# リキッドデモクラシーと二乗投票(Quadratic Voting)を使って票の集中を抑える投票システム ## 二乗投票について 二乗投票では、ある期間ごとに票を買うためのクレジットを配布し、投票の際にクレジットを使って投票する。 1票を1クレジットの2乗した値とする。 例えば、2票買えば4クレジット、3票買えば9クレジットといった風に必要な票が増えるとそれに応じて必要なクレジットは指数関数的に増えていく。 クレジットで票を買えるようにすることの最大の目的は、投票にマーケットの原理を取り入れることだ。 限られたクレジットを使い、自分にとって価値の高い議題により多くの投票をすることで、本当に必要とする人が利益を得られるようになる。 また、指数関数的に必要なクレジットが増えることで、票の買い占めを防ぐことができると考えられている。 なぜ二乗なのかは、簡単にいうと、個人が全体に影響を及ぼすために支払うコストは、個人がもつ影響の割合ではなく、その二乗に基づく必要があるからだ。 詳しくは、[Radical Democracy ― 革命的な民主主義を実現するためのQuadratic Votingについて](https://alis.to/AB2/articles/aoNXAZLjkY0q)にて述べられている。 [DemocracyEarth](https://github.com/DemocracyEarth/paper)にて採用されている。 ## リキッドデモクラシーのデリゲート 毎回特定の個人に票が集まれば、それ以外の投票者の意思が反映されなくなっていく。 直接民主制の投票制度の中で、結託が生まれた場合、間接民主制と同様に、票の独占が起きる。 これを防ぐには以下のいずれかの方法が考えられる。 - デリゲート回数に期間ごとの上限を設定する - デリゲート票と通常の票に重みをつけ、デリゲート票の価値を下げる ### 1. デリゲート回数に期間ごとの上限を設定する これは最も単純である。例えば、1日ごとに1回議題が上がるとする。10日間のうち、デリゲートできる回数は5回までと定める。そうすることで、常にデリゲートする人間は限られた回数のデリゲートをどの議題に使うか考え、より自分にとって価値のある議題を選択するようになる。 これは、二乗投票と同様に、限られたリソースを自分が最大利益を得られるように個々人に考えてもらうことで、投票の結果の質を高めることができる。 ## 市民攻撃を防ぐために アカウントを大量に作成すれば、その分、票を集めることができる。これはリキッドデモクラシーと二乗投票の両方にとって発生し得る攻撃である。 ブロックチェーンシステムにおいて、市民攻撃とは、ピアツーピアネットワークのID偽造を示している。 これを現実世界で防ぐ場合、 日本ではつくば市でマイナンバーカードを使って実証実験がされ、アメリカではVoats社が政府発行のIDとなる写真と自撮り画像を照合して個人を特定している。 ([ブロックチェーン 第9回 ブロックチェーンで実現する新しい選挙の形 | Digital Disruption Tech(トレンド解説) : 富士通](https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/contents/trends/07/09/)) [DemocracyEarth](https://github.com/DemocracyEarth/paper)では、独自にID照合用のプロトコルを備えたレイヤーを用意することで実現している。 ([Human-first: Decentralizing Identity and Governance in the Artificial Intelligence Era](https://words.democracy.earth/humans-first-decentralizing-identity-and-governance-in-the-artificial-intelligence-era-4a2ddbbdda90)) ### 個人を特定しつつ匿名性を保つ方法 完全に個人を特定する方法は、現状は人間を介する必要がある。一番身近にあって個人を特定するのに役立つデバイスはカメラである。そこで、個人を特定する際は画像、もしくはビデオを認証機関に送るのが現実的な案だと思われる。 その他、必要だと思われる技術をあげる。 #### ZK-STARKs 匿名性を保つ方法として、[ZK-STARKs](https://eprint.iacr.org/2018/046.pdf)(ZK-SNARKsではない)が提案されている。 ZK-STARKsは以下の3つに適している。 - 投票システム - ブロックチェーンの過去のトランザクションなどの計算を実行してその結果を検証 - 身元確認や資格証明などの情報のセキュリティ確認 また、ZK-SNARKsと違い、量子耐性がある。 #### Google CAPTHA Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart(コンピュータと人を分別する完全自動化チューリングテスト)の略。 - 文字を入力するreCAPTCHA v1 - 画像を選択するreCAPTCHA v2 - 何も入力しないreCAPTCHA v3 の3バージョンがある。 v3はサイトのあらゆる場所にユーザーの動作を取得するスクリプトを埋め込むことで、機械学習を用いてユーザーがボットかを判断する。 v1とv2は自動で判別が難しい画像を用意することで成り立っているため、導入がしやすい。完全な個人の特定はできないが、人間とボットの区別をつけるには良い案である。 #### SMS認証 電話番号を使う。ただ、複数電話番号を持ってる場合や、いわゆる捨て番号は防げない。 ## デリゲート(委任) 票は他人に委任し、決定を委ねることができる。 この制度について、[DemocracyEarth](https://github.com/DemocracyEarth/paper)を参考に、以下の条件を定める。 推移的な委任:ボブがアリスから票を受け取った場合、ボブは自分とアリスの票をフランクに委任できます。これにより、コミュニティ内の特定のプレーヤーに権限を与えるための委任のチェーンが生成されます。アリスがボブに委任した票を第三者に受け取ることを望まない場合、委任契約の推移的な設定をオフにすることで拒否できます。組織からメンバーへの投票の元の割り当てには、誰が投票の主権者であるかを示す署名が付いているため、循環委任(たとえば、アリスがフランクからボブに送ったトークンを受け取る)は禁止されています。 投票の無効化:ボブがすでにアリスから受け取った委任投票を使用している場合でも、アリスはいつでも自分の票を無効にできる。投票者が特定の問題について異なる意見を持っていた場合、投票者は常に、元の投票に関する最終的な決定権を持っている。