**量子数の意味** $n$:主量子数 $l$:副量子数(方位量子数) $m_l$:磁気量子数 $n$は非負整数(K,L,M殻に対応) $l$は$0,1,2\ldots n-1$(s,p,d軌道に対応) $m_l$は$-l,-l+1\cdots l-1,l$ **$1s$軌道の$z$方向の軌道角運動量を求める。** $1s$軌道の波動関数は $\Phi(\phi)=\frac{1}{\sqrt {2\pi}}e^{im_l\phi}$ $z$方向の軌道角運動量演算子は $\hat{L_z}=-i\hbar\frac{\partial}{\partial \phi}$ $z$方向の軌道角運動量は $$\int_0^{2\pi}\Phi^*\hat{L_z}\Phi d\phi=\int_0^{2\pi}\frac{1}{\sqrt {2\pi}}e^{-im_l\phi}\left(-i\hbar\frac{\partial}{\partial \phi}\frac{1}{\sqrt {2\pi}}e^{im_l\phi} \right) d\phi \\ =\frac{1}{2\pi}\int_0^{2\pi} m_l\hbar d\phi=m_l\hbar$$ **$\Phi_p,\Phi_q(p\neq q)$の直交性** $$\int_0^{2\pi}\Phi_p^*\Phi_q d\phi=\int_0^{2\pi}\frac{1}{\sqrt {2\pi}}e^{-ip\phi}\left(\frac{1}{\sqrt {2\pi}}e^{iq\phi} \right) d\phi \\ =\frac{1}{2\pi}\int_0^{2\pi} m_l\hbar e^{i(q-p)\phi}d\phi=0$$ 最後の$0$の理由としては$k$を$0$以外の整数とすると $$\int_0^{2\pi} e^{ik\phi }d\phi=\frac{1}{ik}(e^{2\pi ki}-e^0)=\frac{1}{ik}(1-1)=0$$ だからである。(オイラーの公式を参照) **$z$方向のスピン量子数をもとめる** $\hat S_z\alpha(\sigma)=\frac{1}{2}\hbar\alpha(\sigma)$ $\hat S_z\beta(\sigma)=-\frac{1}{2}\hbar\beta(\sigma)$ **異核2原子分子の純回転遷移測定について** (1) 1. 横軸をエネルギーで表したスペクトルは等間隔のピークになることを示せ 剛体回転子のエネルギーは$BJ(J+1)$でエネルギーの差は$\Delta E=B(J+1)(J+2)-BJ(J+1)=2B(J+1)$ これと光の周波数$\nu=\frac{E}{h}$から $\nu=\frac{2B(J+1)}{h}$で$J$は非負整数だから$\nu$は等差となる。 2. この間隔を求めよ $\nu=\frac{2B(J+1)}{h}$ 3. 等核二原子分子は回転遷移を示さないのはなぜか 永久双極子モーメントを持たないから。 (2)フランク・コンドンの原理を説明 電子の質量に比べて原子核の質量は異常に大きいため状態遷移において原子核は動かないものと見ることができるというもの (3)励起によって生成した$S_1$状態の分子はどのような経路で$S_0$状態に戻るか 系間交差により3重項励起状態になりりん光を放ちながら戻るかそのまま蛍光を放ちながら戻る **シュレディンガー方程式を解く時、核の運動と電子の運動を別々に考えることができるこれをなんというか** ボルン-オッペンハイマー近似:原子核は電子より非常に重いため **LCAO-MO** 水素分子イオンの波動関数$\psi$を水素原子の波動関数$\chi_1,\chi_2$を用いて$\psi=c_1\chi_1+c_2\chi_2$とする。これがLCAO-MOこれを用いてエネルギーを計算する。 ここで係数$c$と$\chi$は実数とする。 $$E=\frac{\int\psi\hat H\psi d\tau}{\int\psi\psi d\tau}=\frac{\int (c_1\chi_1+c_2\chi_2)\hat H(c_1\chi_1+c_2\chi_2) d\tau}{\int (c_1\chi_1+c_2\chi_2)(c_1\chi_1+c_2\chi_2)d\tau} $$ ここで $H_{11}=\int \chi_1 \hat H \chi_1d\tau$ $H_{12}=H_{21}=\int \chi_1 \hat H \chi_2d\tau$(エルミート性から交換関係が成り立つ) $H_{22}=\int \chi_2 \hat H \chi_2d\tau$ $S_{11}=\int \chi_1 \chi_1d\tau$ $S_{12}=S_{21}=\int \chi_1 \chi_2d\tau$ $S_{22}=\int \chi_2 \chi_2d\tau$ と置くと $$E=\frac{c_1^2H_{11}+2c_1c_2H_{12}+c_2^2H_{22}}{c_1^2S_{11}+2c_1c_2S_{12}+c_2^2S_{22}}$$ よって $$(c_1^2S_{11}+2c_1c_2S_{12}+c_2^2S_{22})E=c_1^2H_{11}+2c_1c_2H_{12}+c_2^2H_{22}$$ これを$c_1$について微分すると $$(2c_1S_{11}+2c_2S_{12})E+(c_1^2S_{11}+2c_1c_2S_{12}+c_2^2S_{22})\frac{\partial E}{\partial c_1}=2c_1H_{11}+2c_2H_{12}$$ エネルギー極小値では$\frac{\partial E}{\partial c_1}=0$より $$(2c_1S_{11}+2c_2S_{12})E=2c_1H_{11}+2c_2H_{12}$$ 変形して $$(H_{11}-ES_{11})c_1+(H_{12}-ES_{12})c_2=0$$ 同様の作業を$c_2$でも行うと $$(H_{21}-ES_{21})c_1+(H_{22}-ES_{22})c_2=0$$ まとめて $$ \left( \begin{array}{ccc} H_{11}-ES_{11} & H_{12}-ES_{12} \\ H_{21}-ES_{21} & H_{22}-ES_{22} \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} c_1 \\ c_2 \\ \end{array} \right) =\left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 0 \\ \end{array} \right) $$ これを満たす意味のある(非0)$c_1,c_2$について考える。非0のときは次の行列式を満たす。(クラメルの公式が使えるケースでは共に解が0になるため) $$ \left| \begin{array}{ccc} H_{11}-ES_{11} & H_{12}-ES_{12} \\ H_{21}-ES_{21} & H_{22}-ES_{22} \\ \end{array} \right| =0 $$ これにて永年行列式が導かれた。 さて具体的な水素分子イオンについて解いてみよう。 同一原子から構成されているため$\chi_1=\chi_2$であり以降$\chi$と書くことがある。 またこの水素原子の波動関数は規格化されているとする。 すると$H_{11}=H_{22},S_{11}=S_{22}=1$が成り立つ。 ここで$H_{11}=\alpha,H_{12}=\beta,S_{12}=S$と置く。 永年行列式は $$ \left| \begin{array}{ccc} \alpha-E & \beta-ES \\ \beta-ES & \alpha-E \\ \end{array} \right| =(\alpha-E)^2-(\beta-ES)^2=0 $$ これを解くと$\alpha-E=\pm(\beta-ES)$で$E$についてまとめると$E(1\mp S)=\alpha\mp\beta$ 解は2つあり $$E_+=\frac{\alpha+\beta}{1+S},E_-=\frac{\alpha-\beta}{1-S}$$ この結果$E_+$を $$(c_1^2S_{11}+2c_1c_2S_{12}+c_2^2S_{22})E=c_1^2H_{11}+2c_1c_2H_{12}+c_2^2H_{22}$$ に代入してみる。 $$(c_1^2+2c_1c_2S+c_2^2)\left(\frac{\alpha+\beta}{1+S}\right)=c_1^2\alpha+2c_1c_2\beta+c_2^2\alpha$$ 整理すると $$(\beta-\alpha S)c_1^2-2(\beta-\alpha S)c_1c_2+(\beta-\alpha S)c_2^2=0$$ $$c_1^2-2c_1c_2+c_2^2=(c_1-c_2)^2=0$$ よって$c_1=c_2$これを用いて規格化を考えると $$\int \psi\psi d\tau=\int (c_1\chi_1+c_2\chi_2)(c_1\chi_1+c_2\chi_2)d\tau=c_1^2+2c_1c_2S+c_2^2=2c_1^2(1+S)=1$$ よって $$c_1=\frac{1}{\sqrt{2(1+S)}},c_2=\frac{1}{\sqrt{2(1+S)}}$$ 同様に$E_-$についても行うと $$c_1=\frac{1}{\sqrt{2(1-S)}},c_2=-\frac{1}{\sqrt{2(1-S)}}$$ よって波動関数は $$\psi_+=\frac{1}{\sqrt{2(1+S)}}\left(\chi_1+\chi_2\right)$$ $$\psi_-=\frac{1}{\sqrt{2(1-S)}}\left(\chi_1-\chi_2\right)$$ と求まった。 **ヘリウム分子が存在しない理由** 分子軌道法について考える。He$_2$について分子軌道を考えると、結合性分子軌道に入る電子の数と反結合性分子軌道に入る電子の数が同一であり結合しないことがわかる。結合してもしなくても変わらないなら半数ぐらいは分子として存在しても問題ないように思える。しかし少し細かく話をすると、結合性軌道に入ったときの安定化より反結合性分子軌道の不安定化のほうが大きいため結合はほぼほぼ生じないのである。これはLCAO-MO近似で出した水素分子のエネルギーの分母からもわかる。 **ヒュッケル法について** 隣接原子間の重なり積分$S$を無視し更に隣接しない原子の共鳴積分$\beta$を無視するという手法 π電子についてブタジエンの永年行列式は $$ \left| \begin{array}{} \alpha-E & \beta &0 & 0 \\ \beta & \alpha-E &\beta&0 \\ 0&\beta&\alpha-E & \beta \\ 0&0&\beta & \alpha-E \\ \end{array} \right| =0 $$ ベンゼンなら $$ \left| \begin{array}{ccc} \alpha-E & \beta &0 & 0 &0&0\\ \beta & \alpha-E &\beta&0&0&0 \\ 0&\beta&\alpha-E & \beta &0&0 \\ 0&0&\beta & \alpha-E&\beta&0 \\ 0&0&0&\beta & \alpha-E&\beta \\ \beta&0&0&0&\beta & \alpha-E \\ \end{array} \right| =0 $$ となる。 今回はこの2分子について考える $x=\frac{\alpha-E}{\beta}$と置くとそれぞれ $$ \left| \begin{array}{ccc} x & 1 &0 & 0 \\ 1 & x &1&0 \\ 0&1&x &1 \\ 0&0&1 & x \\ \end{array} \right| =0 $$ $$ \left| \begin{array}{ccc} x & 1 &0 & 0 &0&1\\ 1 & x &1&0&0&0 \\ 0&1&x & 1 &0&0 \\ 0&0&1 & x&1&0 \\ 0&0&0&1 & x&1 \\ 1&0&0&0&1 & x \\ \end{array} \right| =0 $$ 解くと ブタジエンが $$x=\frac{\pm1\pm\sqrt{5}}{2}$$ ベンゼンが $$x=\pm1(重解),\pm2$$ となる。 [ブタジエンの計算結果](https://www.wolframalpha.com/input/?i=det%7B%7Bx%2C1%2C0%2C0%7D%2C%7B1%2Cx%2C1%2C0%7D%2C%7B0%2C1%2Cx%2C1%7D%2C%7B0%2C0%2C1%2Cx%7D%7D%3D0&lang=ja) [ベンゼンの計算結果](https://www.wolframalpha.com/input/?i=det%7B%7Bx%2C1%2C0%2C0%2C0%2C1%7D%2C%7B1%2Cx%2C1%2C0%2C0%2C0%7D%2C%7B0%2C1%2Cx%2C1%2C0%2C0%7D%2C%7B0%2C0%2C1%2Cx%2C1%2C0%7D%2C%7B0%2C0%2C0%2C1%2Cx%2C1%7D%2C%7B1%2C0%2C0%2C0%2C1%2Cx%7D%7D%3D0&lang=ja) すると各エネルギーはこれらの$x$について $E=\alpha-x\beta$ で与えられる。 これに関して一般的にわかっているものがあり $N$個炭素原子からなる直鎖ポリエンの一般式は $$E_k=\alpha+2\beta\cos\left(\frac{k\pi}{N+1}\right),c_{pk}=\sqrt{\frac{2}{N+1}}\sin\left(\frac{pk\pi}{N+1}\right) \\ (p=1,2\ldots M)(k=1,2\ldots N)$$ $N$個炭素原子からなる環状ポリエンの一般式は $$E_k=\alpha+2\beta\cos\left(\frac{2k\pi}{N}\right)\\(N偶数でk=0,\pm1,\pm2\ldots \pm\frac{N}{2})(N奇数でk=0,\pm1,\pm2\ldots \pm\frac{N-1}{2})$$ **反対称性とスピンそしてスレーター行列式について** 電子はフェルミ粒子なのでこの2つの電子を入れ替えた時、波動関数の符号が入れ替わる。これが反対称性である。このような性質を満たす数学的構造とは何だろうか?答えは行列式である。行列式では行および列同士を入れ替えると符号が反対になるという性質があるからである。 例えば2電子系だと $$\phi(1,2)=\frac{1}{\sqrt{2}} \left| \begin{array}{ccc} \varphi_1(r_1)\alpha(1) & \varphi_2(r_1)\beta(1) \\ \varphi_1(r_2)\alpha(2) & \varphi_2(r_1)\beta(2) \\ \end{array} \right| =0 $$ と書ける。 一般的に書くと $$\phi(1,2\ldots N)= \frac{1}{\sqrt{N!}}\left| \begin{array}{ccc} u_1(1) & u_2(1) &\cdots & u_N(1) \\ u_1(2) & u_2(2) &\cdots&u_N(2) \\ \vdots&\vdots&\ddots &\vdots \\ u_1(N)&u_2(N)&\cdots & u_N(N) \\ \end{array} \right| $$ $ただしuはスピンも含んだ波動関数$ このスレーター行列は先程も述べたとおりすべての行が異なり、全ての列が異なる必要がありどれか一つの波動関数が一致してしまうと波動関数は0となる。当然この$N$電子系の存在確率は$0$となる。これはパウリの排他原理を意味していると言える。 **原子価結合法(ハイトラー・ロンドン法またはVB法)** 独立した電子を考え、結合を作る原子からそれぞれ一つずつの電子が対になって化学結合が生じるという考え。 例えば水素分子の基底状態での波動関数を $\Psi(1,2)=const*(\psi_1(1)\psi_2(2)+\psi_1(2)\psi_2(1))$としようという試みである。 各原子の波動関数に各番号の電子が入っている状態が列挙されていてとてもシンプルと言える。 LCAO-MO法の水素分子の波動関数 $\Psi(1,2)=const*(\psi_1(1)\psi_2(2)+\psi_1(2)\psi_2(1)+\psi_1(1)*\psi_1(2)+\psi_2(1)\psi_2(2))$ と比べてみても項が少ない。 項が少ないので考慮に入れている事象も少ない。 例えばLCAO-MOで考慮されているイオン性は原子価結合法では欠けている。 **アインシュタインのA係数とB係数** A係数:自然放出の遷移速度。 B係数:遷移のエネルギーが$h\nu$である2準位間の遷移速度にまつわる。 遷移速度$w=B\rho$ただし$\rho$は光子の密度。 またB係数は$\int \psi^*_2\hat\mu\psi_1d\tau$に比例することが判明している。$\hat\mu$は双極子モーメントの演算子。 **分子の振動について** $N$個の原子で構成される直線分子は$3N-5$個 $N$個の原子で構成される非直線分子は$3N-6$個 の振動が存在する。 双極子モーメントが変化するような振動であるなら赤外活性がありラマン活性がない。 二酸化炭素でいうと非対称振動、変角振動2つが該当する。 双極子モーメントが変化しないような振動であるなら赤外活性がなくラマン活性がある。 二酸化炭素でいうと対称伸縮振動が該当する。