LCR共振回路 === # 目的 LCRによる直列共振の実験に基づく理解 # 理論(原理)  LCR直列共振回路とは、上の回路図において、共振をおこした状態の回路である。 回路のインピーダンスが電気的に抵抗のみになり、共振時には最大の電流が流れる。 この状態について詳しく説明するため、LCR直列回路のインピーダンスを考えてみよう。 $インピーダンスZ_{LCR} = R + j \omega L + \dfrac{1}{j \omega C}$ だから、 キャパシタのjを分子にもってきて $= R + j \omega L + \dfrac{j}{-\omega C} = R + j \left( \omega L - \dfrac{1}{\omega C} \right)$ となる。 そのため、ここで誘導性リアクタンス$\omega L$と、容量性リアクタンス$\frac{1}{\omega C}$が一致する時、$Z_{LCR} = R$となる。 この状態の時、キャパシタとインダクタについて、模擬抵抗成分がゼロとなり、電流値無限大となるので、この回路は共振する。 このとき直列共振回路の特性として ### 共振角周波数 共振時に $\omega L = \dfrac{1}{\omega C}$ を満たすから、$\omega = 2 \pi f_0$と置き換え$f_0$について解き $$f_0 = \dfrac{1}{2 \pi \sqrt{LC}}$$ 共振角速度$\omega_0$を使って書き直すと、 $$ \omega_0 = \frac{1}{\sqrt{LC}}, f_0 = \frac{\omega_0}{2\pi}$$ ### 電圧拡大率 パーツ定数から求めてみよう。 ここでは、インダクタの端子電圧$V_L$と全体の電圧$E$で比較してみる。 $V_L = ω_0LI_0$だから、 $$Q=\cfrac{V_L}{E}= \cfrac{ω_0LI_0}{E} = \cfrac{ω_0L\cfrac{E}{R}}{E}$$ 共振角速度$\omega_0$,キャパシタのインピーダンスを使って書き直すと、 $$ Q = \frac{1}{\omega_0 CR}$$ # 実験 共通の測定機器として、 - オシロスコープ(OSC): Tektronix TDS2022C C014186 - ファンクションジェネレータ(FG): 横河計測 706012 91H211469 - テスター: サンワ CD770 16025011790 ### 素子パラメータ - リアクタンスL 10mH - キャパシタC 330pF - R 51Ω (いずれも公称値) (測定1と測定2,3では別の部品を使っているので、実測の共振周波数が変わっています。) ここでのRは、Q=100となるRを$Q=\frac{\omega_0 L}{R} = 55.048..$求め、近い値の抵抗を用意したことによる。 ### FGの設定 - RANGE 10V - FUNC 正弦波 - AMPL 5V - PHAZE 0deg - OFFSET 0V - FREQ 共振周波数87.61KHz=$f_0$ がある。 ## 直列共振回路の測定1 ### 回路図  ### 手順 1. 位相差が0度になる周波数を見つける(実測値の$f_0$を見つける) 1. 周波数をを1の周波数を基準に変えていき、「$f, V_{1_{P-P}}, V_{2_{P-P}}, \phi(位相差), V_{2_{P-P}} \frac{5}{V_{1_{P-P}}},最大値(共振時)による規格化値$」を記録する 1. グラフを書き、Q値を求めてLCR値から得られる理論値Q値と比較する <!-- 1. 共振点前後で位相差の正負が入れ替わる現象を考察 --> ### 実験結果   ### 考察 #### Qをグラフの鋭さから求める 半値幅は$2\Delta f$で共振点$\omega_0$よりQ値と半値幅の関係は$Q=\frac{\omega_0}{2\Delta \omega}=\frac{f_0}{2 \Delta f}$となる。 グラフより半値幅(ここでは、-3db,0.707付近の拡大率になる2つの周波数を探した)を読み取ると、 $2\Delta f = 85.0-83.5 = 1.5$kHz $$Q = \frac{f_0}{2\Delta f} = \frac{84.1}{1.5} = 約56.1$$ 理論値ではQ=100なので、その誤差は43.9%。理論値と実験値は大きく異なる結果となった。 #### Qの理論値と実験値が違う理由 Qが低くなったのには2つの理由があると考えられる。 まず、FG側の出力抵抗の影響が考えられる。 共振値から大きくはずれた時、この影響が無視できなくなるのでQの値が小さくなる。FGで設定した電圧よりも小さい値がかかるのだ。特にR=51Ωのときには0.505V、約半分になる。 また、コイルの寄生抵抗も考えられる。 コイルは理想的には抵抗値0であるが実際には一定の抵抗値、寄生抵抗をもつ。そのため、共振時のインピーダンスはこの寄生抵抗rを足したR+rとなる。 ここでは、この寄生抵抗の存在を考慮していなかった。 参考:rを推定してみると $\frac{Q_{実験値}}{Q_{推定値}} = \frac{56.1}{100}\frac{R}{R+r}$より $r= 51 \frac{100}{56.1} - 51 = 約 39.9Ω$ ## 直列共振回路の測定2 ### 回路図  ### 手順 周波数を変えた時、$V_0$と$V_R$の位相の関係を求め、記録した。90度に近い位相差がオシロで観測出来るか調べた。 $V_0$(CH1)を基準とした$V_R$(CH1)の位相、また、90度に近い位相量がオシロで観測出来るか調べてみる。 ### 結果 周波数が82.3kHzのとき、 $V_{0_{P-P}}$が128V、$V_{R_{P-P}}$が1.18Vで位相-90.8となった。 ### 考察 共振するときは、両リアクタンスが打ち消し合って全体で位相のズレはないはずなので、 ここでインダクタの誘導性リアクタンスは正のリアクタンスなので、位相を電流より90度早めていて、 また、キャパシタの容量性リアクタンスは負のリアクタンスなので、位相を電流より90度遅らせている。 そのため、インダクタの起こす位相のズレと、インダクタとキャパシタの起こす位相のズレ(つまりFGと同じ位相)の間の位相を測れば位相のズレは当然90度である。 $V_C$が、FGの出力電圧$V_0$よりも大きくなるのは理論より、 $V_C=\cfrac{1}{ω_0C}I_0=\cfrac{1}{ω_0C}\cfrac{E}{R}\quad$ なので$\cfrac{1}{ωCR}$倍になるからである。 ## 直列共振回路の測定3 ### 回路図  ### 手順 $V_L$を共振周波数付近で測定する。 共振点での$V_L$と、理論的Q値(パーツパラメータから)、実測Q値の関係を求める。 ### 結果 周波数が82.3kHzのとき、 $V_{L_{P-P}}$が122V、$V_{0_{P-P}}$が4.32Vで位相-70.1となった。 ### 考察 共振点での$V_L$と理論的Q値、実測Q値の関係は、 $\cfrac{Q_理}{Q_実} = \cfrac{\frac{1}{\omega_0 CR}}{\frac{f_0}{2\Delta f}}$ また、$V_L$が大きくなったのは、 理論より、共振状態のとき$V_0$の電圧は$V_0=ω_0LI_0=ω_0L\cfrac{E}{R}\quad$なので、元の電圧より$\cfrac{ωL}{R}$倍になっているためである。 ### まとめ - 実験するときは、出力抵抗の影響や寄生抵抗の影響を考慮に入れる - インダクタの誘導性リアクタンスは正のリアクタンスなので、位相を電流より90度早め、キャパシタの容量性リアクタンスは負のリアクタンスなので、位相を電流より90度遅らせる。 - 共振状態のときはインダクタやキャパシタの端子電圧が通常よりも上がる。
×
Sign in
Email
Password
Forgot password
or
By clicking below, you agree to our
terms of service
.
Sign in via Facebook
Sign in via Twitter
Sign in via GitHub
Sign in via Dropbox
Sign in with Wallet
Wallet (
)
Connect another wallet
New to HackMD?
Sign up