# 14章 酵素速度論 ##### tags: `ヴォート` [ToC] ### 化学反応速度論 #### A:素反応 $$ A→P :素反応 $$ $$ A→I1→I2→P (A反応物,P生成物,I反応中間体) $$ 反応式が $$ aA+bB+cC+...+zZ→P $$ の場合反応速度は $$ 反応速度=k[A]^a[B]^b[C]^c...[D]^d (kは速度手数) $$ #### B:反応速度 基本 $$ v={-d[A] \over dt} = {d[P] \over dt}・・・ (1) $$ * 1次反応(A→P) $$ v={-d[A] \over dt} =k[A] ・・・ (2) $$ * 2次反応(2A→P) $$ v={-d[A] \over dt} =k[A]^2 ・・・ (3) $$ * 2次反応(A+B→P) $$ v={-d[A] \over dt} = {d[P] \over dt}=k[A][B] ・・・ (4) $$ **一次反応速度式** (2)の式より $$ {d[A] \over [A]}≡dln[A]=-kdt $$ 0からtまで積分 $$ \int_{[A]₀}^{[A]} dln[A] = -k\int_0^t dt $$ $$ ln[A]=ln[A]₀-kt $$ $$ [A]=[A]₀e^-{kt} ・・・(5) $$ 半減期 $$ ln{{[A]₀ \over 2} \over [A]₀}=-kt₁/₂ $$ $$ t₁/₂={ln2\over k} = {0.693 \over k} $$ **二次反応速度式** $$ \int_{[A]}^{[A]₀} {-d[A] \over [A]^2} = k\int_0^tdt $$ $$ {1\over[A]} = {1\over[A]₀}+kt ・・・(6) $$ #### C:遷移状体説 ![遷移](https://i.imgur.com/fI4TEwj.png) ### 酵素反応速度論 #### A:ミカエリスメンテン式 $$ v={{Vmax[S]} \over{Km+[S]}} $$ $$ Km={{k(-1)+k(2)} \over k(1) }   Kmはミカエリス定数 $$ **(ラインウィーバー・バークの式)** $$ {1 \over v} = {{Kmax \over Vmax} ・ {1 \over [S]}}+{1 \over [Vmax]} $$ #### B:反応速度データの解析 ![](https://i.imgur.com/tE1tSjj.png  =400x250) ![](https://i.imgur.com/6kA55Gp.png) #### C:可逆反応 ![](https://i.imgur.com/p67C5oZ.png) ### 酵素反応阻害 **競合阻害** $$ v={{Vmax[S]} \over{aKm+[S]}} $$ ![](https://i.imgur.com/c5XgzbJ.png) $$ {1 \over v} = {{a・Kmax \over Vmax} ・ {1 \over [S]}}+{1 \over [Vmax]} $$ ![](https://i.imgur.com/7OUc67j.png) **反競合阻害(不競合阻害)** $$ v={{Vmax[S]} \over{Km+a’[S]}} $$ ![](https://i.imgur.com/tQvIhdR.png) $$ {1 \over v} = {{Kmax \over Vmax} ・ {1 \over [S]}}+{a' \over [Vmax]} $$ ![](https://i.imgur.com/zmfceCX.png) **混合反応** $$ v={{Vmax[S]} \over{aKm+a’[S]}} $$ ![](https://i.imgur.com/R6otIb6.png) $$ {1 \over v} = {{a・Kmax \over Vmax} ・ {1 \over [S]}}+{a' \over [Vmax]} $$ ただし $$ aまたはa'={1+{[I]\over Ki}} $$ ### PHの影響 酵素が pH の影響を受ける理由として、基質との結合が pH で変わるため、触媒の活性が pH で変わるため、基質のイオン化、酵素タンパク質の構造変化(極端な pH)が挙げられます。 単純な酵素の反応はミカエリス・メンテン式に従いますが、Vmax、Kmの値は pH で変わります。pHを変えて反応速度を調べれば、酵素の基質結合または触媒作用に関与する基の pK値がわかりますから、その基の推定に役立つ。 ### 2基質酵素反応 Bi-Bi反応という。 $$ A+B→P+Q $$ **逐次反応** 反応が起こり、生成物が酵素を離れるには全基質が酵素に結合しなければならないという反応。 この場合転移する基Xは基質A(=P-X)からBに直接移り、PとQ(=B-X)を生じます。このような反応を単置換反応といいます。 基質が酵素に結合する順序が決まっていれば定序機構、順序が決まってないならランダム機構といいます。定序機構では第一の基質が結合しないと第二の基質の結合部位ができないといえます。また、ランダム機構は両基質の結合部位が初めから酵素上にある場合です。定序 BiBi 反応は次のように表す。 ![](https://i.imgur.com/Bl4m1iF.png) **ピンポン反応** 全基質が結合する前に一部の生成物が離れる場合をピンポン機構といいます。この場合官能基Xは第一基質A(=P-X)から酵素に移り、Pと酵素型F(=E-X)を生じます。次にXが酵素からBに移り第二の生成物Q(=B-X)を生じ、酵素はEに戻ります。このような反応を複置換反応といいます。このピンポン BiBi 反応は次のように表されます。 ![](https://i.imgur.com/nDI5C6f.png)