を生み出している - (リクナビ問題では時期によって異なるものの)本人とその情報が結びついている - 内定辞退率の結果や分析結果に誤りがある可能性がある - 結果が、採用不採用の判断に用いられる可能性が高い といった点で類似しています。加えて、今回のSNS調査サービスは、最初から、 > 対象者のSNSを調査しプライベートで⾒せる⼀⾯を調査します。 > https://kigyou-cyousa-center.co.jp/bg/ との紹介、「裏アカウント特定サービス」として宣伝・広報活動を行っており、 採用活動上の必要性があり、認められる可能性が高いであろう、 - 反社会勢力との関係の有無の確認 - 経歴詐称の確認 - SNS上での炎上歴の有無の確認 といった内容を超えて、 - 候補者の内面が知りたい - 候補者のプライベートを判断材料としたい > しかし、普段使っているSNSであれば、趣味嗜好やどんな日常を過ごしているのか、どんな考え方をしているかなどを知ることができます。 > > 企業調査センター「裏アカウント特定サービス『Sトク』が新規リリース」2020/09/04, 参照日同日 > https://kigyou-cyousa-center.co.jp/2020/09/04/stoku/ といった、採用活動上の必要性(絶対にそうしなければならないという理由)があるとは言いにくい、就活生の思想・信条、プライベートまでをも調査するという目的を持っており、たとえ就活生からの同意があったとしても、これが就職活動のあるべき姿といえるかどうかは疑問です。 ## ガイドを利用するにあたっての免責事項 :::danger 本ガイドを利用することで完全にあなたのプライバシーを保護できるわけではありません。機能変更などに応じて常にもっともよい状態に更新していく必要があります。また、本ガイドは犯罪を助長するものではありません。 ::: ## ガイドを利用する前に抑えておきたいこと - 匿名性をもって自分を守る > 自分を守るために匿名性というカバーを作成します。こうすることによってあなたを特定するための判断材料を少なくすることができます。また、匿名性は思っているほど頑丈なものではなく、容易に突き崩すことが可能であるということを忘れてはいけません。 - 敵のことをよく知る > 裏アカウント特定サービスがどのように裏アカウントをあなたを紐つけようとしているのか、どういう点を詳しく見ているのかを知ることで特定するための判断材料が何であるかを深く知りましょう。 - 悪いことはそもそもしない > 悪いことをするとあなたが調査対象者となる場合があります。それを防ぐためにまずそもそも悪いことをしないことが大切です。悪目立ちすることはすなわち自分に調査員が割り当てられる人数が増えていく可能性が高いことを意味します。 - SNSにおけるフォロワーの多さとあなたがその人を信頼できるかどうかはまったく別物と考える > 数字の大きさは信頼の証ではないので、何を信頼して何を信頼しないかをある程度調査した上でしっかりと冷静に見定めることをオススメします。 ## 敵対者の想定 ガイドを作成するにあたって相手のことをよく知る必要があります。そこで今回は以下のような場合を想定してガイドを作成しました。 - 敵対者はまとまった組織であり、他社の人事部や担当者の依頼に応じて調査を行っている - 敵対者は広範囲に公開された情報にアクセスできる。TwitterなどのSNS全般だけでなく、インターネット上にある公開情報、Google検索でインデックスされている情報全般など - 敵対者は前提として分析に```ツイート/フォロー/フォロワー/リスト/ファボ```を見ている - どんな人にどれくらい、どんなリプライを送っているのか。またどこに行ってどの時間帯にアクティブなのかも分析の対象としている - Twitterに関連したデータセットを他社から購入または自社で把握して持っていて、それを利用して調査を行っている可能性が高い - 自社の調査員に対して他社からの信頼は大きい - 調査員は経験豊富で様々なスキルを持った人間が複数名以上集まっているため、多角的に物事を見られる可能性が高い - SNSの公開情報からだけではなく、敵対者自身もSNSアカウントを作成して潜入している可能性がある - SNSアカウントを作成して、フォロワーや取り巻きを増やしてSNS上の界隈においてある一定の信頼を得ている可能性がある ## Twitter - [パスワードリセットの保護を有効化](https://twitter.com/settings/security)する > Twitterのパスワードリセットからあなたのメールアドレスを推測できる可能性がある。スマートフォンやウェブクライアントのどちらでも```設定→アカウント→セキュリティ```から設定できる。 > 登録メールアドレス/電話番号等の登録情報は、なるべく表向きのものと分ける。また、電話番号の電話用途以外の使い道は非推奨なので、不要な電話番号の登録は積極的に避けること。 - 不正アクセス防止 > パスワードは複雑にし二要素認証も有効化する。パスワード管理ソフトで管理することをオススメします。 - アカウント連携しない > 連携先にセキュリティの問題があったり、趣味嗜好の分析の危険性が潜んでいるため、アカウント連携はしないようにします。 - 誕生日やプロフィールはなるべく書かない > 調査員は履歴書などからあなたの誕生日について知っている可能性があります。ここで詳しいプロフィールを書くことでバレる可能性があります。もし書くとしても嘘の誕生日を入れるなどしましょう。 - アカウントの切り替えには細心の注意を払う > アカウントの切り替えをミスって誤爆することがよくあるので細心の注意を払ってひとつひとつ確認することをオススメします。また、別でブラウザをインストールしてそこだけでログインするか、別でスマートフォンやPCを用意してそちらで運用するのも一つの手段です。 - ショルダーハッキングに気を付ける > 調査員があなたをストーカーしてスマートフォンやPCをカフェなどで覗き見ている可能性があります。覗き見防止フィルムを貼ったり、人気のないところで、後部を確認しつつアカウントをチェック/ツイートすることをオススメします。 - 写真の投稿には気を付ける > 写真の映り込みには最大限の注意を払うこと。過去にストーカーが瞳の中に映り込んだ景色から女性の自宅を特定した事件がありました。 > ストーカー、「瞳に映った景色」で女性の自宅を特定 > https://www.bbc.com/japanese/50010809 - エントリーシートやアンケートなどでSNSアカウントを書く欄がある場合、できるだけ避けるかもしくはダミーのアカウントを用意してそのアカウントのIDを書く > ダミーのアカウントを用意することで、調査員の目をかく乱することができます。自分に紐つかないどうでもいいような情報を垂れ流すことでより真実味を増させることもできます。 - アカウントのIDを他のSNSなどで使いまわさない > IDを他にはない独自のものにしたのに他所で使い回すと芋づる式で様々な情報が露見してしまう可能性があります。 ### 公開アカウントの場合 ツイート内容だけではなく、フォロー/フォロワー/リスト/ファボまで相手(敵対者)は見て、日夜分析を行っています。 - 自分と紐づく情報の発信をしない > ユーザーネームは自分とは紐つかない適当なものを選択し、自分の思い入れのあるキーワードや名前を呟かないようにします。 - 表のアカウントと同じツイートをしない > 一番アカウントがバレる可能性が高いのは同じツイートを表でも裏でもしてしまうことです。これが起点となってアカウントが特定されたケースはいくつもあります。 - ツイート前に本当に大丈夫かどうかを考える > 公開アカウントでツイートする場合、それはどんな人にでもみられるということを意味します。本当に大丈夫かどうかを考えましょう。 - ツイートの時間帯をタイマー機能を利用してずらす > whotwiなどで分析された場合生活パターンを捕捉されにくくします。 - 偽情報を拡散する > ツイートに偽情報を混ぜておくことで調査員を撹乱させます。調査員を騙すために一番効果的なのは現実味のある嘘で、写真付きで投稿するとより現実味を増します。たとえば「近所の食堂でラーメン食べた(全く自分と関係のない別の場所で、別の日に撮影したラーメンの写真付き)」などがあります。インターネットで拾った写真ではなく自分で撮影したものを利用しましょう。Googleの画像検索で写真の使い回しが発覚する可能性があります。その場合調査員に怪しまれます。 - 自分が主に興味関心のあるor自分の趣味に関連したアカウントを一切フォローしない > 非公開リストを作成して自分の興味関心ごとをそれで管理するとなお良いです。 > こちらも自分に紐づく可能性があるため、無難なニュース関連のアカウントや特務機関NERVやNHKニュースなどのフォローを推奨します。 - 定期的にツイートとファボを削除する > 自分が思わぬところで分析されるのを防ぐために定期的に削除しましょう。また、後になって不要と思ったツイートやファボを削除することもまた有効です。 - 社内ネットワークから絶対にTwitterにアクセスしない > 社内ネットワークを管理している人にあなたのアカウントの存在を把握される可能性があります。 ### 鍵アカウントの場合 公開アカウントの場合を参考にしつつ、鍵アカウントでは以下の点に気を付けましょう。 - なるべく信頼できる人間だけフォローを通す - フォロワーを完全に信頼しない - 知り合いしかフォローしない - なるべく鍵アカウントのみをフォローする > Twitterの仕様上、リプライを送る側が鍵アカウントではない場合その内容は誰でも閲覧可能なため、会話を想像することも可能です。鍵アカウント同士でツイートのやりとりができるとなお良いです。 #### 公開アカウントを鍵アカウントにする場合 毎年、就職活動に入る前に「就職が終わるまで」と、今まで使っていたTwitterアカウントを一時的に鍵アカウントにする人を見かけます。不注意ならば、これも、その意味が薄れてしまうかもしれません。 - 公開アカウント時代のフォロワーを確認し、自分が把握していないアカウント・信頼できないアカウントはブロック(&ブロック解除)しておきましょう。 > 怪しいbotや、適当な名前のアカウントにフォローされていたりしませんか? とくに、鍵アカウントがあなたをフォローしたとしても(公式アプリ等では)フォロー通知が届きませんから、知らぬ間に、自分の把握していないフォロワーが増えているかもしれません。こういったものを放置すると、鍵アカウントになった後もツイートを見られてしまうかもしれません。 #### 春から○大 毎年、合格発表が出る季節になると「#春から〇大」といったタグを用いて、「よろしくお願いします!」と自己紹介するアカウントをよく見かけます。 こういったアカウントを無条件に信用していませんか? そのアカウントはもしかしたら、本物の新入生ではないかもしれません。少し待って、様子を見てみるとよいかもしれませんね。 ### ダイレクトメッセージ - 常に相手を疑うこと。また、こちらから相手がどんな人物かを調査してみる - ダイレクトメッセージでやり取りする場合も相手を完全に信用しないこと > あなたを特定しようとしている企業の担当者の場合もあります。 - 話していいことと、ダメなことの線引きをしっかり行うこと - そもそも法的にマズいことはしないこと ## 参考文献 > Twitter Activist Security > https://medium.com/@thegrugq/twitter-activist-security-7c806bae9cb0 ## 謝辞 最後にはなりますが、記事を査読していただいた[hsjoihs](https://twitter.com/hsjoihs)さん、[AussenNB](https://twitter.com/AussenNB)さん本当にありがとうございました。 --- ## 追記 2020年9月6日 ### 「同意を余儀なくされた状態」について この言葉は、リクナビ問題の際に、厚労省からリクナビに対して、職安法に基づく行政指導があった際に、同時に、業界団体へ出された要請(https://www.mhlw.go.jp/content/000545728.pdf )から拝借してきたものですが、 正確には、この言葉は、第五条の四についてではなく、第五十一条第二項 > 第五十一条 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(以下この条において「職業紹介事業者等」という。)並びにこれらの代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由なく、その業務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならない。職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。 ○2 職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者は、前項の秘密のほか、その業務に関して知り得た個人情報その他厚生労働省令で定める者に関する情報を、みだりに他人に知らせてはならない。職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。 についてのもの(2を遵守しなかったら3((略)職業安定法第51条第2項に違反するおそれもあるため)となるというような文脈において、2から文を拝借している)ではないかという意見がありました。 これについては、第五十一条において「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(以下この条において「職業紹介事業者等」という。」とされているため、当該サービスを利用する企業も、これに含んでいること。また、記事内でも取り上げた、指針(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-03.pdf )の法第五条の四に関する事項 (求職者等の個人情報の取扱い) において、 > 法第五条の四に関する事項 > > 一 個人情報の収集、保管及び使用 > > (二)職業紹介事業者等は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないこと。 > > 二 個人情報の適正な管理 > > (二)職業紹介事業者等が、求職者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないよう、厳重な管理を行わなければならないこと。なお、有料職業紹介事業者は特に厳重な管理を行わなければならないこと。 > > (一部省略) とあり、要請の2は「募集情報等提供事業や職業紹介事業等の運営において個人情報を取り扱う場合には、職業安定法及びその指針に基づき、特に以下の点を遵守すること。」であるため、同じ、個人情報を取り扱う際の指針として、このように並べて記載しています。 --- ### バックグラウンド調査の同意について >調査内容によっては対象者のプライベートにまで範囲が及ぶこともあるので、その場合に同意書を取らせていただくことがあります。 https://kigyou-cyousa-center.co.jp/bg/ とされている、同意書を取る名宛人が明らかでないため、もしかしたら、同意を取る先が「就活生」ではなく、「依頼企業」に対してかもしれないという意見がありましたので、紹介しておきます。 > Neutral8✗9eR (@0x009AD6_810) あと一点だけ気になったのはこの部分、引用元の「よくある質問」の該当部分を読むと同意を取るのは「就活生」ではなく「依頼企業」に対してなのではないかと思ったりしました。(法的にグレーである可能性が高いので紛争発生時の免責事項とか云々...) https://twitter.com/0x009AD6_810/status/1302487527031320576 関連して、あえて記事内には書いていなかった(個人の感想というか、はっきりしていない疑惑に近いものがあると思ったので)点についても感想をいただいたので書いておきますと(前述の通り感想程度のものであることを踏まえた上でお読みください)、 上の引用も「いただくことがあります」、記事内で紹介したもう1社についても、「データ調査でご用意いただくもの」として、同意書の類が含まれておらず(等 に隠れているのかもしれませんが)、あたかも同意書を取らないケースがあるかのような書き方をされています。(加えて、同社に限らず、バックグラウンド調査について「バレない」「本人に気づかれません」といった内容が記載されていることが多いのも気になります。どういった意味で「気づかれない」のかにもよりますが。) しかし、同意を取らずして行うことができるバックグラウンド調査とはいかなるものでしょうか? 企業が、バックグラウンド調査業者に、就活生の氏名・経歴などを伝えるにも、当然就活生の同意が必要となりますし、そこから、同意を得なくても済む、記事内に書いた規制らに引っかからないような情報を得る といったことが考えられるのでしょうか。個人的には疑問です。もしかしたら「SNS調査」といった類の調査は、ネット上の公開情報で完結するから、同意の類は必要ないという認識であるのかもしれません(邪推ですが)。 機会があれば、バックグラウンド調査の同意の取られ方の実際 といった内容も調べてみたいですね。