# 22s article50 ## 1. GPS テレメトリーを用いた大台ヶ原におけるニホンジカの生息地利用 紀伊半島, 大台ヶ原に生息するニホンジカに対し, GPS首輪を用いたテレメトリー調査を行った. 調査結果をGIS情報として解析し, ニホンジカの生息地の利用について, 解析した. 調査期間: 2005年6月から2006年8月 測位成功率は6~7割程度と既存の事例より比較的高く, 調査地がササ草原や立木密度の低い疎林が多く存在したことに由来すると考えられる. 12月から2月は低標高を利用し, 積雪期の1月は650mから1100m程度で最も標高が低かった. 冬期移動に伴い, 個体により, 利用する植生が時期により変化していた. 保護管理にはシカの冬期移動と生息地利用の調査結果を反映させる必要がある. ## 2. イノシシ(Sus scrofa)保護管理の推進と錯誤捕獲の回避について イノシシの保護管理において, 個体数調整のニーズは高く, 近年強化が図られている. しかし, 他の中・大型哺乳類と生息地が被るため, 錯誤捕獲のリスクが高い. ICT捕獲機材の導入, 人材の育成教育により捕獲の省力化と錯誤捕獲のリスク軽減を合わせて行う必要がある. ## 3. 野生獣類捕獲わなにおける ICT利用の費用対効果 佐藤らが提案した, 巻き狩りとくくり罠の2手法とICTを利用した手法の技術体系モデルの構築方法は, 地域ごとの自然環境や地域社会の条件を考慮した技術体系モデルの実証の必要性が指摘されていた. 本研究では実証地における技術体系モデルについて, 地域固有の要因を捕獲試験や関係者への聞き取り調査結果に基づき数量的に把握・構築することでICTの有用性を検討し, ICTを導入する経営的判断基準を示すことを目的とした. ICT利用に係る1等あたりの捕獲費用に基づく判断基準は導入後に1年間で30頭の捕獲が見込めるかどうか, という点にあることがわかった. 錯誤捕獲の懸念があり, 見回り頻度が高い地域では, より高い導入効果が望める. 実証性が課題とされていた佐藤らの報告が, 本研究の実証地においては有効であることが確認された. ## 4. 金華山島におけるシカ個体数の長期継続調査に向けた ドローン利用手法の確立 金華山島において, 島全体のシカ個体数をUAVを用いて観測する手法を検討し, 踏査法とのシカ発見頭数を比較した. 踏査がUAVを用いた数の1.3倍であり, UAV観測における常緑樹林内の頭数補正の必要性が示唆された. しかし, 両調査では総数がほとんど変わらなかったことから, 落葉樹林や草原の割合が多い金華山島では, UAV観測が可能であることが示された. ## 5. 中心線抽出を用いたドローンによる 野生動物の発見及び追跡システムの提案 自立飛行ドローンを用いて人的コストを削減し, ROS2を用いて汎用的な画像処理機能を盛ったロボットシステムソフトウェアの開発を行った. イノシシを自動で判別する機械学習実装で, イノシシと思われる物体の胴体中心線を検出し, YOLO v3という手法でイノシシかどうかの判別を試みた. 中心線の時系列変化を追うことで, イノシシと他の動物との判別が可能であることを期待したが, 深層学習と中心線検出の検証にとどまった. ## 6. 通潤用水地区を事例とした耕作放棄地の分類と要因分析 灌漑システムを単位として, 耕作放棄地の分類と分析を行い, この結果をもとに中山間地における耕作放棄地の対策を検討した. 通潤用水灌漑システムにおいて, 耕作放棄地は空間分布により, 「分散型」「全体型」に分類可能で, それぞれ異なる特性を持つことがわかった. また全体型では管理コストが大きく, 管理の困難さが示唆された. ## 7. 兵庫県におけるニホンイノシシの個体群動態の推定 2012年に入手されたデータから, 兵庫県に生息するイノシシの自然増加率や個体数について, 階層ベイズモデルを構築し, マルコフ連鎖モンテカルロ法によって推定した. 推定個体数の中央値は, 2012 年の年末の段階で, 本州部では 16,478 頭 (90%信頼 限界では 8,143から47,213 頭程度)淡路島では 8,237 頭 (90%信頼限界では 3,871から19,161 頭程度)と推定された。 ## 8. 兵庫県におけるニホンイノシシの保護管理の現状と課題 兵庫県における人とイノシシの関わりの歴史を概観した. 大正・昭和の時代から全国的に狩猟が盛んに行われるようになり, 高い狩猟圧がかかっていたと考えられ, 個体数も減少していたと考えられる. 昭和50年代以上は更に消費が盛んになり, 平成10年移行は捕獲数が増加傾向にある. 狩猟者の急激な減少があるにも関わらず, 捕獲数は増加しており, 個体数の増加が反映されている可能性が強く示唆された. 兵庫県では長期的に防護と捕獲の対策を継続してきた歴史があり, 改めて策定する必要性の低さから, 特定鳥獣保護管理計画は制度発足後もしばらく策定されなかった. 平成16年移行, 錯誤捕獲や市街地への出没, 餌付け, 農業被害が増加し, 対策の強化が必要になった. このような背景から平成21年度に初めて計画が策定された. 現在の保護管理計画は捕獲規制の緩和が中心となっているが, 今後も捕獲圧の増加, 適切な防護作の設置と管理が重要である. イノシシにおける個体数の適切な管理は始まったばかりであるため, 試行錯誤を通じて捕獲圧と捕獲の効果を検証していく必要がある. ## 9. 景観構造を考慮したシカ・イノシシの 農業被害と密度指標の関係分析 鳥獣害アンケートにおけるシカ・イノシシによる農業被害の程度と, 集落周辺の森林面積割合, 密度指標の関係性の分析を行った. シカ・イノシシのいずれも密度指標と森林面積割合と組み合わせることで, より被害の程度が説明された. 集落単位で被害分析や対策の評価を行う場合, 景観構造の違いを考慮し, 箱罠での捕獲効率を指標とすることが有効である. 感想: 二宮ですごく使えそう ## 10. 目撃効率からみたイノシシの生息状況と積雪,植生,ニホンジカ, 狩猟,農業被害との関係 イノシシの銃猟時の目撃効率を補正した上で指標化し, 生息状況を左右する要因や農業被害との関係を分析した. イノシシの目撃効率は, 積雪や広葉樹林の多い地域で高くなる傾向があり, ニホンジカの目的効率が高い地域や入猟者の多い地域では低くなる傾向があった. 積雪と狩猟が相互に関連しあって, イノシシの密度分布に影響を与えていること, ニホンジカの食害の影響で衰退した植生がイノシシの生息数を減らしている可能性があることがわかった. ## 11. 林縁周辺で捕獲されたイノシシの環境選択 農業被害をうける農地と森林の境界となる林縁周辺で捕獲したイノシシを対象に, 季節及び時間ごとの環境選択を解析した. 林縁周辺で捕獲したイノシシ6頭を追跡し, 標高, 植生に対する選択性を[一般化線形モデル](https://bellcurve.jp/statistics/glossary/638.html)を用いて調べた. 森林外を利用した個体のほとんどが林縁周辺を集中的に利用した. また, それらの個体は春夏期の日中は低標高地と森林内, 夜間は低標高地と森林外を好んだ. 森林外の利用地は主に農地と耕作放棄地だった. ## 12. 人と野生動物との軋轢軽減と生態系の持続的管理におけるリモートセンシングの利用 野生動物の順応的管理には継続的なモニタリングが必要だが, 一般的な調査方法は人手と手間が必要であるという問題がある. この問題を解決するには, 航空機や衛生等から「リモートセンシング」を行う必要がある. しかしリモートセンシングによって取得した画像をすべて目視判読するのもまた膨大な時間がかかる. 複数の既往研究が, 自動でカウントを行う手法を提案しており, これらの手法を使用することが不可欠である. また, 近年身近になったドローンの活用や, リモートセンシング動画像, LiDARデータ, ハイパースペクトルデータの利用など, 今後の発展が期待される. ## 13. 信州大学手良沢山演習林における REM 法を用いた ニホンジカ(Cervus nippon)の生息密度推定 信州大学農学部付属手良沢山演習林において, REM法を用いたニホンジカの生息密度推定を行った. 調査期間中, 月ごとに密度は変化したが, 2016年1月に40.73頭, 2015年6月及び9月に36.82頭と比較的高い値を示した. 6月と9月は出産期と交尾期と一致していた. 1月は一群れあたりの頭数が多く, 平均移動速度も低かったことが影響したと考えられる. これらのことから, ニホンジカの生息密度の季節変動には, 繁殖期などの季節的な行動が関係していることが推察された. ## 14. Monitoring diversity and abundance of mammals with camera traps: a case study on Mount Tsukuba, central Japan カメラトラップを用いた野生動物の多様性と生息数モニタリングの標準的な手順を確立するため, 筑波山で3年間カメラトラップ調査を行った. また最小捕獲量(minimum trapping effort)という概念を提案した. 調査の結果, 中断時間(同一種を連続撮影した2枚の写真を独立したイベントとしてカウントするために必要な時間)が1分以上あれば、カメラ調査におけるデータの自己依存性が低下することが示唆された。 ## 15. ラジオテレメトリを用いた個体追跡技術とデータ解析法 テレメトリ調査について, 発信機の種類, サンプリングデザイン, フィールドテクニック, データ解析方法の他, 法規制や調査を行う上での注意点を解説した. ## 16. 野生イノシシによる侵入防止柵に対する 衝突実験と改良防止柵の提案 高速道路には,野生動物の侵入を防ぐための金網柵が設置されているが, イノシシと思われる中・大型動物の衝突によって変形した隙間から小動物が侵入してくる現状がある. 野生のイノシシの防止柵に突進する際の行動分析を行い, これに伴う防止柵の変形を計測・分析した. また, 一般に普及している防止策の性能を検証し, その構造上の問題点を導き出し, 改良型防止策の構造を提案した. イノシシの防止策への突進前の行動, 突進時の助走距離, 速度, 姿勢, 体高別衝突点, 金網の構造ごとの変形の仕方を明らかにした. また, 柵の構造評価を行い, これらの結果をもとに改良型の柵の構造について提案した. ## 17. VELOCITY ESTIMATION AND MOVING OBJECT'S DETECTION BY USING WAVELET TRANSFORM AND PARALLEL KALMAN FILTER 画像中の移動物体の速度推定と検出のための新しい手法を提案した. この手法は離散ウェーブレット変換と拡張複素カルマンフィルターの並列バンクを用い, 変換/時空間混合領域で実現される. ## 18. イノシシの行動制御技術開発のための嗅覚・聴覚刺激を用いた研究 イノシシの行動制御技術開発のための基礎的知見を得ることを目的とし, 超音波を含む音刺激およびブタ由来のニオイ刺激に対するイノシシの行動を調査した. イノシシは超音波を嫌うことはないが, 200Hz, 500Hzの特定の周波数の音に対し, 忌避反応を示した. ニオイについて, 異性のフェロモンを含むニオイに強い反応を示したことから, ニオイによるイノシシ誘引効果が示唆された ## 19. Wildlife speed cameras: measuring animal travel speed and day range using camera traps 動物の移動速度とDay Rangeは生態学や保全において重要な指標である. これらを測定する, カメラトラップを用いた全く新しい手法を提案した. 12種に対して実地試験を行った結果, 移動速度とDay Rangeは体格に比例し, 草食動物よりも肉食動物の方が高かった. また, 独立して推定した値とパターンが一致した. さらに3種のテレメトリ調査の推定値の絶対値ともよく似た値が得られた. このことから, 提案手法が有効であると結論づけた. ## 20. 岩手県におけるイノシシ Sus scrofa の分布拡大の変遷と出没確率の予測 岩手県において, 過去のデータを用いてイノシシの出没確立予測を行った. 出没確立予測には, 生息適地推定手法であるMaxentを用い, 標高・植生・土地利用データを組み合わせて用いることで高い精度での予測を行うことが出来た. 2017年までのデータを使って予測を行い, 2018年, 2019年のデータの実際に出没した箇所との比較を行った結果, 予測確立が高い地点ほど実際に出没していた. ## 21. 群馬県吉井町上奥平における耕作放棄地の拡大とその背景 耕作放棄地の拡大には土地の履歴が関係しているとの仮設を立て, 耕作放棄地と土地の履歴との関係を中心に考察した. 研究対象地の耕作放棄地は, 土地条件の悪い農地や, 農地改革によって解放された農地の多い谷や支谷に集中していた. また, 違法開墾地の100%, 農地解放地の73%, 荒地免租年期地の53%, 不在村土地少勇者の農地の51%, 地目変換地の47%が耕作放棄されていた. その他, 耕作放棄に至る背景が明らかになった. ## 22. 樹園地周辺における耕作放棄地および防護柵が イノシシ生息地の集塊性・連結性に及ぼす影響 樹園地を対象にイノシシの生息地の集塊性と連結性を評価した. 放棄畑を生息地として加えると, 本来の生息地である雑木林間がでつながりパッチ数が減少し, 最大パッチサイズが3倍以上に拡大するなど, 集塊性・連結性が高まった. さらに, 防護柵のない畑が生息地間のコリドーとして機能すると, 生息地面積の80%が連結されることが確認された. 柵の設置には, 防除の他に生息地間の連結を阻害する生息地管理の役割が期待出来る. また生息地ネットワーク分析により, 生息地の連結性維持に重要な役割を果たすパッチやコリドーを抽出可能であることを示した. ## 23. 洞爺湖中島のエゾシカの個体群動態と管理 中島のニホンジカの個体群動態と個体群の質, 森林植生の変化について調べた. 中島のシカ個体群は, 導入年と導入頭数が明らかになっている. 導入後20数年間にわたり指数曲線的な増加をしたが, 1980年〜1983年は増加期の末期, 1984年は崩壊期となった. 生息密度の増加に伴い, 土地利用に雌雄差が認められるようになり, 主にオスが新たな越冬地に進出し, メスはオスよりも定着性が高い傾向を示した. 密度の増加に伴い餌不足が進行した. また森林植生はシカが採食可能な地上約2mまでの下枝が消失したためdeer lineが形成されて島全体が公園型の森林景観となった. 餌不足になると, 密度依存的な変化はメスよりもオスに顕著に認められた. 中島では, 給餌による死亡率が低下により, 繁殖力の回復, 個体数の増加が起こっていた. 給餌に代わり, 自然の餌を増加させ自然の状態で更新が期待出来る程度まで段階的に個体数を減少させることが必要であると述べている. ## 24. ニホンジカ個体群との共存に向けての課題 シカの個体数変動にかかわる諸要因と, 森林伐採がシカが増加するメカニズム, 地上部の食物現存量・食物エネルギー量・純エネルギー量の関係等について説明した. シカの個体数は食物条件, 捕食者, 森林伐採による影響がある. 伐採によって, シカが利用出来る下層植物が増加, 森林伐採後植生・幼齢植林地における雌グループによる餌場集団の形成, 性成熟年齢の若齢化/妊娠率・出生率の増加/死亡率の低下が発生し, シカの個体数が増加する. 伐採や山火事によってシカにとって良好な食物条件が起こされる. それ以外に, 植林・林道の開設・崩壊化の緑化といった人為的撹乱によっても起こされる. 森林を伐採することにより, シカの個体数を増加させる公的な環境を造成する一方で, 増加したシカにより農林業に軋轢が生じる. 農林業との軋轢の軽減は, 主に個体数コントロール, フェンスの設置という方法が取られている. 今後もシカを駆除する管理が続くであろうが, シカを排除する論理から共存する論理へ脱却しなければならない. 新たな管理方法を確立させるための基礎的データの収集が必要である. ## 25. メソスケールにおけるイノシシの掘り起こし跡の分布調査 イノシシ管理における, 広域において持続的かつ容易に利用可能な密度指標が必要だが, 適切な手法が確立されていない. 関東地方西部の90km\*92kmの中にメッシュを18個設定し, 各メッシュに約10kmの調査ラインを設定しラインセンサスを行って, イノシシの堀跡地点の分布を調べた. 別の方法での検証を行うため, 一部のメッシュにカメラトラップを設置し撮影頻度を調査した. 野外調査で得られた堀跡地点は人里周辺や海沿いで高く, 三浦半島の生息地では中程度で, イノシシ個体群の生息情報がほとんどない平野では低く, 従来の分布情報とおおむね一致していた. 堀跡地点とカメラトラップの撮影頻度は正の相関を示したが, 調査地点数が限られることもあり本研究では有意でなかった. イノシシは掘り起こし場所の環境に強い嗜好性を持っていたが, このことは堀跡地点で個体郡密度を評価するには個体の行動域を超える大きな空間スケールで調査を行い, 統計モデルで局所環境の影響を補正する必要を示唆する. ## 26. 栃木県茂木町の水田と畑地におけるイノシシ被害地点と周辺環境特性 イノシシ被害を受けた農地を水田と畑地に大別し, 被害地点と周辺環境特性の関係を明らかにした. 被害地点を農地と水田に大別し, 被害地点と同数のランダムデータを発生させ, 林縁や河川からの距離, 被害地点後背の森林面積等, 被害地点の環境特性を示す変数を説明変数として多重ロジスティック回帰分析を行った. 結果, 水田における被害地点は林縁からの距離と一級河川からの距離, 畑地における被害地点は耕作放棄地からの距離, 住宅等の建物からの距離と後背森林面積がそれぞれ主要な環境要因として選択された. ## 27. Daily home range and activity of wild boar in a Mediterranean area free from hunting 6ヶ月間, 17頭の成獣イノシシのテレメトリを用いた追跡を行い, 行動範囲と一日の活動パターンを調査した. 生息域の広さや, 一日の活動に性差や月齢による違いは見られなかった. すべてのイノシシが活動時間の約65%を費やしていた. 活動は日没前から日の出後に停止することが多く, ほとんどの月で日の出とよく同期していた. 24時間周期のほとんどは, 夜間と日中の2回の活動周期であった. ## 28. A statistical explanation of MaxEnt for ecologists 存在のみの種の記録から種の分布をモデル化するMaxentについて説明し, モデルの構造, モデル化された分布を生成する際に必要となる決定, およびその決定に影響を与える可能性のある種とデータに関する知識の間のリンクを明示した. Maxentの統計的説明, Maxentの主要な構成要素, モデルフィッティングの仕組み, および出力について説明した. また, オーストラリア南西部でケーススタディを通じてモデルの適合とその解釈を行い, ある選択がどのように結果に影響を与えるのか, 何を意味するのか探求した. ## 29. Towards understanding wild boar Sus scrofa movement: a synthetic movement ecology approach 新たに開発された, あらゆる生物の移動生態を調査するフレームワークによって, 統一的なアプローチで調査することが出来るようになった. イノシシの移動生態に関する文献をレビューし, 現在の知識を評価した. イノシシの空間能力の形成において, 環境の把握能力, 資源の評価能力等の内的状態と運動能力が果たす役割について詳細な状態を得られていない. イノシシの移動生態の特異的側面はその高い食性可塑性と多産性とともにイノシシの正解的な普及の最も重要な原因であると思われる. ## 30. カメラトラップ法と糞塊法を用いたニホンジカの生息密度推定 REM法と糞塊法を用いて奥山に生息するニホンジカの生息密度推定を行った. REM法と糞塊法の結果の間に高い相関が示された. 秋期の糞塊調査により, ニホンジカの生息密度の把握が可能と考えられた. REM法の推定生息密度と比較して, 糞塊密度が極端に低い地域があった. この場合, 糞塊法による結果は過小評価となる可能性がある. ## 31. Quantifying the sensitivity of camera traps: an adapted distance sampling approach 個体数の推定は生態学において重要な目標である. カメラトラップを用いたREM法による個体数を推定する手法があるが, カメラ感度を定量化する必要がある. 本研究では, カメラで効果的に監視されている面積を推定する方法を開発する. 距離標本化理論に基づき, 動物が最初に検出された位置のデータに検出関数モデルを適用する. 検証のためのシミュレーションを行った結果, カメラからある程度の距離での検出確率が確実であれば, 検出距離をほとんど偏りなく推定出来た. バロ・コロラド島の1年間のカメラトラッピングデータセットに適用したところ, 有効検出距離は種の体積に強い正の関係, 種の平均移動速度に弱い負の相関があった. また雨季には検出距離が短くなった. 角度は雨季には角度が広くなる. ## 32. 野生動物の生息地の推定と現存植生図の利用 陸上生物を対象とした研究事例について, 植生図の縮尺や解像度, 凡例の取り扱い, 使用したデータなどについて項目ごとに, さらに評価の対象による違いについて整理した. これらを踏まえ, 植生図の応用的な利用とそれに係る課題, 縮尺や更新頻度, 植生区分の統合・再区分, 面積・形状・隣接正などの解析, 全国的な整備と公開のあり方の4つの項目について考察した. ## 33. 兵庫県の野生動物の生息と被害の動向調査の概要 兵庫県では野生動物の生息状況と農業被害程度を, 地域単位で経年変化を追跡するため, 鳥獣害アンケート出猟カレンダー調査を毎年実施している. 鳥獣害アンケートの回答率は2005年から12年間で73%であった. 出猟カレンダーは1997年から実施しており銃猟時のSPUE, 箱罠くくり罠のCPUEを集計している. ## 34. Directing Research to Reduce the Impacts of Nonindigenous Species 非固有種の管理は, 在来種と正常な生態系を維持する上での重要な側面である. 資源管理者が介入すべき非固有種の優先順位付けを支援するため, 保全研究のアプローチを提唱する. この手法は, 非固有種の影響について, 相対的な判断を下すための何が必要か, またその情報を得るための手法を含んでいる. また, 優先順位が設定された後に取るべき対策と, 管理にあたっての研究とリスクアセスメントについて焦点を当てる. ## 35. シカ類の個体群動態の推定における状態空間モデルの有用性 シカ類の個体群動態を推定するために収集されるデータと, 推定手法の一つである状態空間モデルを用いる利点を整理した. 捕獲したシカの齢や性が明らかな場合にはコホート解析やSAKモデル, シカ密度と関連する密度指標(CPUEやSPUE等)を用いることがあるが, それぞれ課題がある. 前者は個体数を推定する空間を明示出来ない上, 推定に用いることが出来る量と質のデータを得るために労力と予算がかかる. 密度指標は直接密度を示すことが出来る指標は少ない上, 指標の観測には大きな誤差が伴う. 状態空間モデルは, 観測誤差と生態的過程に関する誤差を分離して, シカ密度を推定することが出来る. 研究では5kmメッシュ単位でシカ密度の時間空間変動を推定することが出来た. 課題として, 現時点では推定にあたって直接指標を含む間接指標と捕獲数を得る必要があり, 多額の予算がかかることが挙げられる. また, パラメータの同定可能性, 事前分布の妥当性等, モデル構造の妥当性の説明に注意して利用する必要がある. また, 推定にあたっての敷居が高い. ## 36. Spatial optimization of invasive species control informed by management practices 捕獲努力の空間的配分を最適化するための新しい枠組みを, 状態空間モデルを用いて考案した. カミツキガメに対して手法を適用したところ, 捕獲努力の最適化は個体数の抑制に効果を示したが, その程度は努力の総量に大きく異なることがわかった. 調査地での管理目標を達成するには, 捕獲努力の最適化に加え, 総量で4倍の努力量が必要であった. この場合, 1年後に目標に達することが出来ると予想された. 状態空間モデルと最適化を組み合わせることで, 外来種の管理と意思決定を適応的に改善出来ることが示された. ## 37. Is harvest size a valid indirect measure of abundance for evaluating the population size of game animals using harvest-based estimation? CPUEなどの密度指標は狩猟圧が個体群に与える時間的・空間的傾向, 狩猟が個体群に与える影響の評価に必要である. これらの指標は豊凶の間接指標としての有効性が検討されているが, 個体数の推定への適用性はほとんど検討されていない. 捕獲努力の時間的均一性が異なる場合, 捕獲サイズを間接的指標として推定に用いた場合の精度を検証した. その結果, 時間的に捕獲努力が不均一である場合, 個体群サイズと固有成長率の推定値に大きな偏りがあった. 捕獲努力が一定で, かつ捕獲量が母集団のサイズに比例する場合, 平均して10%の反復しか判別出来なかった. 狩猟動物の個体数を捕獲量ベースで推定する上では, 捕獲量に加え, 捕獲努力と偏りのない密度指標をモニタリングすることが重要である. ## 38. 岩手県におけるニホンジカの生息域変化と生息可能域の推定 2001年度から2008年度までの岩手県のシカ手法報告のデータを用いて, GLMMとロジスティック回帰モデルによる解析を行い, シカの生息域を推定した. またこの結果から, 環境要因(外的要因)と個体群圧(内的要因)の生息域の拡大への影響を検証した. GLMMを用いた推定の結果, 短期間で分布が沿岸南部に近い山から県北部に拡大していることがわかった. 積雪が少なく植林・二次林が多いメッシュに生息する傾向があった. これはシカが積雪に弱く, 準奥山的な動物であることを反映していると考えられる. 生息域推定モデルでは個体群圧が生息拡大に影響を与えており, 既往研究と同様個体数の増加が分布拡大の一因となっていた. ## 39. 狩猟圧がニホンジカの観察しやすさに及ぼす影響 狩猟圧が高い地域のシカは区画法等によるシカ生息密度のモニタリング等, 長期に渡る調査に影響を与えると考えられる. 生息密度調査を行っている地域で,狩猟の開始 とともにシカが観察されにくくなるという現象について報告した. 添加糞粒数を用いた推定を行ったが, 調査期間の5年間で生息密度はほとんど変化がなかったが, 観察されるシカの割合はライトセンサス, 観察頭数のいずれの方法でも減少した. 観察状況の推移について, 警戒音を発した割合の急激な減少があった. 有害駆除が開始された時期と警戒音の減少時期は一致していた. 狩猟圧の程度は不明だが, 短期間で警戒音の減少が起こったため, 影響の大きさが推察出来る. このことから, 今回の減少は狩猟が原因であると考えられる. ## 40. 広島県呉市上蒲刈島におけるイノシシの食性 調査地において捕獲されたイノシシ268個体の胃内容物を用いた食性調査を行った. 胃内容物の肉眼観察では,植物質として, 柑橘類, カキノキ, サツマイモ, イネ, トウモロコシなどの農作物, 堅果, 木本, 草本, 種子などの自生植物が認められた.動物質では,多足類,昆虫類,軟体動物 類,腹足類,甲殻類,爬虫類,鳥類,哺乳類が出現した.胃内容物に堅果が多く出現した年には柑橘類が少なく, 堅果が少なかった年には柑橘類が多くなる傾向がみられた. 捕獲月毎に胃内容物の水分量が異なった. 7・8月に捕獲された個体では他の月に比べ水分含量が高かった. ## 41. Quantifying levels of animal activity using camera trap data 動物の活動量は動物の行動を理解する上で重要な指標である. 動物に遠隔装置を取り付ける手法も存在するが, 環境にカメラ等の遠隔センサーを設置する方法もある. カメラトラップは長い間使用されてきているが, カメラトラップを用いて活動量の定量的な推定が出来る手法はまだない. カメラトラップを用いて動物の活動量を推定する手法について説明した. 小〜中型哺乳類を対象としたシミュレーションとケーススタディを行い, 推定が可能であることを示した. 提案手法は, サンプリングされた全ての個体が活動サイクルのピーク時に活動しているという重要な仮定に依存している課題があるが, 多くの動物に適用出来る可能性が高い. 既存の方法に代わる, 非侵襲的な手法として有効である. ## 42. 人工衛星を用いた水田地帯における耕作放棄地の判別 衛星画像を用いて耕作放棄地の検出手法を開発し, 地上観測データとの比較・評価を行った. 田植え直後の1ヶ月間と稲刈り直後の2ヶ月間で, 水田と耕作放棄地のNDVIの差が特に大きくなることがわかった. また, 人工衛星を用いた判別と現地踏査による判別の[エラーマトリクス](https://gsp.humboldt.edu/olm_2019/courses/GSP_216_Online/lesson6-2/error-matrix.html)から, 高精度での判別が可能であることがわかった. ## 43. 島根県石見地方におけるニホンイノシシの環境選択 ラジオテレメトリ法, 及び痕跡調査によりイノシシの環境選択を明らかにし, 島根県におけるイノシシの分布域拡大の要因について検討した. ラジオテレメトリの結果: 調査対象とした4頭の活動点はコナラ, アベマキ等の広葉樹林で有意に多かった. また, うち3頭の針葉樹林内での活動が有意に少なかった. 痕跡調査の結果: 水田放棄地では全ての季節区分で, 竹林では秋期以外で, 掘り起こしが有意に多かった. 針葉樹林での全ての季節, 秋期を除く広葉樹林, 夏期・冬期の水田で掘り起こしが有意に少なかった. 泥浴び跡は水田放棄地で多かった. 広葉樹林は下層植生が繁茂していたため, 休息・避難場所になっていると考えられる. また, 多くの食物を供給している可能性もある. 水田放棄地で掘り起こし跡が多かったのは, イノシシの主要な食物が供給されているためと考えられる. 泥浴び跡が多かったのは湿泥, 用水路跡, 湧き水の存在が原因と考えられる. ## 44. 農地に隣接して生息するニホンイノシシの加害行動の解析 農地に隣接して生息するニホンイノシシ9頭の行動パターンをGPS首輪を用いて明らかにした. 行動圏は大型獣としては比較的狭い行動圏だった. 農地近くで捕獲された個体は, 農地に隣接した広葉樹林を主な活動域としており, 農地には夜間か防除柵のない場所に集中して出没した. 鳥獣保護区内で活動した個体は日中にも市街地に出没した. 防除柵が設置されていない農地に1個体が繰り返し出没していたことから, 執着行動が示唆された. 農地に隣接した広葉樹林の狭い範囲に生息することが出来る. 森林に隣接した農地では, 広域的に防除を行う必要がある. ## 45. 南伊豆町におけるイノシシ被害農業の現状と将来 イノシシによる農作物被害を受けている中山間農業地域において, 農業と獣害の現状と将来に関しての農業統計, 農業従事者, 狩猟者の意識を調べ, 地域農業とイノシシをはじめとした野生動物の動向について予測を行った. 農業センサスの結果: 1970年から2000年までの間で経営耕地面積, 農家数, 農業従事者のいずれも1/3以下に減少している. また, 農業従事者の高齢者率は30%以上増加している. 耕地面積は減少しているが, 一部の農家は資本集約的な経営を行い, 全国的に見て高い販売金額を実現している. 聞き取り調査の結果: 回答者143人うち約半数が70歳以上であった. 500万円以上の収入があるのは全体の5%程度で, ほとんどの農家は自給的な経営をしている. 営農の動機からも自給・趣味・生きがいを目的とした高齢者による経営であることがわかった. ほとんどの回答者は後継者がいなかった. イノシシによる被害を受けているのは約9割だが, 経営規模縮小の理由として獣害を指摘する人が少なく, 影響は小さいと考えられた. 被害は増加傾向にあると回答した人が約9割に上った. 狩猟について: ほとんどは銃猟を趣味や自家消費のために行っていた. 有害駆除の捕獲数を見ると増加傾向にあり, この傾向は個体数増加による農作物被害発生の増加傾向と対応していた. 営農意欲の低下に獣害を指摘されることも多いが, 調査地域では当てはまらなかった. 趣味的・自給的零細兼業農家が多く, 経営発展の見通しが立たず, 防除をはじめとする資本投資を控える傾向が強いことが影響していると考えられる. 離農の増加に伴い, 今後耕作放棄地が増加することが考えられる他, 「山林伐採の停止とエサの減少」を被害増加の一因と考えることも出来, 今後調査地での獣害は一層増加することが予想される. ## 46. イノシシ(Sus scrofa)用簡易型被害防止策による農業被害の防止効果: 設置及び管理要因からの検証 簡易型被害防止柵を用いた被害防止技術の効果を比較するとともに, 設置及び管理上の問題点を調査した. 防止柵: 防止効果は簡易電気柵で高く, トタン柵で低かった. 電気柵の効果の高さは, 忌避効果を反映していると考えられる. トタン柵はイノシシの跳躍能力, 掘り起こし能力を考慮出来ておらず, 物理的障壁としてはほとんど機能しない. 管理: トタン柵をの簿記, 簡易電気柵及び金網では適正に設置管理することで, 有意に効果が向上した. また, 簡易電気柵では, 管理が不十分でもそれなりの効果があることがわかったが, 不適切な管理の増長につながる可能性もある. ## 47. 耕作放棄地の発生要因に関する計量分析 農家の耕作放棄地の意思決定に関わる上記の所要因を定量的に評価することを課題とした. 中山間が耕作放棄の発生を高める立地にあることが示された. 保有機械体系の違いが, 機械の更新を行って耕作を継続するか, 更新をせず放棄するか意思決定に反映されている. 高齢労働力の農地保全効果が発揮される作業環境の整備と, 大規模農家への農地利用調整が耕作放棄を抑制することを示している. 就農水準が低い跡継ぎが存在する農家は耕作放棄を促すことがわかった. ## 48. イノシシの行動研究にもとづく被害対策 イノシシの行動研究の紹介と被害対策への応用について考えた. - イノシシの1日における活動時間が占める割合は3〜4割程度しかない. - 行動観察から, 電気柵は地面から20cmから40cmの高さに設置するとイノシシに対して効果が高いことがわかった. - イノシシは学習した記憶を長期間保持出来る. - いわゆる連合学習が, 比較的容易に成立する程度の学習能力を備えている. - 柵に対する行動について, 跳躍よりくぐり抜けを優先する, 跳躍する際は柵から30cm程度離れたところで踏み切る, 柵を飛び越える前は, 上下に首を振り, 柵の位置と柵の高さを繰り返し確認する, ことが明らかになった. - 上部を外側に折り曲げたワイヤーメッシュを設置することで, イノシシの跳躍を抑制出来る. ## 49. Testing the relative in~uence of intrinsic and extrinsic variation in food availability on feral pig populations in Australia|s rangelands 個体群の密度を6地点で操作し, エサの入手可能性の内在的, 外在的変動の相対的な影響を評価するため, ブタの個体群密度が牧草の量と個体数の増加率の変動(r)に与える影響を評価した. 実験では、ブタ密度の上昇に伴い牧草バイオマス量もrも減少せず、餌の入手可能性は外在的要因に支配されていることが示唆された。しかし, 実験の限界から、牧草バイオマスのわずかな減少が検出されなかった可能性がある。 ブタによる牧草の吸収を含む場合と含まない場合のシミュレーションモデルを比較したところ、ブタは他の大型草食動物に比べて放牧効率が低く、平均密度が低いため、牧草バイオマスの変動にほとんど影響を与えないことが分かった。 ## 50. イントロ〜 ニホンジカ管理の近年の状況 ニホンジカ管理に関する各分野の知見をレビューした. 個体群管理: 個体群の状態は, 分布と個体数によって評価される. 分布について, 自然環境基礎調査, 自治体の独自調査, 捕獲統計をもとに, 将来の分布を予測する試みが実施されている. 積雪はシカの行動を制限するものと考えられるが, 近年では多雪地への分布拡大が報告されている. Saito et al.は, シカ・イノシシの分布を説明する最良のモデルでは, 草原が多いところで最も分布確率が高く, 人口密度と狩猟圧が高いところでは分布確率が低いこと, 環境が将来に渡って変化しないシナリオと, 時間と共に変化するシナリオのいずれのシナリオでも2028年まで分布が拡大することを予測している. また, Ohashi et al.の研究でも過去25年間の積雪の減少で分布が拡大したこと, 今後100年の間で起こると予想される積雪期間の減少と耕作放棄地の増加がニホンジカの分布拡大を加速させると予測しており, いずれの研究でも多雪地での分布拡大を予測している. 個体数推定: CPUE, SPUE, スポットライトセンサス, 糞粒法/糞塊法, などがあるが, これらの精度評価を行った研究は限られている. 広域に渡って生息密度を測るのは現実的でなく,シカの体重, 体サイズ, 植生状況などの生態的指標を用いることが一般的である. 日本では, 植生指標を用いることが多い. シカ管理の国の動き: 農林水産省と環境省は「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を2013年12月に策定し, 捕獲目標達成に向け, 新制度導入や規制緩和, 捕獲活動の強化等と共に, 捕獲従事者の育成・確保・被害防除や生息環境管理等を合わせて推進することとした. 都道府県や国はこれに沿って指定管理鳥獣捕獲等事業の導入を行った他, 認定鳥獣捕獲等事業者制度を導入した. 個体数の推定は環境省が, 階層ベイズモデルを用いた統計的手法で行っている. また, 糞塊調査に基づくシカの密度分布図の作成や, 全国生息分布拡大状況調査を実施している. 農林水産省は, 被害防止計画を作成した市町村に各種の支援を実施している. 経済的支援, 加工処理・焼却施設, 射撃場の整備のハード面の他, 防除や捕獲技術, ジビエの需要拡大への取り組み等ソフト面も対象となっている. 林野庁は, シカ対策を非公共事業から公共事業へ転換し, 総合的な取り組みを行っている. シカ管理に携わる人材育成の課題: 行政担当者は数年の大変短い期間で異動してしまうため, 長期的な展望を持つことや問題解決に向けて現場で責任を持って対処することが困難な状況である. 日本では捕獲の担い手を体系的に養成する仕組みを欠いていたが, 専門的捕獲技術者の必要性が指摘されていた. このような中, エゾシカ境界はイギリスを参考にシカ捕獲認証制度を導入するなどしており, プロの養成に一歩踏み出している. 今後, 野生動物管理の社会基盤の整備のため, (1)野生動物管理学教育モデル・コア・カリキュラムの策定, (2)履修方法の検討と教育の質の保証, (3)認定制度の導入, (4)人口縮小社会に適合した野生動物管理のシステムの構築が必要である. また, 地域に密着して現地で対策を指導・実施出来る人材の育成も課題である.