放射線に対する基礎知識 --- #### 平田篤司(東海高校・理科) --- # 放射線とは 原子核が別の原子核に変化(核反応)する際に、放出される高エネルギーの粒子 - 不安定な原子核は「自然と」別の原子核に変化する(**放射性崩壊**または単に**崩壊**という) - 核反応は外部の要因によって「無理やり」起こすこともできる(例:**核融合**・**核分裂**) --- ## 崩壊と半減期 崩壊はある瞬間突然おこる。一つ一つの原子核については崩壊がいつ起こるか予測はできないが、崩壊の確率は原子核の種類(**核種**という。原子核を陽子の数と中性子の数で分類したもの)によって決まる。 この崩壊の確率を表す目安として、ある核種の原子核の数が半分になるまでの時間(**半減期**)を用いる。ある瞬間における原子核(この核種の半減期を$T$とする)の数を$N_0$とし、その瞬間から時間$t$経過したときに崩壊せずに残っている原子核の数$N$は、 $$ N=N_0\left(\dfrac{1}{2}\right)^{\dfrac{t}{T}} $$ で表される。 **問:** 半減期$1$年の核種が100個あった。1年後、2年後、3年後に崩壊せずにのこっている核種の数はそれぞれいくらか? --- ### 半減期 - ウラン235 7.03億年 (核燃料の主役) - ウラン238 4.47万年 (核燃料の脇役、プルトニウム239に変わる) - プルトニウム239 2.41万年 (核燃料の準主役) - LLFP(長寿命核分裂生成物) - 79Se 29.5万年 - 93Zr 153万年 - 99Tc 21.1万年 - 107Pd 650万年 - 126Sn 10万年 - 129l 1570万年 - 135Cs 230万年 --- ## 臨界とウラン濃縮 - ウラン235に中性子をぶつけると3つの中性子を放出 - 放出された中性子が他のウラン235にあたると連鎖的に反応が起こる - 連鎖的に反応が起こるようにウラン235の密度がそこそこないといけない - ウランの存在比 - 235 0.7% - 238 99.3% - 原子炉の燃料として国内ではウラン235を 3-5% にまで濃縮して利用 --- ## 放射線の何が危ないのか 分子が壊れる程度に一つの光子がもつエネルギーが大きい→DNAにあたると重大な損傷が生じる ### 水素分子**1mol**を燃焼させたときに生じる燃焼熱 $$ \mathrm{H_2 + \frac{1}{2} O_2 = H_2O + 142 kJ} $$ ### 重水素**2つ**が核融合したときに生じるエネルギー $$ \mathrm{ ^2_1H + {^2_1H} = {^3_2He} + {^1_0n} + 3.27 MeV} $$ #### 比較すると $$ \mathrm{1 MeV = 1.6\times 10^{-15} kJ }$$ $$ \mathrm{1 mol = 6.02\times 10^{24}} \text{個}$$ --- # データを見るために ## 放射線の種類 |名称| 正体 | 電離作用 | 透過のしやすさ |放射線荷重係数 | |---|---|---|---|---| |$\alpha$線|$\mathrm{^{4}_2He}$の原子核|大|小|20| |$\beta$線| 電子 | 中 | 中| 1 | |$\gamma$線| 光子(電磁波) | 小 | 大 | 1 | |中性子線| 中性子 | 小 | 大 | 2.5~21 | 出典:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成26年度版) --- ## 放射線の強度を表す物理量 |名前| 単位 | 定義 | |---------| -------- | -------- | |(なし)| Bq(ベクレル) | 単位時間あたりの崩壊数 | |吸収線量| Gy(グレイ) | 物質1kgあたりに吸収されるエネルギー(J/kg) | |等価線量| Sv(シーベルト) | 人体に対する影響の大きさ($=$放射線荷重係数$\times$吸収線量) | |実効線量| Sv | 人体の部位に対する影響の大きさ($=$組織荷重係数$\times$等価線量)| |空間線量率| Sv/y, Sv/hなど | 単位時間あたりの等価線量 | ※同じ等価線量でも、低い空間線量率の放射線を長時間浴びた場合と、高い空間線量率の放射線を短時間浴びた場合では、後者のほうが健康被害は大きい --- ## 現在の福島県の状況 vs 2011年の福島件の状況 [福島県放射能測定マップ](http://fukushima-radioactivity.jp/pc/) ### 参考 空間線量率の世界平均 約2.4 mSv/y(約0.28 $\mu$Sv/h) 空間線量率の日本平均 約1.5 mSv/y(約0.17 $\mu$Sv/h) --- ## 内部被ばくと外部被ばく - 内部被ばく 体内にある放射性物質によって放射線を浴びること 長期間にわたって放射線にさらされ続けるため、吸収線量が大きくなる - 外部被ばく 対外にある放射性物質によって放射線をあびること 放射性物質から離れれば被ばくは防げる ---
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