###### tags: `Kakedas` # 開発チームの評価制度を調査 ## 開発チームの評価制度 - 大手の技術評価に対するブログまとめ https://paiza.hatenablog.com/entry/2019/05/10/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%80%81%E4%BB%96%E7%A4%BE%E3%81%AF%E4%B8%80%E4%BD%93%E3%81%A9%E3%81%86%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%8B ### ゆめみ https://note.com/raykataoka/n/nc913806a4440 #### 自己申告制 - 転職時の希望年収申告を入社後も繰り返す制度 - **前提ルールは申告前にキャリア面談を実施することのみ** - その後は代表取締役が承認を行う - **年収想定の理由を書いてはいけない。正当性を主張してはいけない** - 給与の正当性は証明できない - **交渉やプレゼンが上手い人が得をする不公平性の回避** - 自分の価値を問い続ける機会を失わないため - 給与は投資という観点 - 経営者が信じて投資するという見方において、「えいや」で決めるものと言える - **給与が自身の価値を問い続ける。という視点が発生する** - 本人の健全な価値判断の醸成に繋がる -> セルフマネジメントの前提 - 給与とは「活き活きと生きるために必要なエネルギー」 - 生活不安解消制度として不安を解消するために必要な給与を設定して良い - 不安を取り除いてから成長に目を向けることができる状態にする - 給与のばらつきが原因で、より高級の会社に転職したがってしまう - **情報の非対称性による適正給与水準の認知不足** - 経営者のみが相場を知っている場合だと、従業員が相場よりも低く給与を提示した際に人件費を抑えたままにできるメリットが生まれてしまうため、以下は対策である - **キャリアパスと職位に応じた年手想定のモデル提示** - **社内ロールモデルとなる人がどの職位にあるかの参考提示** - **星取表によるメンバーのスキル保有状況の可視化** - 給与改定前にキャリア面談を行ってもらい、必要に応じて人材市場における給与相場の情報提示 - 3年に1回、あるいは節目の時期に転職活動を実際に行なってもらう - メンバー同士、お互い給与公開をしあう - 給与は個人情報だが、自ら公開するのは構わないというスタイルで社内の開示状況は50% - **Kakedas 内の想定モデルと現状働いているメンバーの大体xの給与 & スキルの可視化を行うことである程度コントロールすることも可能** - 毎月再就職(リエントリー)していると捉えることができるため、毎月給与は改定可能という仕組みを取っている - もちろん提示された金額を経営者が受け入れない、もっと低い額 or 高い額を提示するということが在籍中に起こることを示している #### 自己決定制 - 経営者の承認不要 - 新卒入社は想定として450万円以上を提示 - 給与額を自己決定している他社の例 - 給与額を全面的にオープンにする - 等級、職位をフルオープン - 給与の昇給はばをフルオープン - 給与を一律にする - ゆめみは給与は非公開 - 誤り防止のため、給与の意思決定は本人と給与決定の主担当(ゆめみは代表取締役) #### 自己決定制の改定 - 原因 - **本人と経営者の給与変更の応酬などが起こり、本人への精神的ダメージや経理への負担が発生してしまった** - 改善策 - 年収レンジの公開(昇給レビュー) - **職種ごとのメンバーが参加する Slack チャンネルに提示してレビューしてもらう** - レビューをもらった上で、別のワークフローで申請し、具体的な給与が決定する(最終的な金額は非公開) - 3人以上のレビューが必要 - 昇給調整 - 昇給レビューを出し辛いメンバーのために、代表が強制的に給与を上げる制度 - ピアボーナス制度 - 4半期に1回、メンバー同士で明らかな成果、貢献があった場合にメンバー同士がお互いにボーナスを支給し合うもの ## Voyage Group https://speakerdeck.com/makoga/technology-assessment-2018-04-25?slide=2 ### エンジニアの技術力評価 - 技術力評価会 - 4段階のグレードで昇格を賭けて行われる - 評価者を自分の部署と他部署からそれぞれ2人選定する - 一週間前までに資料を提出し、当日2人に対してプレゼンする - 2人はそれぞれレビューを行う - 本人にフィードバックを行い、全体で振り返りを行う - 評価軸 - 事業に対する理解を深めてほしいなどの狙いもある - 社外評価者を導入する - 評価者の負担が高いのは問題だったため ### 感じたこと - **昇格の評価のために資料を作成してプレゼンすることが、本質的なタスクとなり得ない気がする** - 業務以外の時間をかける必要があるのが疑問 - **ゆめみのときに問題視されていたプレゼンが上手い人が有利に働くという問題は起こりそう** - 360度評価はこの問題に効果的に感じる ## GMO ペパボ https://tech.pepabo.com/2018/06/14/engineer-assessment/ - プルリクエストを作成して、立候補者はなぜその職種に相応しいのかを下記の3点をベースに主張する必要がある 1. 作り上げる力 2. 先を見通す力 3. 影響を広げる力 - エンジニアの業績考課、グレード評価は全てオープンなリポジトリになっているのでパートナーから閲覧が可能な状態で運用されている - 評価者も被評価者も高い客観性のある記述が求められる ## 面白法人 カヤック https://www.kayac.com/company/institution ### 給与制度 - サイコロ給 - 運の要素を数%付与 - 月給ランキング - みんなで社員を報酬順に並べて、その投票結果を集計して出す - プロデューサー賞与 - 事業責任者が完全主観で社員に賞与を割り振る - スマイル給 & コブシ給 - 気の利いた言葉を送る制度 - 直してほしいところを言葉で伝える制度 ### 評価制度 - 360評価 - **給与ではなく成長のため** - ファーストブレスト - 入社後の目標設定 - ファイナルブレスト - 退職を決めた社員と行う。会社がこうだったら転職しなかったなどの意見をもらう制度 - 旅する鞄持ち - 社長についてく制度。社長とコミュニケーションをする + 業務を見ることで若手の育成を手助けする - クリエイターアサインシステム - 脅威のあるプロジェクトに事業や職種を超えてアサインできる - 面白法人指数 - **あなたは面白く働けていますか?を10段階で評価する** - 同じ仕事を志望している人に、カヤックを薦めたいと思いますか? - 満足度でなく薦めたいかどうかを重視する ## スタートトゥデイ https://careerhack.en-japan.com/report/detail/282 ### エンジニアのための評価基準は設けていない - エンジニアには疑いの目を常に持ってほしい - 言われたことのみを実装するのではダメ。なぜ開発するのか、をきちんと理解するようになって欲しい。 - 採用は人柄重視。カルチャーフィットが8割 - エンジニアの成長のために小さな成功体験をたくさん積ませる - **全職種を同じ軸で評価する** ## メルカリ https://type.jp/et/feature/9341/ ### 評価システムを内製化 - **グレードや等級で評価を縛りたくないため、それは行っていない** - システム内で、 OKR, 自己評価、360度評価、マネージャーの目線合わせ、フィードバックを一元管理。社員データベースも作成 ## サイボウズ https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m005330.html ### 給与テーブルなしの評価制度 - 等級やグレードはなく、給与モデルもない。 - **「あなたが転職したらいくら?」 という市場価値で給与が決まる** - 世の中の転職支援会社のデータやサイボウズへ中途入社した人の前職年収や年齢のデータを活用して算出している - スキルと経験 - 職種 - 経験年数、経験内容 - 属性 - 年齢・地域 - 納得いかない人は給与交渉 - 転職サイトで提示された年収を材料にする - 転職を交渉条件に出す - 全メンバーに給与交渉に来てほしい - 若手メンバーは自分の市場価値を知らないため消極的だが、それも含めて自立してほしい ## ソニックガーデン https://finders.me/articles.php?id=257 ### 給与一律、賞与山分け - 管理職のいない会社 - **セルフマネジメントできる人材の獲得** - ノーレイティング - ランク付による評価をやめて、リアルタイムなフィードバック主体な評価に変えていくと言う方法に近い - 評価すること自体を辞めてしまった - **人事評価をせず、入社期間で多少の差異を設け、基本的に給与はほぼ一律で賞与は山分けにする考え方をベースにしている** - 入社直後から 1年ごとに評価なく定額で昇給していく。一人前のラインに並ぶとストップする - 新卒や若手採用は”弟子”として採用する。弟子も一律ではなく毎年決まった額の昇給制度がある - **顧客ビジネス、知識集約ビジネスなので、成果が稼ぎに反映される。人数と売り上げは連動していて稼いだ分を分配すると考えれば個人ごとに大きく差をつける意味はない** - 1人が受け持てるクライアント数を元に計算すれば、会社として適切な給与水準の額面を弾き出すことができる。担当するクライアント数を同じにすれば1人当たりの稼ぐ金額も同じになる。 ### 評価を無くして得られた効果 - 評価の数字を追いかけすぎない - **評価する人を向いて仕事をしてしまうことになりがちを除外する** - 評価がないので目の前のお客様に集中して仕事できる - チームで助け合って働くためにも良い影響を与えている - **個人評価ばかりを重視する必要がないので成果の奪い合いが発生しない** - 評価する側される側の依存関係をなくすことができる。 - **評価が過ぎれば心理的依存をうみ、自律心を失わせる** - **管理職の評価による時間的負担を無くすことができる** - **評価がなければ心理的安全性が保たれる関係性を作ることができる** ### 管理とマネジメントの違い https://kuranuki.sonicgarden.jp/2019/03/management-kanri.html - マネジメント - 成果を上げることが目的 - そのためになんとかすること、やりくりすることの意味 - 管理 - 手段にすぎない - 楽に成果を上げることを追求した結果、管理を無くした - 最小の労力で最大の成果を得るため ## はてなチーム https://developer.hatenastaff.com/entry/2018/05/30/173000 ### エンジニアメンター制度 - 全てのエンジニアにメンターが1人つく - 基本的にチーム外のシニアエンジニアがメンターとなる - 目標設定、毎月の 1on1 、評価、メンター間での情報共有を通じてメンティーの悩みの早期発見、解決、成長支援を行う - 評価時期に専門スキルと言う観点でメンティーの評価を行う - メンター制度の課題 - メンティーの役に立っているのか判断できず、メンターも手応えを感じていないことがある - メンターのやる気に依存しており、メンターの負荷が高mっている - メンターとなった時に初め何をしたらいいかわからない ## シリコンバレーの人事評価制度 https://www.youtube.com/watch?v=DgHWcFPxH5A ### 360度評価 - 上司も部下も外部チームも全てから評価される - メリット - パワーハラスメントなどが減る - デメリット - 部下に厳しくできない、上司の言うことを聞くイエスマンになってしまう - 日本では360度を導入していてもうまく活かしきれていない印象 - 評価があっても年功序列が強い - 忖度が発生して機能しない可能性がある - シリコンバレー - 評価によって、解雇や降格があり得る。良い成果にはしっかり給与などのフィードバックするなどインパクトが大きい - マネージャーの仕事とエンジニアの仕事がぶつかる可能性 - MTG をたくさんしたいマネージャーと MTG で生産性が下がるエンジニアでお互い評価を上げるための行動がぶつかることもある ## 日本における360度評価の事例(問題点) - 従業員同士の忖度が当たり前になり、健全な社内コミュニケーションが取れなくなる - 評価者開示で心理的安全性がない状態 - 嫌われたくないから部下への教育を緩めに行う - 同僚に悪い評価をつけると自分も同じように付けられそうだから良い評価にしておこう - 評価にショックやストレスを受けた従業員のモチベーションが低下する - フリーコメントにバリデーションを設けておらず、伝え方が言葉の凶器になっている場合がある - 業績評価や人事考課に組み込んでしまうのは歪んだフィードバックを生む原因になってしまう。 - (評価が何かしらに反映される仕組みでなければいけないとは思う) - 評価後のアフターフォローがない - 評価の管理をポイントで行わない、PDCA サイクルを回す。 ## キャリア評価制度を調べて感じたこと(2023/2/1) - 評価制度は、働く人の価値を正確に見定め、公平で充分な給与を与える仕組みであることが大前提である。 - 成長、育成、モチベーション管理、目標設定など評価する理由はたくさんあるが、きちんと評価した内容に見合った報酬を与える - マネジメントを主体として働くポジションの場合は良いが、エンジニアなどの技術職に就く人に評価をさせることは、生産性の面から効率が悪いように思える - セルフマネジメントができるような人材を増やしたいなら評価制度を自体を無くすこともありかもしれない - 評価されることがモチベーションに繋がる層も一定数いると思う - 売り上げを山分けする事業モデルは面白い。それぞれの仕事の成果が給与に反映されるため、給与を上げるために自分たちで努力する必要がある - 一人一人が売上に直結する仕事をできない場合はモチベーション管理が難しいかも。(クライアントワーク x エンジニア)の組み合わせでコンサル兼開発をしているソニックガーデンだからできる形態かも - 人材を抱えるコストという考え方は捨てていきたい。あくまで人材に投資している感覚を忘れたくない。 - 評価と給与を切り離して考えることで、仕事に集中できる可能性もある - サイボウズの毎月転職と言う考え方で世間の市場価値を給与に反映し、納得できなければ交渉を行う、と言う制度は離職防止にも繋がるし社内の給与モデルに従う必要がないので柔軟に自分の市場価値を高めることに集中できそうな気がする ## エンジニア企業の人事評価 https://techplay.jp/column/396 - 事業の成長(成果)と個人の成長は違うベクトルにある - 会社として評価するかどうか