プロジェクトジャンタニレポート20190804 === ###### tags: `KUSANAGI PROJECT` ## 概要: ジャンボタニシについて 1981年に台湾から食用として持ち込まれたが、人気が出ない上、広東住血線虫という寄生虫を宿しており、食用とした際に十分な加熱がされていないと最悪の場合は死に至る。 そのため各地に養殖場が作られたものの、廃業となりほったらかしになり、現状に至る。 ジャンボタニシは雑食であるため、稲や雑草、動物の死体まで何でも食べる またジャンボタニシは正式名称ではなく正しくは - スクミリンゴガイ - アップルスネイル と呼ばれる 成熟すると体長は50mm~80mm程度になる コイ、スッポン、カルガモが捕食をすることがあるらしいが、 - 田んぼには普通コイはいない(水位が低いため) - スッポンは導入コストが非常に高く、盗難が相次ぐよう - カルガモによるジャンボタニシの駆除実験が岡山で行われており、成功している模様 - 雛のエサにジャンボタニシの卵を混ぜ合わせたものを与え、味を覚えさせて捕食対象として学習させる ### 産卵について 2週間程度で孵化する。20〜30mmのサイズになると交尾可能で鮮やかなピンク色の卵を高い場所に産み付ける 卵は水に弱く、水中では孵化することが出来ない また卵内部には神経性の毒があるため天敵がおらず、現状では人為的に取り除く外、対処法がない 約10日で孵化し、2ヶ月程度で成熟して産卵を行う様になる サイクルが非常に早く繁殖力が強い ### 概要: 日本原産のタニシについて 最もポピュラーなタニシで日本各地で目にすることが可能 自分の中でのタニシといったらこのどちらか - マルタニシ(30mm〜60mm程度) -> 準絶滅危惧 - ヒメタニシ(最大30mm) ![](https://i.imgur.com/rr2g3L7.jpg) 左: マルタニシ 右: ヒメタニシ - オオタニシ(60mm〜70mm程度) -> 準絶滅危惧 ![](https://i.imgur.com/81HV4wN.jpg) 1.より抜粋。ジャンボタニシと在来タニシを見分けるヒントになり得る外観上特徴について ![](https://i.imgur.com/EnqNPRL.png) ref: [レッドリスト2019pdf](https://www.env.go.jp/press/files/jp/110615.pdf) どのタニシも植生であり、基本的に藻や植物プランクトンなどを主食としている ため稲への食害はない。 強力な濾過作用があり、水田の水質を向上させる効果がある。 ### 産卵について ジャンボタニシと異なり、卵を産卵せずに稚貝を産む。そのため稚貝がよく、くっ付いていることがある。一度に数匹しか産むことが出来ず、繁殖力はジャンボタニシと比べるとかなり低い ## ジャンボタニシによる被害 ### 食害 田植え直後の2週間程度の間に最も被害が発生する。 稲の若芽に対して強大な食害を引き起こし、最悪の場合は田んぼの稲が全滅する。ある程度稲が成長してからは甚大な食害を起こすことはないとされる。 世界の侵略的外来種ワースト100にランクイン ジャンボタニシは南米原産ということもあり、寒さに非常に弱い。そのため、従来であれば日本での越冬は困難であるが、近年の気温上昇により、越冬する個体が増え、個体数が増え続けている __実際に食害を受けた水田__ ![](https://i.imgur.com/Ge4y6N3.jpg) ほ場 ---> 作物を育てる面積を指す ![](https://i.imgur.com/gUjA5cz.jpg) 1.より抜粋(出典の記述がなかったため、何処出のデータかは分からなかった) ![](https://i.imgur.com/Bht8KPF.png) ### 在来生物への影響 ハワイと東南アジアの一部ではジャンボタニシの生息地拡大によって、在来貝類の現状が確認されている(2.を参照(数値は明示されていない)) ## 現在行われている対策・駆除方法 ### 対策 - 水の高位を調節することで若芽の苗をジャンボタニシに食害させない手法 - 厳寒期に耕うん(土を掘り返す)ことで寒さにさらし、もしくは貝を潰す - 成長した苗を植える - 駆除をあきらめ、共存する営農(雑草を食べさせる -> 水位を管理することで可能ではあるらしい) - 水路と田んぼを繋ぐ箇所にネットを設置して田んぼへの侵入を防ぐ ### 駆除 - 卵を削ぎ落とし、水に沈める - 薬品による駆除 - ジャンボタニシが負の極性の電気に集まる特性があることを利用した駆除 - 生物農薬(アイガモなど)による除去 依然として被害は拡大を続けている。 手軽な対策法がなく、費用がかかる上に、シンプルな方法は時間がかかるためだと考える ## このプロジェクトの将来性について 多くの自治体(主に千葉県、岡山県、九州各地)が助けを求める声を上げており、提携先や研究機関を探している [この資料](http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/hukyu/h_event/h_event/attach/pdf/dream2-14.pdf)の最終ページに駆除の夢についてある通り、まさに機械学習の出番ではないか。 引用 > ピンクの卵を認識することが出来ないか > 貝を砕くロボット ## 第1回撮影(20190804)と考察 結果としては10枚ほど撮影して撮影を中止した 以下、懸念点というか詰めるべきと感じた点をリスト出しした ### 撮影における懸念点 - 撮影を行なったのは13:00~の日中であるため、日差しが強く自身の影が写り込んでしまうため撮影難易度が高い - 日中は影に集まる様であぜ道から撮影可能な場所に個体をあまり確認することが出来なかった - 1ヶ所に密集していることが多く、撮影距離を統一するという条件において個別に撮影することが難しい。 - 単純にカメラ技術がなく、上記の条件をクリアする方法が分からない それぞれに対する対策方法案(上から順に) - 夕方もしくは曇りの日に撮影を行う - 撮影場所を変更する(地元18ヶ所程度には良い場所は無かったので出張する) - 個別ではなく複数撮影をしても良いかを共有(しても良いと考える) - カメラに明るい人に意見を仰ぐ ### 要件定義をするべきと感じた点 - 単体のみで撮影するのか複数個体を撮影しても良いのか(密度が高すぎるのが気になる) - 一旦、タニシを回収後に順に判定をかけていく方が難易度が下がるのではないか(現想定:A。Bにした方が難易度が低い?) - ## A - タニシがジャンボタニシか在来タニシかを判定 - ジャンボタニシであった場合に回収 - ## B - タニシを全て回収 - 内部でジャンボタニシか在来タニシかを判定 - 在来タニシである場合、回収しない(吐き出す) - ジャンボタニシ本体(個体)を回収することも重要だが、数を減らすのに効果があるのは卵を回収することであるため、視点を変えて卵の回収にした方がよいのではないか ## フィードバック(20190805) ### 問題 - ジャンボタニシの分類と在来タニシの分類 -> ジャンボタニシの卵の探索じゃね? ### 卵の探索をするための問題点 - どのようにして田んぼ全体をマシンが動くかを考える必要がある(ルンバのアルゴリズムが参考にならないか) ### タスク - 徳住(~ 8/8): 卵の探索アルゴリズムの調査(ルンバのアルゴリズム、レスキューロボットのアルゴリズム、強化学習?、など) ## 参考文献 [1.スクミリンゴガイの生体と防除](https://www.city.kikugawa.shizuoka.jp/nourin/documents/tanishi1.pdf) [2.要注意外来生物に係る情報及び注意事項](https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/detail_mu.pdf) [3.九州沖縄農業研究センター スクミリンゴガイについて](http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/karc/applesnail/prevention/024935.html)