# AIに負けない子どもを育てる ## 「意味がわかって読める」ために 「読解力」があるかないかで子どもの成長は大きく変わります。 ※読解力と偏差値には相関があります。 以下のメモは 「AIに負けない子どもを育てる 第9章.意味がわかって読む子どもを育てるために」 より抜粋した著者が考える「小学校を卒業するまでに身につけておきたい基礎的・汎用的スキルおよびそれに対する対応(考え方)」になります。 興味を持った方は、是非本を読んでみてください。 [AIに負けない子どもを育てる](https://www.amazon.co.jp/AI%E3%81%AB%E8%B2%A0%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%82%92%E8%82%B2%E3%81%A6%E3%82%8B-%E6%96%B0%E4%BA%95-%E7%B4%80%E5%AD%90/dp/4492762507/ref=sr_1_1?adgrpid=69528620545&gclid=CjwKCAiAvonyBRB7EiwAadauqcwuU1l_Qcw6J6xnv8TomuYbhcxJj9jq-AkwYjAum-XC6BM4GKbgkhoCOfQQAvD_BwE&hvadid=347488493036&hvdev=c&hvlocphy=1009278&hvnetw=g&hvpos=1t1&hvqmt=e&hvrand=12418403666237571724&hvtargid=kwd-801565783582&hydadcr=3636_11125054&jp-ad-ap=0&keywords=ai%E3%81%AB%E8%B2%A0%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%82%92%E8%82%B2%E3%81%A6%E3%82%8B&qid=1581434360&sr=8-1) ## (幼児期) 1.身近な大人同士の長い会話を聞く機会を増やすこと。特に多様な年代の大人同士の会話を聞く機会があるとよい。 2.身近な大人が絵本を開いて、繰り返し読み聞かせをしてあげてほしい。大人にとって繰り返しは往々にして苦痛だが、幼児にとっては繰り返しが楽しい。 3.信頼できる大人に、自分は守られている、という実感を持てること。 4.社会(文字、数、貨幣、移動手段、調理など)に関心を持つようになったら、ごっこ遊びができる環境を作ったり、広告や駅名を読んでやったり、(電子マネーではなく)貨幣で何かを買ったり、簡単な調理を一緒にしたりする機会を増やしてあげたい。 5.日々の生活の中で、子どもが身近な小さな自然に接する時間を取ること。たとえば、水は高いところから低いところへ流れること、そのときに水が物を押し流す力があること、夕方最初に大きく光る星(宵の明星)があること、月が満ち欠けすること、秋になると紅葉し落葉する木とそうでない木があること、花をつける植物は種ができたり実をつけたりすること、鳥が巣をかけてその中に卵を産みヒナを育てること、などが含まれるだろう。子どもが十分に満足するまで、そのことをじっくり観察したり感じたりする時間を取ってあげたい。 6.子どもが自分の関心に集中できる時間を十分に確保すること。 7.同世代の子どもたちと、十分に接する機会が確保されること。また、少し年上の子どもたちがすることを真似たり、憧れたりする機会が確保されること。 ## (小学校低学年) 1.読めても、書くことが難しい子は多い。話すことと異なり、文字(書記言語)は、人類最大の「発明」であり、技術だ。書くことを身につけるのは自然なことではない。それなのに小学校1年生の夏休み明けまでに多くの子が五十音を書けるようになるのだから人間はすごい。  長く書くことが苦痛にならない持ち方で鉛筆(2BかB)を持ち、マスの中におさまるように丁寧に字が書けているか、見守ってほしい。特に、「ば、び、ぶ、べ、ぼ」などの濁点、「ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ」などの半濁点、「きゃ、きゅ、きょ、しゃ、しゅ、しょ」などの拗音、「きっと、やっと」などの促音、「おかあさん、おにいさん」などの長音、「コーヒー」などの長音符につまづく子(特に男子)は多い。この時期の発達は分散が極めて大きいので、焦らず、諦めずにほどよい距離で見守り、手助けしてあげてほしい。叱りつけたりドリルをさせすぎると、勉強への苦手意識につながったり自己肯定感が下がるので気をつけたい。 2.「バッタがはねた」とか「カラスが電線にとまった」など、主語と動詞と目的語を使って見たことを短い文で説明できるとよい。リーディングスキルの最も基盤となる、係受け解析につながるスキルだ。そして、それに形容詞や修飾節をつけられるようになっていくと中学生にスムーズに移行ができる。家庭環境の差や、幼児期に(日本語を母語とした)多様な大人に触れているかで差が出やすい時期なので、第8章で紹介した「何がどうした?」遊びなどを通じて、分の基本構造を理解したり、語彙を増やしたりする機会を十分に与えたい。 3.生活習慣が乱れていないかを注意する。睡眠や食事、排便がしっかりできていないと、特に集中力を必要とする作業(算数など)で脱落しやすい。朝の時間に眠そうにしていないか、小さなトラブルでパニックに陥りやすいことがないか、教員は様子を観察し、家庭と情報を共有する。 4.小学生は高学年に至るまで、発達の分散が相当に大きい。最近は一人っ子家庭が多いので、標準以上に発達していないと、保護者は「自分の育て方に問題があったのでは?」とすぐに落ち込む。が、睡眠・食事・排便に気をつけていて、ネットやゲーム依存にさせず、十分に体を動かしていて、日々母語で話かけているなら、親ができるのはそれくらいだと大らかに構えたほうがいい(しかも、幼児期には今さら戻れない。後悔しても意味がないので、前を向いたほうがいい)。この時期に上手に書けない子、落ち着かない子、他の子の身になって考えられない子、教師の指示を聞けない子は、ごくふつうにいる(我が家は夫も私もそうだった)。加えて、この時期の発達の早い・遅いは中学生以上の成績を左右しない。先生も、他の生徒に危害を加えない限りは、長い目で見てあげてほしい。ただし、それは放置することとは違う。定期的に働きかけて、発達の機会を見逃さずに適切な課題を与えることで、他の生徒との差を縮めてあげてほしい。これは手間がかかるように聞こえるかもしれないが、低学年・中学年で基本的なスキルの差を縮めておけば、高学年以上の指導が圧倒的に楽になる。 ## (小学校中学年) 1.板書の分量を徐々に増やし、1時限に一度は3分くらい集中して板書を写す時間を設ける。発達が遅めで時間内に写せない生徒には最初は穴埋めプリントを渡す。「プリントが欲しい人はいますか?」とオープンに尋ね、必要とする生徒はそれを使ってよいこととする。書ける速度を確認し、徐々に卒業できるよう励ます。手間がかかるように聞こえるが、中学年でプリントから卒業してくれれば、小学校高学年以上を担当する教師はプリント作りそのものから解放される。 2.国語以外の科目、特に理科や社会の教科書の音読をする。特に、「〜を…という」のような定義を表す文が出てきたら、全員で復唱する。 3.読書を奨励する。読書が苦手な生徒には、前の日に勉強した教科書の箇所を読むことを勧める。 4.(気持ちや状況を共有していない)第三者に伝わる表現を工夫できるようになることを目指す。低学年まで子どもは主観の中で生きているし、それが自然だ。彼らにとって客観を身につけるのはハードルが高い。主観で自分が見たこと・したこと(例:「いつものところに置いた」)をそのまま文にしても背景知識や状況を共有していない第三者には伝わらない。20世紀には、登下校の時間に「昨日は何をして、どんなテレビ番組を見たか。何がどのように面白かったか」を話し合ったりする機会が豊富にあった。しかし、リアルタイムに情報を共有できるスマートフォンの普及によって、背景知識が異なる友達に、どうしても何かを説明しなければならない、という機会が激減した。リンクをシェアすれば済んでしまうからだ。授業時間に家から学校までの道のりを説明したり、物の名前を言わずに特徴を説明することでその物をあてるゲームをさせたりすることを通じて、客観的に説明する方法を身につけていきたい。家庭でも、日中の時間をあまり共有しない保護者(例:母親が主として育児を担っている家庭の父親)は自宅ではネットワークをオフにして、学校であったできごとに興味を持って子どもの話に耳を傾けてほしい。 5.生活科が理科と社会に分かれ、理科ならば日光や気象、植物や天体の観察を通じて、自然の仕組みについて学んでいく。社会ならば、自分の住んでいる町のことから、日本の地理や歴史へと広がっていく。産業についても学び始める。これが、「生活体験」というリアルな意味や具体例を、記号列として表現された「抽象概念」につないでいく上での基盤になる。この段階で、穴埋めプリントをさせすぎると、意味・具体から切り離した記号の暗記に陥りやすくなる。具体例を挙げさせたり、理由を口頭で説明させたりすることで、意味として知識を獲得しているか念入りに確認したい。 6.算数で筆算が始まる。注意力が十分でないと、7や9などを区別がつくように書いたり、桁を合わせたり、繰り上がりを正しい箇所に書いたりすることにつまづきやすい。算数が苦手なのではなく、集中力をコントロールすることが難しいだけなので、つまづくようなら最初は穴埋め式でさせ、できるようになったら徐々に「補助輪」を外していく。集中力をコントロールしたり、手順を確認したりすることが必要な遊び(例:プラモデル、編み物、ジェンガなど)を提案するのもよいかもしれない。 7.算数で割り算や分数が始まる。これは子どもが初めて出会う「相対」という概念だ。乳児でも、1個と2個の違いはわかる。6個のりんごを3人で分けると、1人2個ずつになる(等分除)、ということもほとんどの3年生はわかる。けれども、1ドル100円が1ドル90円になったら、円高だということは、大人でもわからない人は少なくない。「1ドル100円のとき、90円は何ドルですか?」という相対的な考え方(包含除)は、自分を中心に世界を理解する絶対的な価値観の中で生活していた子どもにとって、極めてハードルが高い。言うならば、天動説から地動説に変わるようなものなので、混乱しても仕方がない。それまで算数の計算問題で満点を取っているのに、突然70点以下を取る場合、「相対」につまずいていることが多いので注意して見てあげてほしい。 8.理科で「月の満ち欠け」で「相対」が登場する。月と太陽と地球の関係によって欠けたり満ちたりする。相対を理解する上では、発達段階がそれを受け入れられるところに達しているかにかなり依存するので、一度でわからなくても、諦めずに日を置いて働きかけてほしい。動いている電車から別の電車を見ると、止まったり、後ろに下がったりしているように見えることがある。だが、やはり「相対的に」そのように見えるに過ぎない。このように子どもが納得しやすい「相対」に意識を向かせたり、手で動かせる模型などを使ったりして、機会あるごとに「相対」について繰り返し意識を向けさせる。 9.相対や抽象概念など、中学年では身の回りの生活体験だけからは容易に答えが出ないことに関して「論理だけで考えぬく力」を試される機会が増える。論理の運用も発達の差が出やすい部分だ。ドリルやテストでプレッシャーをかけ過ぎると、成績が良い生徒ほど暗記に走りがちになる。暗記で良い点を取ると、その成功体験を繰り返そうとし論理的に考えること(リーディングスキルでは「推論」)から逃避する。この後、暗記以外の方法では学べなくなると、伸びしろが小さくなるので、注意が必要だ 10.記述式で解答する場面が増えるので、科目ごとに答え合わせの仕方を日常的に指導する必要がある。(主観を書くような問題以外では)記述式の答え合わせとは、模範解答と同義の内容を書いているかどうかを判定し、同義でなければ同義になるように修正することである。リーディングスキルでは「同義文判定」に当たる。驚くべきことに、 **ほとんどの学校で、記述式の答え合わせの仕方の指導をせずに生徒まかせにしている。** そのため、自分が書いた答えが模範解答と異なると、自分の答えを消しゴムで消して、模範解答を写す生徒が少なくない。それではいつまでたっても同義文判定の能力が上がらず、自学自習できるようにならない。隣の生徒同士、あるいは班で答え合わせをするグループ学習を導入するのも効果的だが、必ず、「消しゴムは使わず、赤で修正する」ことを徹底する。また、修正する際、「なぜ、これでは同義ではないか」を論理的に説明するよう指導する。 11.観察や実験、調理実習、社会科見学などで「見たこと。体験したこと」についてメモを取り、時系列で正確に文字や図、表やグラフを使ってレポートとして表現できるようにする。リーディングスキルでいうと「イメージ同定」に当たる部分だ。その際、主観的な表現(「〜が面白かった」「〜と思った」など)を制限するルールを設ける。サイエンスハイスクールの生徒や有名大学の理系学生でも、科学のレポートで「〜と思いました」を平気で連発することは珍しくない。まず小学校で「見たことを正確に文章にする」ことを指導することが大切だ。「見たことを正確に書くだけだと、全員同じ答えになり個性を発揮できないのでは?」と思う人は、人間の多様性をもっと信頼したほうがいい。ぜひ、第8章のオセロの授業で、6個のオセロの玉の並べ方を表現するだけで、どれだけ多様な表現が出るかを見てほしい。 12、図工で「見たとおりに描く」活動をしっかりと位置づける。正確に図を描かせると生徒間の差が出やすいこともあり、最近は各々描きたいことを描いたり、「春の予感」をテーマにインスタレーションをさせる、というような授業が増えている。が、中学年で目の前にある比較的単純な静物を描けるようにし、高学年に向けて、校内の様子(教室や廊下など。細かいところまで描かせると意外に難しい)や手や顔などを「見たとおりに」描けるようにしたい。 ## (小学校高学年) 1.高学年になると、徐々に発達の差が縮まってくる。一方、中学年までに生じた基礎的スキルの差を放置すると学力の差は広がる。①暗記やドリルに頼る、②自己肯定感が低く諦めやすい、③試行錯誤を怖がり他の人の作業を見てから作業を始める、④グループ活動で意見を言わない、ようならば注意が必要だろう。放課後補習、無科塾などの活用も検討する。 2.発達の差が縮まりつつある機会を捉えて、穴埋めプリント、ドリル類から徐々に卒業させ、板書をリアルタイムで写せるように指導する。 3.新聞を読むことを奨励する。いくつか新聞記事を用意し、興味のあるニュースを選ばせて読ませる。順番を決めてニュースを読み上げさせる。ニュースの要約を200字程度、感想を200字程度で書かせる宿題を出す。 4.前提条件を共有している他者に対して甘えや反抗が出始める時期。たとえば、「先生、紙」「あり得ないし」など、わざと説明を省いて相手(教員や保護者)を自分の要求どおりに動かそうとすることがある。きちんと説明すれば聞いてもらえるが、いい加減に説明すると聞いてもらえない(繰り返し説明させられる)ことを学ばせたい。学校全体のルールとして確立し、「あの先生は察してくれるのに、この先生は面倒くさい」と感じさせないことが重要。 5.算数や理科・社会で、専門用とその定義(偶数、円周率、水溶液、山脈・平野など)が増えてくる。円周率が約3.14であることはほとんどの生徒が知っているが、それが「円周の長さと直直径の比」(直径が1であるようなときの円周の長さ)であることを説明できる生徒は極めて少ない。定義を正確に理解し、それを運用できるようになる、ということは、「直径が2であるときの円周を求めなさい」という練習問題が解けるようになることとは、本質的に違う。新しい言葉を定義するときの、やり方を学校内、学年で統一しておき、定義が出てくるときには必ず「とは」を使って説明させることを繰り返す。確認テストでも、円周率とは何か、というような問題を必ず出す。前の単元の復習としても定義を問う問題を出して確認したい。 6.理科や家庭科で、手順とおりに作業をしたり、手順を説明したりする場面が増えてくる。「見たとおりに表現する」「時系列に書く」「客観的に表現する」ということが、中学年までにしっかり身についているかどうかが試される場面だ。手順を表すには、行頭数字をつけた箇条書きが有効だが、「どうやって箇条書きすればよいか」を指導している学校は極めて少ない。中学年では直観的に箇条書きを読ませたり、書かせたりしてもよいが、高学年になったら、箇条の区切り方が適切か、手順に濡れや重複がないか、時系列に並んでいるかなどを客観的にチェックし、修正できる能力をつけたい。 7.算数の文章題で抽象的な操作が出てくるようになる。特に相対に関する問題の図(テープ図)や図形の操作に関する問題の図を書けなくなると算数の教科書は読めていない可能性が高い。算数や理科の教科書の音読や、定義を口頭で説明させる、分数のあたりから概念構築のやり直しなど、十分に時間の余裕がある小学生のうちに手当をしてあげたい。 8.抽象概念が盛んに出てくるようになり、推論能力なしには一日の授業内容をその日のうちに理解することが難しくなる。濃尾平野や奥羽山脈など固有名詞は暗記する以外にはないが、日本列島の図を書いて、どのあたりに山脈があるかを認識させる。そこからどの辺りはどのような理由でどんな気候になるか、どうして河川と平野ができるか、平野ができるとどのようなメリットがあるかなどを論理的に説明できるようになることが望ましい。 9.複数の段落から成る文章(この本ならば1節分)を読んで、その内容を200字程度でまとめることができるようになることが望ましい。それには一段落あたり50字以下でまとめる必要がある。冗長な表現を修正したり、複雑な状況を端的に説明する語彙を獲得したりする必要が生じる。 10.「とても」「すごく」「〜と思った」「よかった」などの定型的な文体に逃げ込まないよう、制約をつけて表現を工夫させる。数量を用いたり、仮説を立てて、検証するような文章表現へとレベルアップさせる。 11.漢字・計算テストや単元テストは乗り切れても、学期末、学年末テストでの成積が振るわないようならば、暗記とドリルに頼りすぎている証拠だろう。上記のどこかのスキルが身についていない可能性が高い。一つずつチェックし、基礎的スキルを身につけ、準備ができた状態で中学校に進学してほしい。