# 近年の中学受験の動向 近年の中学受験(中受)の動向などについて紹介します。中受経験者は懐かしいと感じるかもしれません。 (筆者は中受経験者ではありませんが、仕事で4年間担当していました。) ## 基礎知識 ### 入試解禁日 大前提として、中学受験における入試解禁日は都道府県によって異なります。 首都圏では、 - 埼玉:1月10日 - 千葉:1月20日 - 東京・神奈川:2月1日 となっています。 入試解禁日のズレを上手く利用することで「**練習受験(お試し受験)**」が可能となります。(本記事は、入試解禁日が2月1日である、東京・神奈川の受験生の立場で執筆しています。) ### 練習受験(お試し受験) 多くの中学受験生は、雰囲気に慣れるためなどの理由で、第一志望校を受験する前に練習受験を行います。 しかし、入試解禁日の都合上、**東京や神奈川の受験生の場合**、2月1日より前に受験できる同一都県内の他中学はありませんから、**東京都内/神奈川県内で練習受験をすることは不可能**です(第一志望が2月1日午前入試の場合)。 そこで、先述した入試解禁日のズレを利用し、**東京や神奈川の受験生が、埼玉や千葉などの中学に受験しにいく現象**が起こります。 埼玉県の栄東中学(入試日:1月10日等)を例に挙げると、**東京・神奈川を含むのべ1万人の中学受験生が毎年受験をしています**。受験生+保護者の大移動です。周辺のホテルは早々に予約が取れなくなります。大変です。 ### 御三家(東京) 御三家とは、都内の中受経験者であれば一度は耳にしたことがあるであろう、実力と人気を兼ね備えた男女各3校のことで、以下の中学が該当します。 (男子御三家)開成・麻布・武蔵 (女子御三家)桜蔭・女子学院・雙葉 御三家には**2月1日一発勝負**という共通点があります。そのため、**分身か替え玉でもしない限り、御三家間の併願は出来ません**。 (中受では一発勝負という学校は逆に少なく、複数回受験できるところが一般的です。学校側にとっては受験料がたくさん貰え、受験生側にとっては挑戦回数が増える、Win-Winっぽい感じです。) ところで、近年は御三家以外の有名中学(筑駒とか渋渋とか)が、偏差値の上で御三家を上回ることがあります。**一方で、これらの中学は入試日が2月1日ではなかったり、一発勝負でなかったりするため、御三家と併願することが可能**です。 御三家は**2月1日一発勝負の名門校**である、という考え方が分かりやすいと思います。 ### サンデーショック **御三家は2月1日一発勝負なので、御三家間の併願は不可**と書きました。 しかし、実は**併願できてしまう例外**が存在します。 **2月1日が日曜日**の場合です。 **結論から言うと、女子学院の入試日が2月2日にズレます**。 なぜズレるのか? 要するに日曜に入試をしたくないからです(宗教上の理由)。 他にも、キリスト教系の有名女子中はズレるかもと覚えておくとよいです。 ところで、サンデーショックは嬉しいことなのでしょうか? 御三家間であれば、「**桜蔭と女子学院**」・「**雙葉と女子学院**」という、通常ではあり得ない併願パターンが可能となります。(女子中ですから、男子は関係ありません。基本的には。) 一見、**御三家への挑戦権が増える**ためメリットっぽく思えますが、**本来1つしか受けられないものが2つ受けられることで倍率が跳ね上がる**というデメリットも存在します。 個人的な意見ですが、比較的余裕のある受験生にとっては嬉しく、チャレンジ校的な位置づけの受験生にとってはより厳しく感じるのではないでしょうか。 ちなみに、2月2日や2月3日が日曜日の場合は「**プチサンデーショック**」といい、やはり通常ではあり得ない併願パターンが可能となることがあります。ただ、サンデーショックに比べればその影響は小さいです。 ちなみに、2020年は2月2日が日曜日のプチサンデーショックで、青学あたりに多少の影響はあったようです。 ### 門前激励 入試日当日、中学の前で塾関係者が立ってるアレのことです。 余談ですが、めちゃくちゃ早く会場に来る受験生を考慮し、めちゃくちゃ早くのさらに早くに塾関係者は現地入りします(6〜7時とか)。 (ちなみに2021年入試は、コロナのため門前激励は激減するはずです。) ## 語呂合わせ 中受関係者がよく用いる語呂合わせを紹介します。 ### 新幹線は刈り上げ 火成岩に関する語呂合わせです。刈り上げの新幹線をイメージしましょう。 **深成岩(シン)**:花こう岩(カン)・せん緑岩(セン)・斑れい岩(ハ) **火山岩(カ)** :流紋岩(リ)・安山岩(ア)・玄武岩(ゲ) 結構有名かと思います。色とかも同時に判断できるので、優秀な語呂合わせです。 ### かっとばせぶりっこ 不完全変態の昆虫に関する語呂合わせです。ぶりっ子を応援しましょう。 **カマキリ(かっ)・トンボ(と)・バッタ(ば)・セミ(せ)・ゴキブリ(ぶりっ)・コオロギ(こ)** 難関中学だと、もう少し追加で覚えなければならないかもです。 ## 近年の中受動向 ### 附属校人気の継続 センター試験廃止といった大学入試改革や、首都圏の大学の定員減少などの不安感から、大学附属の中学(いわゆる「エスカレーター」的な学校)が好まれているようです。 中受未経験かつ、通学路が田んぼ道みたいな公立中出身の立場からすると、早慶附属に受かるのはとんでもなく賢い子というイメージがあるため、それらの出身の方はすごいなあといつも思っています。 (というか附属に限らず、超難関中学の出身者多いですよね。知り合いに。ひい〜〜) ### 午後入試の増加 近年、午後3時ごろに集合して入試を実施する「午後入試」が増加しています。**第一志望を2月1日の午前入試で受け、併願校を2月1日の午後入試で受ける**というケースが多く見られます。一方で、受験生の疲労を考慮し、午後入試を敬遠する保護者もおり、受験日程の組み方は**ご家庭による**ところが大きいです。 ### 塾選びについて 中受の塾といえば、サピとかNとか四谷とかが有名かと思います。塾によって情報量の違いとか合格実績の違いとかはありますが、基本的に塾自体に良し悪しがあるというよりかは、**たまたま良い先生にあたれば良い塾、たまたま悪い先生にあたれば悪い塾**という印象になりがちな気がします。個別指導でない限り、基本的に受験生サイドから先生は選べないため、**複数の塾の体験に行き、良い先生が多そうかを見極める**のがよいのではないでしょうか。もちろん、受験生の性格とか学力とかによって良い先生の定義は異なると思いますので、塾の良し悪しも**ご家庭による**ところが大きいです。どことは言いませんが、いわゆる体育会系の塾さんとかは向き不向きがはっきり分かれそうです。 ## まとめ 子供に中学受験をさせようか悩んでいる方や、志望校・塾選びで悩んでいる方はぜひご相談ください。初回相談料は無料です。