# 2017年9月25日 実施 心理検査 ## WAIS - Ⅲ 心理検査報告書 【被検査者】 佐竹涼太 男性(22歳6カ月) 右利き←(本当は左利きです) 【検査者】 平山綾香 【実施検査】AQ日本版、WAIS - Ⅲ 【検査実施日】2017年9月25日 【依頼医師】 八島医師 【検査時の様子】 「家に忘れ物をしたので20分遅れます」と事前連絡あり、慌てた様子で来院する。服装はワイシャツにスーツパンツ、ビジネスバッグ。受け答えは丁寧で、敬語を使ってハキハキと話すが、髪型や着衣は乱れた状態のままであった。検査場面では「あ、WAIS-Ⅲなんですね。ちょっとしらべてきたんですよ」と検査用具をのぞき込もうとしたり、「お水もらえますか?あ、じゃあ今買ってきていいですか」と中断して水を買いに出たりする姿が見られた。検査には意欲的に取り組んだが、中盤になると疲れと頭痛を訴え数分の休憩を希望した。途中、わからない問題があると笑い出したり、回答中に「雑談なんですけど」と話がそれることがあった。 終了後の感想:「やー疲れましたね、真ん中1時間くらいで頭痛くて、集中し過ぎて疲れた。うまくいったと思うのは最初の言語系。でもパズルみたいなのは苦手でしたねー、全然わからなかった」 --- ### 【検査結果】 #### 【AQ - RR】 31/50点(カットオフポイント:33/32点) <領域> 社会的スキル ・・・ 5/10 (非ASD/HFA社会人群平均 3.4±2.38) <u>注意の切り替え ・・・ 9/10 (非ASD/HFA社会人群平均 4.3±2.06)</u> <u>細部への関心 ・・・ 7/10 (非ASD/HFA社会人群平均 4.9±1.96)</u> <u>コミュニケーション ・・・ 7/10 (非ASD/HFA社会人群平均 2.8±2.07)</u> 想像力 ・・・ 3/10 (非ASD/HFA社会人群平均 3.2±1.67) --- カットオフポイントぎりぎりの水準であり、注意を要する。自閉症スペクトラム的傾向は強いと考えられる。幼少期の様子や発達歴などの情報を確認するべきであろう。 領域別では「注意の切り替え」、「細部への関心」「コミュニケーション」において平均範囲を超えている。注意の焦点を必要に応じてスムーズに切り替えることは難しく、本質的ではない些細なところが気になってしまう傾向があるようだ。またコミュニケーションスキルの低さは本人も自覚しており、他者との交流や新しい関係を築いていくことは概して不得手であるといえる。 --- #### 【WAIS - Ⅲ】 <IQ> 言語性IQ:112 (信頼区間90%: 107 - 116 水準:平均~平均の上) 動作性IQ:84 (信頼区間90%: 79 - 91 水準:平均の下~平均) 全検査IQ:100 (信頼区間90%: 96 - 104 水準:平均) <群指数> 言語理解:122 (信頼区間90%: 115 - 126 水準:平均の上~高い) 知覚統合:91 (信頼区間90%: 85 - 99 水準:平均の下~平均) 作動記憶:83 (信頼区間90%: 78 - 91 水準:境界線~平均) 処理速度:84 (信頼区間90%: 79 - 92 水準:境界線~平均) <言語性> 単語18 類似12 算数9 数唱5 知識12 語音8 <動作性> 完成11 符号9 積木6 行列9 配列4 記号5 組合4 --- 全IQは100、「平均」の範疇に該当する。全般的な知的能力は平均に位置しているが、言語性IQと動作性IQの間には統計的な優位差が認められた。群指数指標間では「言語理解」が122と他の指数に比べて突出して高く、「知覚統合」「作動記憶」「処理速度」はいずれも平均を下回る水準であった。 一般的知識や語彙の習得量は年齢に期待される水準を大きく上回っており、カテゴリー的思考や社会的ルールの理解も十分に出来ていることがうかがえた。一方で、複雑な問題においては多弁的、迂遠的かつ精度の低い回答が目立ち、過不足なく的確な言葉を選び取ることは難しいようであった。 非言語的な情報を用いて思考、推理する能力は平均をやや下回り、特に細分化された部分的情報から全体像を推測することは不得手である。 注意を持続させ、聴覚的な情報を正確に取り込んで操作する能力、視覚刺激を早く正確に処理する能力はともに同年齢平均を大幅に下回っていた。<数唱>では数字が5桁になると正確に想起することは難しく、聴覚的短期記憶の弱さがうかがえた。<記号探し>ではミスが頻発しており、注意力の低さが見られた。 --- ### 【総合所見】 このたびのAQ、WAISⅢの結果より、自閉症スペクトラム的傾向が強く、全般的な知的能力は平均に位置しているものの、それぞれの能力には大きな個人内差があることが認められた。 言語を扱う全般的な能力は同年齢平均の水準を大きく上回っており、学校や職場で獲得するような語彙や一般的知識は十分に習得できている。ただし抽象的言語概念を扱うための表現力はやや精度に欠けており、物事の本質を的確な言葉で効率的に伝えることは難しいようだ。現実場面で他者とやりとりする際は、「多弁的であるが的を射ない話し手」となってしまう可能性が高いだろう。同様に、話し相手の意図を的確に汲むことも苦手であり、会話に齟齬が生じることも考えられる。 非言語的な情報を扱う際には、「部分」から「全体」を推測したり、バラバラになった部分的情報をひとつにまとめていくことが不得手であるといえる。例え目の前に手本が示してあってもその通りに組み立てることが難しく、精度も低くなってしまう。同様にプランニング能力も弱く、長期・短期に関わらず時間を適切に配分し計画を実行することが不得手である。日常生活において、遅刻、課題遂行の計画がうまく立てられないといったことが頻発するのは、これらの能力の低下の影響によるものが大きいであろう。 加えて、聴覚的な情報を一時的に記憶し、操作する能力は同年代集団と比べて大きく低下している。日常生活においてや仕事の場面において、口頭で伝えられる大量の情報を正確に記憶にとどめておくことは非常に困難であろう。作業遂行速度の低下も認められ、扱う情報が複雑になると途端にミスを頻発してしまうことがうかがえた。 上記の「時間配分やプランニングが適切にできない」「口頭で伝えられた事を正確に覚えていられない」「作業速度が遅く、精度が低い」といった問題は、今後の就労場面においても強く影響するものと考えられる。現在は職場にて研修中ということであるが、今後実際の業務を任される際は、これらの問題を補うような何らかの対策は不可欠となるだろう。またASD傾向やADHDからくる症状についてもより詳しく聴取し、トラブルの原因や今後の予防策について本人・周囲・治療者が理解することも重要である。それらを今後の職場や生活の環境調整に活かすことが、本人へのより良いサポートに繋がると思われる。
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