# 1 ### 目標 - 人間中心設計やデザイン思想とはなんなのか - なぜそれをやった方がいいのか,やるべきなのか - それを実施する際のポイントは何か - その基礎となる社会科学,特に心理学について知っておいた方がいいこと - 利益につながる - 企業にとってはユーザビリティや UX は成功と失敗の境目 ### ものづくり(ことづくり)の変化 - 製品のデザイン(20 世紀に主流だった) - ハードウェア製品とソフトウェア製品 - 20 世紀はハードウェアが進化した時代 - 製品が機能的にも市場的にも飽和して行き詰まった - 製品,システム,サービスのデザイン(21 世紀) - モノのデザインとコトのデザイン,総じて人工物のデザイン - 人工物の対義語は自然物 - 対象のデザインから経験のデザインへ - 正確には経験の”ため”の - ”UX を高めるためのデザイン”という言い方が正しい - 生産性の向上から満足感の増幅へ - 人間工学という領域 - 人間工学的な最適化の 1 つの側面として生産性の向上がある - テーラーリズム - 働く人や利用する人の心の問題も重要なのでは? ### 設計とデザイン - 設計 - 工学系のイメージ - エンジニア - 古いイメージは数式や製図やプログラミング - デザイン - 美術系のイメージ - デザイナー - 古いイメージは,意匠(色形と素材) - これからのデザイン - 文理融合型デザイン - エンジニアリングがわかるデザイナーとデザインがわかるエンジニア - 社会科学がわかっているデザイナーとエンジニア - 特に心理学 ### 人工物デザインの二つの立場 - ユーザーの権利を守る立場 - 便利で使いやすく,嬉しい人工物.対価を払った物の権利 - 企業の利益を確保する立場 - 営利活動であり,福祉活動ではない - ただし,利益だけを追求していると,顧客(ユーザー)から取り残される - 宣伝・広告によるイメージ戦略はある程度は効果的だが,やはり実質が重要 - 本当に良い人工物をデザインするのが人間中心設計 ### ユーザや消費者のことを考えたデザイン - ユーザは単なる目新しさや多機能性や審美性などに惹かれることもある - しかし長期間の利用においてはユーザビリティや性能,信頼性,運用コストなどが満足感に影響を及ぼす - そのためには次の三点を把握してデザインに実現することが重要 - 人間としての一般的特性(社会科学,特に心理学) - 人間の持つ共通の特性 - ユーザの特性(ニーズ把握も含む) - 個々人が持つ特性(家族でも一人一人違う) - 利用状況 - こうしたデザインを人間中心設計という ### 繰り返し設計 - これまでも反復設計のメリットは語られてきた - ともかく作ってみて,評価してダメなところがあったらやり直す,という設計アプローチが大切 - これは設計サイクルに限らず,ライフサイクルについても言える - だめだったら新しいものを試そう - 食事も繰り返す - 親の夢を子供に託すみたいな - こうしたデザインを人間中心設計という ### そんなことならこれまでもやってきた??? - 実際のユーザを観察したり彼らから話を聞いたりして要求定義をまとめ用件定義をしてきたか - どのようなユーザを何人くらい? - 実際のユーザに使ってもらって,その状況(エラー,達成時間など)を調査して,ユーザビリティを確認したか - その結果からデザインのやり直しをしたか - さらに製品出荷後に(一般に半年から一年程度)に実際のユーザを実際の利用現場に訪問して彼らがその人工物を使っている状況について調査したり彼らの意見を聞いたりしたか - こうしたことをきちんとやるのが人間中心設計 ### 口先で「ユーザのことを考える」というのは - 考えているつもり - 多くの場合,そのベースとなっているのは自分とその周辺 - ユーザから学ぶ姿勢が大切 - 人間についての基礎知識が前提となる - 社会科学,特に心理学